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梅雨と夏の変わり目の蒸し暑い日、いつも通りレッスンをして、先生と電車で移動して、二人でご飯を食べて、コンサートに行きました。先生といつも通りだけど久しぶりのお出かけを、私は満喫しました。コンサートが始まるとホールは暗くなり、すぐ隣に先生がいる、私の胸は高鳴りました。

コンサートが終盤に差し掛かかる頃、私は胃の不快を感じ、お手洗いに行きました。不快は収まらず、私は泣く泣く先生にメールを送りました。

「気分が悪くなってしまったので、一人でゆっくり帰ります」

一晩休むと体調は回復し、その時はまだ自分の体の変化に気付いていませんでした。

私がバイトを始めたお店では、先生が演奏することがありました。私が先生にコーヒーを淹れると、助手かメイドになった気分でとても嬉しく、先生の演奏も聞けるので喜んで働いていました。しかし、またも胃の不快感が現れたのです。この頃にはもう原因に気が付いていました。

先生に会う時、私はよく頭痛になっていました。元々頭痛持ちだったので気にしていなかったし、きっと先生が緊張しているから私にその緊張が伝わり頭痛になるんだ、と考えていました。けれど先生と会う楽しみな日は、かなりの確率で頭痛になっていて、その度に頭痛薬を飲んでいました。そして胃に負担をかけてダメージが蓄積されていったのでしょう。今思うとその少し前は粉瘤という原因不明のできものが度々できていました。私は先生に好かれたい一心で自分をよく見せようと無理をし、体はそのことを教えてくれていたのです。

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