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ノベルティーグッズも軍隊や時局関連で特に「お子様」の心をつかめ!ーと考えたんだろうな

 企業が売り込みのために発行する、さまざまなノベルティーグッズ。戦前はもちろん、身近な軍隊を題材にしたものがいくつもありました。同時に、戦時下の時局に合わせたものも見つかります。そんなグッズのいくつかを紹介しましょう。
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55センチ×39センチの大型グッズ
六輪式の装甲自動車ができます。
ちゃんと車体側面に薬の名前

 上写真は、手持のものの中では最大の「ポリタミン組立装甲自動車」です。大阪市の武田長兵衛商店が出していた補血滋養強壮剤のようで、有用アミノ酸配合、大人子ども問わず勧めていたとみられます。これだけ大きいと、薬局で目立ったことでしょう。
 この装甲自動車、海軍の九三式装甲自動車によく似ています。上海の海軍陸戦隊が所有していたので、日中戦争初期に売り込みように使ったのでしょうか。

小型の紙芝居のグッズ
箱に商品名が

 上写真2枚は、藤井得三郎商店が作った「マメカミシバイ ドウブツトナリグミ」です。隣組が全国に整備されるのは1940(昭和15)年10月の大政翼賛会発足後ですから、この商品も1940—1941年ごろのものでしょう。

標語入り紙風船
オリジナル標語も

 上写真2枚は、戦時中の標語入り紙風船で、「欲しがりません勝つまでは」といった有名なものに加え「兜の緒のみか腹帯も締め直せ」と、オリジナルっぽいものがあります。「欲しがりません」の標語が1942(昭和17)11月27日に大政翼賛会と読売新聞社、東京日日新聞社、朝日新聞社が「大東亜戦争1周年記念」に企画した国民決意の標語の一つですから、1943年ごろのものでしょうか。太平洋戦争中までノベルティグッズがあったことはちょっとびっくりです。
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 子どもが相手となると、製菓会社もいろいろ頑張ります。

明治製菓の軍帽になるノベルティーグッズ
ちゃんとお菓子の名前入り

 上写真2枚の明治製菓のグッズは、右側がチョコレート、左側がキャラメルの、それぞれ宣伝になっています。立体的に組み立てられるのが独創的で、その分、紙は45センチ四方ほどの大型になっています。

森永製菓のガスマスク
森永ミルクキャラメルの宣伝です。

 上写真2枚のガスマスクを模したお面になるノベルティーグッズは、1933(昭和8)年の関東防空大演習に合わせて作られたものです。時流に敏な感じです。ガスマスクのろ過吸収缶の部分には防空標語も入れてあります。

毒ガスの空襲が想定されていたころのもの

 このほか、酒のノベルティグッズもありました。こちらは完成させても出来栄えはどうかと思わせますが、大人が「子どもにせがまれてさあー」と酒を買う口実にはなったでしょう。

酒飲んで万歳はよろしいですが、備えよ銃後には…

 学用品のノベルティーグッズとして、こちらをどうぞ。「カオークレヨン」で戦車に迷彩をというわけです。これは、クレヨンのグッズとしてはなかなか良い発想です。

塗り分けするとかっこよくなるぞ!

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 こうしたノベルティーグッズを、一手に引き受けて製造していた会社もあったようです。下写真は、形式は同じ軍帽のグッズですが、依頼内容で細部を変えてあります。やはり、予算の都合でしょうか。

いずれも製薬会社のグッズで同じに見えますが
メンソレータムは両側に宣伝が入っています
展示会用にコピーしてつくったもの。

 両側に製品名を入れるかどうか、後端の処理をひも穴だけにするか、輪ゴムなどで止められるようにするか、いろいろパターンがあったのでしょうか。また展示会で何か再現して組み立てたりして、そのころの雰囲気を味わえればいいなと思います。

 まあ、グッズを通して子どもが軍隊に憧れたのか、あるいは憧れだったからグッズがたくさんあったのか。おそらく両方が相乗効果をあげて、身近な軍隊を演出する役割を持ったのでしょう。そして政府広報の役割を果たすグッズもそれなりに役立ったでしょう。


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