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「安定した不自由」と「不安定な自由」

※冒頭から汚いワードが出てくるのでご注意ください。



うんこ味のカレーか、カレー味のうんこ。そのどちらかを選ばなければならないとしたら、どちらを選ぶか。そんな話題を聞いたことがある。

僕はずっとカレー味のうんこの方がいいと考えてきた。理由は、味かカレーなら食べられそうだから。

しかし、よく考えよう。味がカレーなだけで、食感や香りはどうなのか。コンソメ味のポテトチップスはポテトがベースだが、その理屈でいくと、カレー味のうんこは避けた方がいいかもしれない。けど、もう一方のうんこ味のカレーというのも、いいとは言えない。


この二択を迫られることは現実ではまずない。あくまで思考実験のようなものだ。
ただ、現実にも似たような究極の二択がある。例えば、仕事における二択。正規か非正規か、すなわち「安定した不自由」か「不安定な自由」かという二択。

「安定した不自由」と「不安定な自由」という言葉は、フェミニストである小倉千代子氏のエッセイ集『草むらにハイヒール』で目にした。

会社を辞めて自由になりたい人は、何度も何度も考える。「自由のために安定を失ってもいいのか?」「安定のために自由を捨てられるのか?」(略)世の中には「安定した不自由」と「不安定な自由」しかないのである。

『草むらにハイヒール』いそっぷ社 234ページ 


パートやアルバイトは、時間に余裕がある。ただ、給与や保障の内容は見劣りする。それは、日本の雇用形態や社会保障の仕組みが「正社員」を基準に設定されているからだ。
(そこらへんのことについては、小熊英二氏の『日本社会のしくみ』(講談社) に詳しい)。

じゃあ、正社員の方がいいと思うのだけど、正社員は正社員でかなり縛られる。相当な時間と労力を捧げなければならない。手に入る安定は、いろんなものの犠牲の上に成り立っている。トレードオフというやつだ。

その中間は存在しないのだろうか。派遣社員とかフリーランスがあるが、それらも「不安定な自由」の範疇だし、何よりリスキーだと思ってしまう。

…と僕が働き方について述べるには経験が浅すぎるので、ここら辺で控える。


二者択一を迫られたとき、「ちょっと待って。他の選択肢はないの?」と問いかけることが必要だと思う。
ただ、時と場合によっては、考える暇がないまま選ばなきゃいけないことがある。そんなとき、どっちも嫌だとそっぽを向くことは、抵抗でありながら、後手に回ってしまうことになり得る。

ふたつの選択肢がどちらも"クソ"だとしても、どっちかを選ばないと空腹でいずれ死ぬ。だから、エイヤとどちらかを選び、その先で調整をするのがベター。多分。

いや、こと仕事に関してはよっぽどのことがない限り、正社員の方がいい。でも、週に5日8時間ってのは、不自由が過ぎやしないか?そう考えながら明日もネクタイを締めるday。


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