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「卑怯でごめんね。」

「あ、飛行機雲。」君の後ろを指さす。

夕陽に向かって真っ逆さまに落ちていく飛行機はまるで映画のようだ。君の顔は影になっていて僕からは見えない。ただ、長髪の髪とスカートのシルエットで何となく女子高生なんだというのは分かる。まるで君の視線から逃げるように言った言葉が何だか情けない。夏の終わりを嘆くヒグラシと秋の到来を喜ぶスズムシの合唱は刻一刻と迫る夜の訪れを知らせる。足がガクガクと小刻みに震える。もう結構な時間2人とも立ったままだ。
そろそろ決めなきゃ。
放課後の涼しい風が流れる。



「飛行機雲ーー??」そう言って君は振り返る。



「すごい綺麗。映画みたい。」
深呼吸しようとしたが出来ない。
後ろを向いた君の左手を荒々しく掴む。
川の流れが強くなった気がした。

「どうしたの?」
君が振り返るより早いか同じくらいのスピードで一歩足を進める。そして、ギュッと目を瞑って、影を重ねた。川の流れが止まった気がした。夕陽に照らされる2人を生暖かい風が包んだ。

「卑怯でごめんね」俯き顔で言った。
多分今の俺は、変に口角が上がった気持ち悪い顔をしてる。「待たせないでよね」そう言って軽く小突かれた。

夏はまだ終わらないらしい。

【終】

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