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「洒落てる人になりたい時に読む本」『風の歌を聴け』村上春樹 紹介

 こんにちは!seel編集部二年Sと申します。正月も明けて、本紹介リレーもついに私の番となりました。他の方々の紹介もとても面白いのでぜひ目を通してみてください!
 今回私が紹介するのは村上春樹の「風の歌を聴け」という小説です。


講談社 風の歌を聴け(1979年)

 普段本を読んでいない方の中でも村上春樹という名前は聞いたことがある人は多いと思います。ハルキストというファンの通称ができてしまうぐらいですから、村上春樹は日本の小説家の中でも最も知名度のある作家の一人であると言えるのではないでしょうか。
 そんな村上春樹ですが、一部の方々からは批判的に思われている作家でもあります。その主な理由として二つ。一つは洒落ついて鼻に着く翻訳文のような文章であること。二つ目は、村上春樹自体は嫌いでもないが、それを信奉するハルキストが嫌い。この二つです。かくいう私も元々は村上春樹は好きではなく、批判をしていた側でした。けれど読まずに批判するなら、時間もあるので一回読んでみようと思い、小説、随筆、雑文、自伝など村上春樹となのつく本は片っ端から読んでまた結果、気づいたら自分も村上春樹が好きなっていたのでした。

 そんな私から一つ、村上春樹の文章が苦手な方にこう読んだら楽しいよという提言をします。それは

こんなお洒落な文章読んでる俺かっけ〜という気分でまずは読んで欲しいということです。

ファッションで良いんです。意味なんか理解しなくて良いんです。雰囲気と文体だけをなんとなく楽しんで、お洒落な気分になりたい。そんな時にこそ村上春樹は活躍します。
 もちろん村上春樹の作品の中にはストーリが重厚で面白いものもたくさんあります。ですがそれを真剣に読もうとすると独特な文体に読み疲れが起きてしまう人も多いでしょう。ですからまずはお洒落な人になりたい時に読んでみる。そんな軽い気持ちからいかがでしょうか。
 今回紹介した『風の歌を聴け』そのお洒落に読むに一番適している作品だと僕は思っています。まず分量が少ないです。200ページほどしかなく、直ぐに読み終わることができます。またデビュー作であるため、荒削りなところもありますがその村上春樹的なお洒落さはどの作品よりも濃密に描かれていると思います。
 簡単にストーリーを説明すると、大学生の僕は港町でバーで鼠という男とビールを飲みながら気だるい夏を過ごします。その鼠を中心に出会いと別れ、そして失われた青春が淡々とかかれていくのです。決して意味を考えて読んではいけますよ!正直ストーリーは難解で一度読むだけじゃよくわからないと思います。村上春樹はファッションそう思って読んでみたら案外面白く感じてくるかもしれません。

高校生の頃から30回以上は読んでいる気がします。

 最後に、私ごとですが、私は現在文学部の英米文学専修というところで勉強しています。ここに入るきっかけも村上春樹が勿論あります。最初は村上春樹を批判するために読んでいたのに、気づけば大学の学部まで影響を受けているなんて、人生何が起こるかわかりませんね。



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