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ままごと雑記・三歳児レストラン

 おままごとが空前のブームを迎えています。言葉が堪能になってきた三歳男児と、それを見て言葉を覚える一歳女児の兄妹レストランです。

息子「いらっしゃいませー」
娘「まてー!」

息子「ちゅうもんはなんですか?」
娘「にんじん!」

 娘はオーダーを聞く前に大好きなニンジンを握りしめて圧高めに接近し、私の口元に近付けます。
 食え、と言わんばかりの無言の圧力にパクパク…おいしい!と言うと娘はパァッと笑います。

息子「あの、ちゅうもんをきいてるんだけど。」

 そうでした。ごめんなさい。
 何がありますか?

息子「あー、おにぎり、とか。」

 では、おにぎりを下さい。
 おいくらですか?

息子「ごじゅうまんえんです。」

 50万円!?高くない!?

息子「いっこしかないからね。」
娘「ねー!」

 一個しかないから高いのか。
 おにぎりの具は何ですか。

息子「しゃけ。たかいやつ。」

 高いやつか…。美味しいですか?

息子「おいしいよ。」

 でも50万円のおにぎりは高過ぎて買えないや。
 もっと安い食べ物はありますか。

息子「はぁ…(溜息)。ありますよ。ごま。」

 胡麻!?

息子「ごまです。これにしますか?」

 ええと、おいくらですか。

息子「えーと、300えん。」

 胡麻が!?微妙に高くない!?
 
息子「ごまだからね。」
娘「にんじん!」

 胡麻ってそんな感じだっけ。そう思う傍ら娘から不定期に繰り出される人参攻撃に、コレも実は料金取られるんじゃないかと一抹の不安を感じます。

息子「300えんです。」

 分かりました。じゃあそれを下さい。

息子「かしこまりました。パラパラ…はいどうぞ。」

 胡麻ってそういう感じ!?
 胡麻団子とか胡麻和えじゃなくて皿に直接ね。
 ええと…美味しいですか?

息子「ふつうです。」

 しかも普通の胡麻ですか。いただきます。


 私は自分がまるで藤岡弘、になったかのような錯覚に陥りながら、イマジナリーセサミを貪りました。私は胡麻が好きだけれど、きっと息子は普通なのでしょう。

 今夜の食卓にはおにぎりと人参を登場させよう。

 さぁ、これから夕飯作りです。



 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、皆が美味しいおにぎりを食べられますように。



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#子どもに教えられたこと #希少性と価格高騰
#エッセイ #育児 #炊事 #胡麻

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