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わたしのはなし。

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過去のこと、今のこと。
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私の「世界」、みんなの「世界」

 デイケアに通うようになって、私の世界は少し広くなった。
 今まで家族としかほとんど接してこなかったからだろうか。デイケアに来て、いろんな人と交流して、いろんな人の世界の一端に触れて、ちっぽけな自分を知って、私は「今」を「生きてる」と思うようになった。

 世界にいろんな人がいることは知っていたし、その人数分の「世界」があることも知っていた。つもりだった。あくまでも「つもり」だったのだと今は思う。

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「シェーグレン症候群」と生きる

 これは2020年8月にあった出来事です。

 昨夜改めて、趣味を一つ、失ったことを知った。
 私は歌うことが好きだ。元々音楽の中で生きていた人生だった。昔の私は母曰く「音痴」だったけど、それでも子供時代からずっと、歌うことは好きだった。

 中学二年、転校したばかりで孤立していた私をクラスメイトが合唱部に誘ってくれた。吹奏楽の入部は母の睨みで瞬時に諦めた。合唱部なら伴奏=ピアノを弾くという名目で

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燻っているのはもう、やめる。

 私はまず「オリンピック」という行事が苦手だ。それと同時に「アスリート」という存在も苦手だ。努力と才能の結集する四年に一度のお祭りを盛り上げようとするメディアも苦手だ。
 それは、母の言葉を思い出させる。

 フィギュアスケート。オリンピックや何とか大会とか関係なく、それが中継される時、私は母に呼ばれ、強制的に観せられ続けた。普段テレビなど観ていようものなら激怒されるし、自分の目の前に私がいると目

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「どれみちゃん」が好きになれなかった理由。

 セーラームーンで幼少期を過ごした私は当然のことのように困難に立ち向かう女の子の物語が大好きになった。大好きなまま大人になった。今でもありとあらゆる「彼女たち」が大好きだ。到底敵いそうにない敵にも挑み続ける姿に、私が現実世界でどれほど憧れたってなれやしない「魔法少女」やら「戦闘少女」として戦う彼女たちに、何度惜しみない拍手を送ってきただろう。どんなに好きじゃなかった明るいキャラクターでも、憎まれ役

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逃げた私を許してください。

 テレビの音声を垂れ流している我が家ではいろんなニュースも飛び込んでくる。毎日毎日何処かで誰かが死んでゆく。殺されたり、殺したりしながら。時には愛した人が。時には無差別の誰かが。そして多いのは、肉親だ。家族が、家族を、殺す。それは世の中の誰かにとっては衝撃的な事件なのかもしれない。でも、私にとっては、とても身近な理由。それは当たり前のことだった。家族は、家族を、苦しめる。蔑み合って、貶し合って、憎

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