見出し画像

Positive Reading②ーデザインと「空間」について、本4冊を続けて読んでみたー

最近、本と本のつながりを意識しながら読書をしています。
すると、どこかで似たような概念を知ったような…これとこれ似ているような…と感じるようになりました。

前回は、11世紀平安時代の登場人物にまつわる歴史小説のつながりを紹介いたしました。

今回は打って変わって、「デザインと「空間」」についてまとめたいと思います。

なぜ歴史からデザインになったのか?
それは私にも分かりません。たまたま手に取った本があって、そこから芋づる式に辿っているとしか。

だけど、分からないまま次の本へ行って、新たな出会いがあれば、同じような概念もあって。
それが知的好奇心を刺激されるというか、楽しいのです。

さて、起点となった本はこちら。

起点と言っても、今振り返ればこの本がスタートだったなと思う程度で、実際に読んでいるときは起点など分かりません。

辿っているうちに気づいたら、「ああ、この本から始まっていたかも」と感じるのです。

『伝達の整理学』で「空間」に触れていたのが、「中景の美学」という概念だと思います。

「中景の美学」とは、歴史は元の過去をそのままを反映するのではなく、三十年五十年の過去を反映している、ということ。

簡単に言えば、富士山は近すぎもなく、遠すぎもない、真ん中から見るのが一番美しい。

そのちょうどいい「空間」を「中景の美学」だと、私はとらえています。

その次が、この本。

デザインとは何か?という永遠ともいえる問いに向き合っている本です。
著者は「平凡に見える生活の隙間からしなやかで驚くべき発想を次々に取り出す独創性こそデザインである」と言っています。

そのうえで、成熟した文化のただずまいを再創造することに着目し、「無何有」という荘子の思想を組み合わせています。

「無何有」とは、何もないほど実は豊かであるということ。

「中景の美学」は時間空間や現実空間の距離でしたけれど、「無何有」は何もない、平凡な生活でも豊かさはあるという逆の発想だと思います。

それは心の余白を創り出すということにもつながるのではないでしょうか。


『デザインのデザイン』で『陰翳礼讃』について触れられていたので、『陰翳礼讃』も読みました。

たまたまBOOKOFFで買っていたのですね。
『陰翳礼讃』はデザイン関係だと、よく出てきます。

『陰翳礼讃』は多くの文庫から出ているので、好きな文庫を選ばれるといいと思います。

私は『文章読本』も気になったので、2つ合体している本を選びました。

この陰翳礼讃では、闇の美しさを鮮やかに描きだしています。
蒔絵など暗闇でこそ、真の輝きを放つものがある。
何でもかんでも明るくすればいいというものではない。

現代社会への批判ともとらえることもできますし、日本の伝統的な良さも味わえます。

「空間」にある「闇」をどうとらえるのか。
闇を怖いものではなく、未知のものではなく、美しさを引き出す要素として見る。

美術館でも明るいところに展示しては、その美術品の本当の良さを引き出せないかもしれない。

本来あるべき闇を考慮していないから、変にギラギラしているように見えてしまう。

その視点もデザインと「空間」につながると思いました。


そして最後に紹介するのが、渡邉康太郎さんの『コンテクストデザイン』
この本はAmazonや楽天にはなくて、特定の本屋さんにしか置かれていません。

私が購入した場所は、下北沢の本屋B&Bです。
この記事でも紹介していますね。

店舗にも置かれていなくて、レジの店員さんに『コンテクストデザイン』はありませんかとお聞きしたところ、レジの裏から持ってきてくださいました。

装丁も何もなくて、ただシルバーでシンプルな表紙でした。
こういう本もあったのか、と心がじわじわと踊りだしているような感覚でした。

たまたまnoteで著者自身がご説明されていましたので、引用させていただきます。

本屋B&Bでなくても、青山ブックセンターでも購入できますね。

「コンテクストデザイン」自体、初めて聞いたのですが、「個々人の解釈の発露をデザインが引き出し、デザインが表出させる活動」と本書で定義されています。

個々人の解釈の発露を「弱い文脈」として、定義が固まっていない不完全だからこそ想像力が働き、「社会彫刻」の実現に向かっていく。

その想像力や創造力を引き出す、不完全さが「エンプティネス」と重なり、当たり前と考えられている「強い文脈」を揺り動かすことになる。
未知化、暗闇化を引き起こし、知的好奇心を生み出す。

その「エンプティネス」を提唱している人として、挙げられているのが、『デザインのデザイン』の著者でした。

ここで出てくるとは思わず、驚くとともに、自分の中で本と本がつながっていくなんとも言えない快感を味わいつつ読み終えました。


流れるがままに読んで、書いて、でしたが、本は独立して存在しているのではなくて、どこかで別の本とつながっている。

それを感じ取れるのは私たち読者の特権だと思うし、楽しみでもあると思うのです。

特別なスキルも必要ないですし、今は別領域だなと思っていても、ある共通分野がひょんなことで気づくと嬉しい。
それを私は勝手に「Positive Reading」と表現しています。

私はこれらの本でつなげましたけれど、こんな本もデザインと「空間」の一部ではないか?などありましたら、コメントいただけると幸いです!



この記事が参加している募集

探究学習がすき