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ヤギたちの生き様 そして教えてもらったこと

去年私が手術で、入院を繰り返していたとき、

追い討ちをかけるかのように

飼っていたヤギの親子三頭が、天に還りました。

母ヤギは子どものときから、父親譲りのやんちゃで激しくて、

サイズも大きいからおなかがすくと立ち上がって角で威嚇するくらい。

でも基本的にやさしくて、頭を撫でながら話しかけると優しい目で答えてくれる、こどもたちとかけっこくらべして遊んだり、散歩にいったり、畑や田んぼのまわりの草を綺麗に食べてくれたり、田植えや稲刈りを見守ってくれたり、いつものんびり私たちを見守ってくれる、そんな子でした。

子どもを産んでから一変。

落ち着いてそれはそれは愛にあふれた母になりました。

あるときは、じゃれあう子やぎたちを優しく見守っていたり、あるときは飼っている犬から子やぎを守ろうと威嚇して立ち向かったり。

子やぎたちを産んだとき、たまたまみんな家にいたのです。

そとから、母ヤギでも鶏でも犬でもない声がする。(これだけの動物を飼っていました)

メーーー!!!!!!!!!!! メーーー!!!!!!!!!!

なんだ?

駆けつけると.........

えーーーっ産まれてるー!!!!!     ついに!! しかもふたつも!!!!!!

だから今朝、背骨がくっきり見えるほどおなかが下がっていたのか。

変だなー、大丈夫か?と、思ってはいたのですが。

初めてだからわからなかった。

母ヤギの、子どもをペロペロなめ続ける(体温がさがらないように、羊水で濡れた毛を乾かしてる)あの愛しそうな表情には驚きました。はじめてみた顔だったから。

でも、一匹は放置。なぜなら、雨上がりで、運悪く?泥沼に産み落ちてしまい、全身泥だらけ。

ヤギは綺麗好きだから、きっと見放したんだと思いました。助けたくても自分ではどうしようもできないから。だから、もう、一匹を懸命になめてたんだと思う。あなたは生きてと。

私たちはすぐさま、泥沼で生きようとしてるいのちを助けなきゃと、タオルで泥を落とし、くるんで体温を下げないよう勤めました。

がんばれ、大丈夫だよと声をかけながら。

泥を落とすと、母ヤギが近づいてきて、なめ始めました。

予想はあたってた。

弱いいのちだからではない。

なぜなら、メー!!!!と力強く呼んでいたのはこの子だったから。

弱いいのちは、動物は生んだ瞬間に見捨てる。

でも、この子は動けないけど家の中まで聞こえる力強い声で鳴いてるんだから、生きる命だ。

そう思い信じて温め続けました。

母ヤギがなめて、毛が乾き始めたとき、それまで動かなかったその子が立ち上がり始めた。

生きる気力に母の愛とぬくもりにまさるものなし。

そう感じました。

感動して泣いてました。

しっかりと、見て!!!といわんばかりに、すっくと立ち上がりあるきだす。

母のおっぱいを求めて。

ふたつ一緒におっぱいにむさぼりつく姿には感無量でした。

その様子を母ヤギがなんとも言えない目をして見つめている。

動物も人もおんなじなんだなあと思いました。

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生まれたこどもたちは、いつも一緒。

おすとめすで、性格も全然違うけど仲がいい。一つはちゃきちゃきおてんば女子、一つはおっとりマイペース男子。

うちのこどもたちみたい笑

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ふと、今記事を書いててはっと思い出した。

今日は、、、母ヤギの命日だ。

。。。。。。鳥肌

ほら、

やっぱり想いは通じる。

いのちは、心のなかに生きていて、消えてない。ちゃんと教えてくれてる。

ヤギの話を書こうと思ったのは日付が変わったついさっき。

不意にヤギたちが頭のなかに浮かんだのです。

彼らのことを残したい。そう思ったのでした。

母ヤギからのメッセージだと感じてます。


母ヤギが亡くなったのは、私が退院した二日後。実は入院中に子やぎが一つ亡くなったのです。母ヤギとロープがからまり、首吊り状態だったそうです。私は看取ってあげることができなかった。ショックでした。

苦しかっただろうな、母ヤギもつらかっただろうな、目の前でいのちが消えていくのを見ざる負えない状態。まだ生まれて4か月もたってない幼いいのち。こどもたちもショックだったでしょう。

その三日後です。母ヤギが衰弱して息を引き取りました。

それまで1ヶ月ほど下痢が続いていたのもあり、首が締まったときに何か負担がかかったのか?原因は不明です。

退院してすぐ、元気のない母ヤギをみて、自分のことどころではなくなりました。獣医さんに見てもらわないと! 

ところが、普通の動物病院にきいても、犬やねこばかりで診てくれません。市の獣医さんにかけあっても、畜産業の家畜ではないから診れない。個人で飼ってるのでペット扱いです。

途方にくれ、泣きそうになりながら、何件も電話した末、これで最後にしようとダメ元で、ある動物病院に電話をしました。

そうすると、おじいさんらしい声の先生。

ヤギが立てなくて息も絶え絶えで、食べない。何とかしてほしいと。

話をすると、昔はヤギをよく診てた。と。

えっっ

どんな状態なのかを詳しく聞いてくださったのです。

話をしているうちに、私も獣医さんも、もう、手遅れであることはわかっていました。

人がなくなる前の兆候と同じだったから。

でも、どちらももうだめだとは、言わなかったのです。

言わないで、ポカリをうすめて口に含ませてあげて、とかなるべくからだが冷えないように濡れないようにしてあげて、食べれるものがあればあげて、日差しがあたらないように、とかアドバイスしてくださるのです。

そして明日なら往診に行けるから、と言ってくださったのです。

こんなにダメだとわかっていながら親身になってくださる先生にはただただ感謝しかなく、ただただ心強く、一人でどうしたらよいかわからなかった私の拠り所でした。

状況随時教えてとも言ってくださり。

なんという方なのでしょうか。先生としてもですが、お会いしたこともないのに、こんな人になりたいなと思うくらい尊敬の念を抱きました。

もう、たてなかったですが、首を持ち上げる力はあったので、ポカリを与えたり、草をあげると美味しそうに食べたりしてくれました。

ずっと顔を見ながら話をして、今までありがとう、こどもたちにも私にもたくさんのことを与えてくれて、豊かな時間過ごさせてくれて。うちに来てくれてありがとう。なのに何もしてあげられなくてごめんなさい、ありがとうありがとうって頭を撫でながら、顔に触れながら話していたとき、

不意に顔を撫でる私の手に顔を傾けすりよせてくれました。優しい目をしながら。

まるで、ありがとうって言ってくれてるかのような。

その時の意思の通じあった感覚は、今でもはっきりと覚えています。

動物はしゃべらないけど、感じてるしよく見てるしわかってる。

いろんな表情や行動やしぐさで人に伝えてくれてる。

それをしっかりと感じました。

その翌日の午前中、もう起き上がれず、呼吸が次第に下顎呼吸(息を引き取る寸前の呼吸。人も同じです)となり、話しかけながら娘と見守っていました。呼吸が止まる瞬間、大きく目を見開き一呼吸吸って動かなくなりました。


その様子を、すぐそばで見ていた一人残された子やぎが、この世の終わりのような見たこともない辛く悲しそうな暗い顔をしてじっと見つめていました。わかっている。

もう、その子の気持ちを思うといたたまれない。

直後に、先生に、先ほど亡くなりましたと報告しました。

そうか、、、と悲しそうな声。今から行こうと思っていたんだと。注射も準備した。本気で来てくださるおつもりだったのです。一時間もかけて、峠を越えて。最初に話を聞いたとき、厳しいなと思っていたんだと。でも、私が懸命に話すからなにかちからになりたいと思ったんだと、教えてくれました。私は、一人でどうしたらようかわからなかったから、二日間ともにいてくださったことがどれ程心強かったか、感謝の気持ちをお伝えしました。このような一人の人として寄り添ってくださる先生に出逢えたことに心から感謝しています。


日に日にお墓が増えていく。

そして、その一週間後、ついにその子やぎまでもが、亡くなるのです。まるで母のあとをおうかのように。死因は鼓腸症という、ヤギは横向きに倒れると腸内にガスがふうせんのようにたまり、肺を圧迫して息ができなくなるもの。

ロープがなんらかの拍子に両後ろ足にからみ、倒れてしまったのでしょう。

朝様子を見たときは元気で、私は受診日だったので、行ってくるねと頭を撫でて一人出掛けたのでした。

私が帰るそのほんの三時間ほどの間の出来事です。昼過ぎに様子を見に行ったら倒れておなかがふうせんのようにふくらんで死んでいたと旦那がいっていました。

顔を見ながら、膨らんだお腹を撫でながら、つらかったんやな、ごめんなあ、悲しい思いさせて。お母さんのとこ行きたかったんかあ?とただただ謝まりました。

お母さんと兄弟のところに行けるからね、大丈夫。

でも生きたかったよね、ごめん。あなたがいてくれて楽しかったよ、ありがとう!って声かけて。

三頭並んだお墓を作りました。


今まで誰にも話していないエピソードです。

でも、こうして命日に思いだし、会えた奇跡。

彼らのことを語り残したい。そう思いました。

彼らのために。

繋いでくれた母ヤギにありがとう。

あなたたちのこと、伝え続けるから、こどもたちに、かけがえのない豊かな時間を与えてくれた。今も不意にこどもたちの口からヤギの名前が出てきます。記憶にちゃんと生きてる。

あなたたちから教わったこと、大切にしながら生きるからね、

ありがとう 

と伝えたい。


なんだか、リメンバーミーに重なりますね。

ヤギたちの生きざまを、長い話でしたが、聴いていただいてありがとうございました。

動物はとても優しくて、私たちを助けも癒しもしてくれる。

ちゃんと感情を持っていて、意思がある。

嬉しい時は喜び、悲しいときは悲しむ。

人間とおんなじ。

こちらが優しい心で接すれば、動物はちゃんと感じて答えてくれますね。

それはどんな動物でも同じですね。命終えるときまで家族。

終えても家族の記憶には生き続けるから。

それも動物たちは知ってるのかもしれないなあ。

そんな今日は、こどもたちと、ヤギたちのことを語り、絵を描いて感謝のお祈りをして過ごしました。

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