マガジンのカバー画像

"教育系" note まとめ

2,818
"教育系" noteのまとめです。
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

出口治明・月本昭男対談——博覧強記×碩学無双! “歴史と神話の交差点”を語り明かす

 2018年~2019年にかけて、月本昭男さんと出口治明さんの対談が重ねられていました。  今回、月本昭男さんのNHKブックス『物語としての旧約聖書 人類史に何をもたらしたのか』、出口治明さんのNHK「100分de名著」ブックス『貞観政要 世を革めるのはリーダーのみにあらず』が、1月・2月と連続で刊行されるにあたって、その対談のエッセンスを、再構成してお届けいたします。  立命館アジア太平洋大学学長特命補佐・ライフネット生命創業者で、「博覧強記」な教養の達人、出口治明さん。

教材論 「〈私〉時代のデモクラシー」 宇野重規

 今年から新カリキュラムで「現代の国語」を担当している。今までに扱った教材も採録されているが、新たな教材を扱うのがとても面白い。  世間一般で言われているように、教員は教科以外の仕事が多い。そのため、どうしても新しい教え方のアプローチだったり、新たな教材(これはほぼ国語に限ると思うけど)を扱うのを躊躇してしまう。でも、高校では専門教科の教育が一番大事だと僕は思っている。日々変化する教育界と受験界に対応していくためには、我々教員にも変化が求められるのだ。なんて、ちょっと偉そう

【ニッポンの世界史】第16回:授業時間が足りない?—就職者にとっての世界史

A科目とB科目に分かれるまでの世界史の変遷  1960年度指導要領で就職者向けのA科目と進学者向けのB科目に分かれた世界史。A科目は週3時間、B科目は週4時間が標準とされました。  前回の1956年度学習指導要領では、社会科に「社会、日本史、世界史、人文地理」が設置され、このうち高等学校の社会科は日本史、世界史、人文地理から2科目は必ず履修することになっていました。  しかし1960年度指導要領では、社会科として「倫理・社会、政治・経済、日本史、世界史A、世界史B、地理

【1分de本のプレゼン】周司あきら/高井ゆと里『トランスジェンダー入門』(集英社新書)

【自著の宣伝】 『世界のいまを知り未来をつくる 評論文読書案内』(晶文社)

【国語トーク】複数テクスト問題について思うこと

もはや、なし崩し的に世の中に受け入れられた感すらある現代文の[複数テクスト問題]について、私はやはり、懸念を抱いています。これまでもあちらこちらで発言してきたことですが、出題の仕方によっては、"思考力"なるものとは対極的な方向へ行ってしまうのではないか、と。 【自著の宣伝】 『14歳からの文章術』(笠間書院) 伝わる文章を、いかに構成するか──というテーマについて、豊富な具体例や対話などを通じて楽しく学べる一冊です!

【ニッポンの世界史】第15回:世界史の分裂!—1960年代の学校世界史と働く青年の教養主義

世界史Aと世界史B:1960年度学習指導要領改訂  「歴史ブーム」が巻き起こる中で、学習指導要領が改訂され、世界史は「世界史A」と「世界史B」の2つの科目に分けられることが決められました。  「世界史A」とか「世界史B」という科目名は、1990年代以降に高校時代を送った年代の人であれば、大学受験の科目として世界史を使わなかった人であっても、聞いたことがあろうかと思いますが、実は1960年度改訂以降の約10年の間にも、「世界史A」とか「世界史B」という科目が設置されたことがあ

【ニッポンの世界史】第14回:「大国」化する日本と司馬遼太郎の登場

これまでのまとめ  ここでいったん1950年代までの流れを整理しておくことにしましょう。  一番左には、高校のカリキュラムのなかに位置付けられた "公式" 世界史の動きを、真ん中の列には、それに対抗したり影響を与えたりした "非公式" 世界史の動きを配置してあります。  教育や歴史、思想といった分野別に、日本の世界史のあり方の変遷を追ったものはこれまでもいくつか見られます(注)。  しかしそれらの対象の多くはアカデミックなものに限られていたり、政治的な動きとの関連に焦点

日本地図や指定地点の周辺地図を描くGPTsの紹介

以前、ChatGPTのCode Interpreter用に作成したプロンプトを利用して、地図を描くGPTsを2種類作成しましたので紹介します。 1.日本地図作成都道府県区分した日本地図を描きます。統計データなどによって都道府県を塗り分けた地図(コロプレスマップ)を描くこともできます。 (1) 白地図 (2) 東京都 (3) 人口300万人以上の都道府県 (4) 政令指定都市のある県 統計データを利用した塗分け地図(コロプレスマップ)を描くこともできます。最初に、シ

【ニッポンの世界史】第13回:現在の世界史教科書のルーツ?—上原専禄と吉田悟郎『日本国民の世界史』(2/2)

 一度は検定に合格したものの1958年の検定で不合格となった上原専禄らによる『高校世界史』。前回は、これを1960年に一般書として刊行した『日本国民の世界史』(岩波書店)の構成と特徴について紹介しました。  世界史教育の歴史において「現在の世界史教科書のルーツ」と位置付けられることの多い『日本国民の世界史』ですが、今回はさらにいくつかの視点から「ニッポンの世界史」に対して果たした役割を考えてみたいと思います。 〈にとって〉の世界史:「書かれざる主語」を書く  編者の一人、

【ニッポンの世界史】第13回:現在の世界史教科書のルーツ?—上原専禄と吉田悟郎『日本国民の世界史』(1/2)

上原専禄『日本国民の世界史』  梅棹(→【第12回】)の生態史観が議論を呼ぶなか、中国と日本の遠さを強調することなく、また人類史を一望するような大局的な眺めでもない、「今、ここから」の視点で世界史と向き合おうとした歴史家がいます。以前一度とり上げた上原専禄です。  上原専禄は、ヨーロッパに留学して原典資料を読み込み歴史研究をおこなった第一世代にあたる経歴をもつ歴史家。戦後には西洋史という枠を超え出て「世界史」をいかに描くべきかを構想するようになった人物です。  彼がこだわ

第4回:英語を使って「異文化交流」をしたい!と望むあなたに、伝えておきたいこと

ミツイ直子 アメリカ海軍・アルコニス大尉の事件今月半ばに、とある事件を知りました。以下、NHK News Web(https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20240113/3030022718.html)からの引用です。   「2021年5月、静岡県富士宮市で飲食店の駐車場に車が突っ込み、2人が死亡した事故では、運転していたアメリカ海軍の大尉、リッジ・アルコニス受刑者が過失運転致死傷の罪で禁錮3年の実刑判決を受け、収容されました。   ア

【後編】これからの教育のために、「社会との結び目」を増やす3つの方法

お疲れ様です。uni'que若宮です。 今日は昨日の前編につづいて、教育と「社会との結び目」について、後編です。(前編をまだ読んでない方は、↓をどうぞ) 結び目②:色々なコミュニティとのつながりを増やす教育と「社会との結び目」を増やす方法の二つ目として、学校外のコミュニティとのつながりを増やすことが改めて大事になってくると考えます。 子供たちにとっては学校や塾が主要なコミュニティですが、これらだけに留まらず、さまざまなコミュニティに参加できるようになるといいと思ってます

【ニッポンの世界史】第12回:梅棹忠夫の『文明の生態史観』

トインビーの来日  1954年に大著『歴史の研究』の一応の完成をみたA.J.トインビーが日本を訪れたのは、1956(昭和31)年のことでした。  一度目の来日は、国際問題の第一人者として1929年にひらかれた「太平洋問題調査会」に出席するためでしたが、今度は文明を大きく論じる歴史家としての来日です。  滞在中には各所で日本の知識人と交流したり、一般向けに講演したりする機会がもたれました。訪日が知識人に与えた影響は、翌年発刊された『トインビー・人と史観』からうかがい知ること

学んだら飽き、また学ぶ。ノンフィクション作家・高野秀行/ 私が学ぶ「私的な」理由

「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。ノンフィクション作家・高野秀行さんは、世界中の辺境で旅や取材を続けています。 取材先では、現地の人が使う言葉でコミュニケーションを取るという高野さん。これまで学んだ言語の数はなんと25以上で、著書『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル刊)では自身の語学体験とユーモア溢れたエピソードがつづられています。 高野さんは、フランス語や中国語といったメジャーな言語から、話せる人がほとんどいない、