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10年間ほど「ことば」の研究をしていました、という話⑯♪

こんにちは(^ ^)

普段は大学で「英語」「異文化コミュニケーション」を教えています、水月むつみです。

「ことば」の話をずっとしていますが、それは「ことば」が(異文化)コミュニケーションにとって大事だからで、異文化コミュニケーション学の祖とも言われるエドワード・T・ホールはこんなことを言っています。

一番よく知られていないもの、したがって、最も研究されにくいもの、それは自分自身に一番近いものである」(What is known least well, and is therefore in the poorest position to be studied, is what is closest to oneself.)

「ことば」は人にとってあまりに身近なので意識しないし、「気遣い」も日本人にとっては当たり前すぎるのでよく分かっていない。そういう理由で私は「ことば」も「気遣い」も研究していたのですが、人にとって身近なものの1つに「時間」があります。

自分が「時間」についてどんな風に思っているか、考えたことはありますか?

流れるもの?
追い立てられるもの?
限りあるもの?

こんな感じのことを思う人はいるかもしれませんが、自分が時間を「どう取り扱っているか?」を考えたことがありますか?

この質問自体が意味不明かもしれませんが笑、ほとんどの人は自分が時間をどう取り扱っているかは意識していません。(「ことば」もあまりに身近であるゆえに、考える人が少ないのと同じですね)

実は、「ことば」と同じで、時間の取り扱い方も文化によって違うんです。

例えば、私がオーストラリアに留学していた時、待ち合わせには5分遅れていくのが「普通」でした笑。パーティは記載時間の30分後くらいから人が集まり始めます。同じようなエピソードはよく聞きますね。

ホールは時間の取り扱い方を「ポリクロニック時間 (polychronic time) 」「モノクロニック時間 (monochronic time) 」の2つに分類しています。

ポリクロニック時間の文化で生きている人たちは、時間を複線的に考えて、同時に多くの事が進行します。タイムラインがいくつもある感じですね。人間関係を重視するので、時間厳守というよりも、その時々で優先順位が変わって、ある一つのことから、突然、別のことに飛んだりします。

一方、モニクロニック時間の文化で生きている人たちは、時間を単線的に考えて、一度に1つのことだけをしようとします。タイムラインが1つだけで、それを区切って生きている感じですね。これの次にはこれ、という風になるので時間厳守の特徴があります。

モニクロニック時間で典型的なのはドイツやアメリカ、ポリクロニック時間は地中海やラテンアメリカなどです。この2つの違いをざっくり捉えるとするなら、東京と沖縄のような違いだと考えると分かりやすいかなと思います。

実際の例として、こんな状況を考えてみてください。

自分のオフィスで仕事をしていたら、電話がかかってきました。その電話に対応中、部屋のドアがノックされ、同僚が部屋に入ってきました。

この場合、モノクロニック時間で生きている人と、ポリクロニック時間で生きている人では対応の仕方が違います

モノクロニック時間で生きている人は、部屋に入ってきた同僚はおいておいて、まず電話対応を終えようとします。電話対応が終わってから、同僚に対応するという一時に1つのことだけをするやり方ですね。

一方、ポリクロニック時間で生きている人は、電話対応と同僚への対応を同時にやろうとします。電話で話しながら、ジェスチャーで「椅子にどうぞ」といったメッセージを伝えようとしたり。

なので、もし電話対応をしている人がモノクロニック時間の人で、部屋に入ってきた同僚がポリクロニック時間の人だった場合、同僚は「なんで何も対応してくれないの!?」と不快な気持ちになる悲劇が起こります。

そういう悲劇を防ぐためにも、時間についての考えも文化や人によって違うことを理解しておくといいですね。

人間関係よくする「ことば」のジャズセッションはフォームからどうぞ☆

https://docs.google.com/forms/d/17F25qvahMyluPRifAG27avsOX8K58DMJTAmWqhPpi0U/edit


人間関係をよくする「ことば」の使い方基礎講座みたいなものも構想中です。ご興味ある方はお楽しみに。

ではまた〜♪

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