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「直系尊属」という言葉から地方自治体のPR手法を考える

「直系尊属」という言葉の正確な定義が知りたくてグーグルで検索した。「養父母」や「配偶者の父母」などの扱いについて知りたかったからだ。

検索結果のトップに来たのが兵庫県姫路市で2番目が朝日新聞。3番目に南陽市のページが来た。このキーワードは、自治体と関わりが深いらしい。

無知で恥ずかしいが、私は南陽市という自治体を知らなかった。どこにあるのだろうと思い、南陽市のページで「直系尊属」を見ることにした。

そこには、直系尊属や直系卑属についての説明がわかりやすく記されていた。私の知りたかったことはすぐに解決した。

せっかくだから、南陽市についてもう少し見てみようと思った。URLにyamagataと入っていたから、山形県にある自治体だ。でもどんなところだろう。観光のタブをクリックしてみたら、930年以上前に開かれた赤湯温泉というところが名所なのだそうだ。

なるほどと思いつつ、ひとつ残念に感じたことがある。南陽市が山形県のどこに位置するのかを示す地図とアクセス方法が、すぐわかる場所に記されていなかったことだ。山形県のどこにあるのか、山形空港や山形駅からどうやって行けるのか。

リンクが貼ってある観光情報パンフレットにはその情報が出ていた。でも5.4MのサイズがあるPDFを開かないといけない。毎月下旬になるとスマホの残りデータ容量を気にしている私のような人間は、出先で開くのをちょっとためらってしまう。

ここで書きたいのは、南陽市に対する批判ではない。なんか、もったいないなという思いだ。

Google検索で「直系尊属」の上から3番目(シークレットモードではないから人によって違うかもしれないが)という素晴らしい位置どりができているのは、南陽市が持つデジタル上の資産である。きっとアクセス数もそれなりに来ているのだろう。それを、「直系尊属」という言葉とはまったく関係ないけれど同じ自治体の公式ページという繋がりを生かして、観光とか自治体のPRにうまく結びつけていく方法もあるんじゃないか、いう気がした。地図やアクセス方法の掲載は、その際に極めて重要だと私は思う。

知名度の高い温泉が地元にあったとしても、例えば「温泉」というワードで自治体の公式サイトがGoogle検索のトップ3に入るのは相当難しいだろう。でも「直系尊属」であれば、実際に姫路市がトップで南陽市が3位だったように、自治体のページがトップに来る。きっと他にもそうしたキーワードがあるはずだ。

検索数自体はさほど多くないかもしれないが、そうした「武器になるキーワード」をいくつか探り出して自治体のページを整備する。そして、、各ページに「その言葉とは関係ないけれど何だか魅力的に感じられる観光情報ページへのリンクバナー」を置く。観光客よりも移住者を求めたいならば、移住支援ページへのリンクでもいい。あとは、リンク先のページで自治体の場所やアクセス、見所や季節の催し、移住体験施策などを丁寧に紹介する。その自治体のことを全く知らない人が見に来ることを念頭に入れて。

上手くいけば、さほどお金や人手をかけずに観光や移住の情報をより多くの人に伝えることができるようになるんじゃないだろうか。実際その自治体を訪れる人の数は限られるかもしれない。でも、来訪には結びつかなくても自分たちの街に興味を持つ人が増えたり、多少でも街の知名度向上につながったりすれば、それもひとつの成果だろう。

直系尊属という言葉と南陽市のページから、そんなことを考えた。

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