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いつも通りの仕事の後、私は教室に向かいました。少しだけ緊張しながら受付で休会届を書きました。もう一人でも大丈夫かな、私はそう思ったのです。先生には黙っていたので、少し寂しそうでした。

ある日、美容院で気に入らない髪型にされた私はひどく落ち込み、先生にメールをしてしまいました。すると、先生は優しい返信で慰めてくれました。先生はいつも、私が悩みを相談するときちんと答えを返してくれました。先生はいつだって私の味方でいてくれそうな、そんな気がして涙が止まらなくなりました。思い返せば、私が先生を好きになったきっかけも、よく知りもしない私の味方になって無条件で励ましてくれたことでした。一見、冷たそうに見える先生の心の内は温かくて、私はそれが大好きで、もっと近づきたい、触れたい、そう思いました。

バンドの演奏が終わり、荷物を片付け、舞台袖から降りて歩いていると、先生が来てくれました。先生は私に何かが入った袋を渡そうとしますが、私は両手がふさがっていて受け取れずにいると、先生が袋を引っ込めようとしました。

「この上に置いてください!」

今思うと、先生は照れくさくてすぐに帰ってしまったのかましれません。その袋の中には、私がずっと前に先生に欲しいと言ってもくれなかったお手紙と、プレゼントが入っていたのです。私は天にも昇る気持ちで、毎日それを眺めて幸せに浸っていました。この気持ちがずっと続けば、欲張らなくて済むのにな…

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