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"教育系" note まとめ

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"教育系" noteのまとめです。
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#英語

2024年度大学入学共通テスト解説【英語・リーディング】

▼本年最初の投稿になります。遅ればせながら,あけましておめでとうございます。半年も更新が滞っていて申し訳ありません。本年もよろしくお願いいたします。 ▼さて,昨日(1/13)に2024年度大学入学共通テストの英語の試験が実施されました。そこで,例年と同様に,リーディング問題の簡単な解説と所感を述べたいと思います。 【1】素材文のリーダビリティ▼まず,2024年度リーディング問題のリーダビリティ(読みやすさの指標)についてですが,大問別にみると以下のようになっています。

第1回:英語を学んでいるあなたに、お願いしたいこと

ミツイ直子 「英語は道具」って本当にそう?日本で英語を勉強していると「英語は道具」という表現に出会いますが、私ミツイは「英語は道具」ではないと考えています。英語は言語である以上、英語圏の人達の文化であり、歴史であり、芸術であり、生死観や宗教観それから日常の思考が表面化したものです。また、英語話者の思考パターンに影響を与えるものでもあります。それは「道具」という言葉で表現される程度の単純なものではないのです。       時に、英語話者が ”Language serves a

「日本語は動詞中心の言語」という言説は外山滋比古のオリジナルではない(たぶん)

初稿だの明日のnoteの準備だのであまり時間が取れないので簡単になっちゃいますが(と言いながら2800字…)。結論はタイトルのとおりです。 出典の整理「日本語は動詞中心の言語で,英語は名詞中心の言語だ」という言説があります。よく引用されるのが外山滋比古(1970)『日本語の論理』です。 少し具体的にどう書かれているのかを引用します。 具体例をあげているのでそちらも。 『日本語の論理』は書き下ろしではなく,論文集で,引用部分は『言語』1972年5月号,『ちえ」1971年

世界史と英語を同時に学べる問題をつくってみた

 私の専門は歴史ですが、暗記ばかりではなく柔軟に教えられたらいいな…と常々思っています。  画像資料をもとにして、科目横断型のこんな問題をつくってみました。 問題編 図は、1917年にアメリカで制作されたポスターである。あとの問いに答えなさい。 (1)「ああ! もし男だったら、海軍に入るの に!」という意味になるよう,空欄X,Yにあてはまる語の組み合わせを選べ。  ア X- I am   Y- I'll join    イ X- I am  Y- I'd joi

論文「TED Talksのデータを検索して英語を学ぶ、教える、研究する」の紹介

今回は、以前私が書いたこちらの論文を紹介します。 野中大輔 (2021)「TED Talksのデータを検索して英語を学ぶ、教える、研究する : TED Corpus Search Engineの可能性」『東京大学言語学論集』第43巻, 183−205. 英語プレゼンテーション動画のTED Talksとその検索システムTED Corpus Search Engineを取り上げた論文で、上のリンク先から無料でダウンロードすることができます(リンク先の「ggr_043010.p

【英語学習のスパイス #2】

Evine(恵比須大輔) 第2回:自然な英単語の学び方Hi、皆さん、Evineこと恵比須です。 前回は英語学習にお勧めの洋書3選のご紹介でしたが、今回は、学生以外の一般の方向けに英単語の学習方法について一言書きたいと思います。 まず、英検やTOEIC、高校・大学入試などの試験対策のための単語は素直に試験対策用の単語帳を使って、過去問データーを頭に入れるのが一番効率的です。迷うことなく単語帳に向かった暗記をするといいでしょう。 覚えられるまで目と口と耳で続けます。書いて覚え

【英語学習のスパイス #1】

Evine(恵比須大輔) 第1回:学び直しに使える! 知られざるおすすめ洋書3選Hi、皆さん、2023年2月の連載を担当させていただくこととなりましたEvineこと恵比須です。 はじめてnoteに登場します。昨年8月にベレ出版より『Mr.Evineの英語塾 コア英文法』を出版させていただきました。 全4回の連載で、英語学習者にちょっと足りないもの・ことをテーマに私の指導経験を踏まえてお届けします。英語の学び直しのヒントになれば幸いです。まずは軽く自己紹介をさせていただきま

教員養成のための英語科教育研究

神奈川大学外国語学部英語英文学科です。 髙橋ゼミでは、中学校教員養成を主たる目的として2年次から4年次までの以下に示す3年計画で、理論と実践のバランスを取りながら「プロの英語教員」を育てています。2022年度にゼミ出身の教諭が104名となり、「ゼミから教諭100名!」の目標達成を達成できました。卒業生は北海道から沖縄まで全国の小中高大の教育現場で活躍し、指導主事も生まれています。 <2年次・教職基礎研究> 前期:「英語授業基本知識・技能トレーニング」 10のテーマを掲げ、

省察的実践の技術的熟達

英語科教育法で行う模擬授業の後には「対話型模擬授業検討会」を行うことが私の授業の恒例となっており,「8つの窓」(教師と生徒それぞれのDO/THINK/FEEL/WANT)をもとに授業を振り返る。 今回は授業の展開に合わせて2つの場面に分けて8つの窓を提示した。第1場面は生徒がペアでやり取りしている時間,第2場面は生徒が先生に(予め決められた)質問をし,それに先生が答える時間であった。 それぞれの場面に対する教師のFEELは,第1場面については「ひま」、第2場面については「楽

英語学習について──個人的な経験を中心に

最近恐れ多くも翻訳出版を行なったおかげか、英語の勉強法について聞かれることが増えました。別に英語の勉強が得意だった記憶はないんですが、振り返ってみると言語習得に関してはいろいろ考えてきたかも、と思い、思いつく限りのことを書き下してみました。よければご笑覧ください。 中村の経験のなかで比較的ユニークなところ 高校生のときに通っていた学校のプログラムで2週間ほどアメリカの高校へホームステイしにいった。その後、ホームステイ先の子たちが日本にやってきて、それをアテンドするというこ

教師教育者の意図

英語科教育法IIの振り返り。 いつもは学生にも授業を思い出してもらって、更に思考を深めてもらえればみたいな気持ちも持ちながら書いているが、今回は完全に自分のための省察としてのみの目的で書く。 まぁ、教師の省察を実際に見せたり聞かせたりすることも教師教育者の仕事なので、そういう目的もなくはないが、それでも今回は見せすぎではないかという気がする。 英語科教育法IIは「問い」に基づいてディスカッションをする回と模擬授業と対話型模擬授業検討会を行う回に分かれており、ディスカッション

佐藤・笠原(2022)『効果的英語授業の設計 ―理解・練習・繰り返しを重視して―』

はじめに前回、青木(1987)『いい授業の条件』について「期待していたよりずっと中身が軽い」と書いた記事を読んだ知人から、「めっちゃ昔の本だし大丈夫だと思うけど、こんなこと書いて怒られたりしないの?」と連絡をもらった。 私のnoteを読んだ上で、心配までしてくれる人がいるとは思わなかったので、ありがたい。 だが、(もしかしたら怒られることはあるかもしれないけど)怒られるようなことはしていないはずだ。 単に出版物に対する「受け止め」を書いたまでで、それは著者の人格への攻撃では決

外国語はメガネ。複数持っているとそれだけ多くの世界が体験できるって。

最近驚いたのは、仮定法はIfを使うからとかI wishを使うからだと思っている生徒がいたこと。違うーーーー!!! 断じてそうじゃない。 英語は、外国語は、世界観なんです。日本語との世界観の違いが分かったら ストーンと落ちるんです。それが今回の講座のコンセプト。5日と言っても5週間かけてゆっくりじっくり、でも刺激的に世界観が変わりますよ。 小学校で外国語を合鍵として展開する阿部志乃さん、おなじみ「英文法は絵に描きやすいルールでできている」のオールライト千栄美さん。絵本の世

英語教科書の暗記を求めていないフィンランドの英語教育について学ぶ

「よい先生、よい教科書、よい環境」 が特徴のフィンランドの英語教育について。 特徴は3つです。 1.少人数のクラス 2.英語教員の英語力の高さ 3.教科書の充実 おとといの記事「1.少人数のクラス」では、フィンランドでは10人前後で英語の授業を受けるということでした。 昨日の記事「2.英語教員の英語力の高さ」では、教育学部ではなく、英語学、英米文学に関する専門科目で修士号を取得した先生が、英語を教えているということでした。 今日は「3.教科書の充実」を見ていきます