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2/1,000冊目 ビジネス書を読む前に読みたい→『なぜビジネス書は間違うのか』 フィル・ローゼンツワイグ (著)

『なぜビジネス書は間違うのか』 フィル・ローゼンツワイグ (著)

この本と同様のことを指摘している本があります。それは、ノーベル経済学賞を受賞しているダニエル・カーネマン氏の『ファスト&スロー』です。

ともに指摘の対象としているのが、ジム コリンズ氏の著書『ビジョナリー・カンパニー2』。

あらためて、『なぜビジネス書は間違うのか』の内容に戻りますが、この本ではビジネス書にある9つの妄想を解説しており、そのなかのひとつにこういうものがあります。

成功した企業を数多くとり上げて、それらに共通するパターンを探しても、成功した理由を浮かび上がらせることはできない。成功の要因を知るためには、成功していない企業と比較しなくてはならないのである。

『ファスト&スロー』でも、ビジョナリー・カンパニーを否定する根拠として、より長期的にみたときに、優良企業として捉えた企業の衰退がみられるぞ!ということでした。乱暴に言うなら、「たまたまうまく行っている時期を切り取って、そこにある共通項をみても、意味がない。なぜなら、だいたいそれらは「運」ということに集約できるから」というのが、主旨と言えます。

本書のエピグラフのひとつにあるこちらが、もうちょっと丁寧にそれをまとめています。

何かが絶対的に正しいと照明することなどできないという考え方をいったん身につけると、人生をいっそう確率と偶然とバランスで考えるようになる。真実の証明ができない世界では、あとに残った蓋然性を上げるには、より深い知識と理解を手段とするしかない。
               ——ロバート・E・ルービン『ルービン回顧録』

ロバート・E・ルービン氏の『ルービン回顧録』はこちら。

蓋然性とは、いわば「確率」です。


まとめ

確実性を保証するハウツー的知識は全般的に疑ってかかるべきであり、確率をどう高めていくかとか運とどう向き合うかという取り組みがより良いアプローチだろうと考えるに至る本でした。


この本から得たもの

  1. 蓋然性と運の存在を直視する姿勢

  2. その上での対策を考える気概

  3. ビジネス書を読んだあとに読んで、かえって良かったかもなぁという漠然とした思い

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