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侵蝕 《詩》

「侵蝕」

僕はずっと昔に聞いた

雨音を思い出している

いつも
雨が降っている匂いがしていた

僕等の頭上にはただ空がある


地下鉄を乗り換えて
辿り着いた駅から

ビルの地下街を抜けて街に出た

其処に転がる季節を燃やした


僕等の意識の回路に 

埋め込まれた地図に従い

死の海に向かう


君がひとつになりたいと願った 
あの海に


柱時計のネジをまく片目の老人

時はまだ止まらない 

そう僕に話しかけて来た


全てを
支配している空気が重くのしかかる

いつしか日常を侵蝕して行く幻想


幻じゃ無いさ 

あの日から三度目の冬が来た

僕等の頭上にはただ空がある

そして 目の前には あの海がある

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