15

毎月参加するのが恒例となった、先生のとある集まりに私も慣れてきたころ、先生のお弟子さんという男性が訪れました。かつて先生に習っていたその方は今ではお一人で活動され、腕は相当なもので、怖いくらいの迫力と眼差しでした。

その男性と仕事仲間の男性を両脇にしてカウンター席に座っている先生を、私は横目でそっと観察しました。私はてっきり、年下の男性に挟まれて浮かれているのかと思ったのも束の間、先生は子分を従えた親分のような貫禄で、私は驚きと安心でおかしな気分になりました。

そして終了時間になると、先生はお店を移動して飲むのか、仲間内だけで出ていきました。「私は誘われなかったなぁ」と寂しい気分で家に帰り、眠りについた翌朝、先生から長文のメールが届きました。私は少し苛立ちを感じ、そっけない返信をしてしまいました。先生は意地悪です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?