見出し画像

奇跡を起こした同郷人の引退を惜しむ

残念なニュースが入ってきました。奈良県出身で私と同郷の大相撲力士・徳勝龍が現役を引退したのです。

もっとも、今場所で引退だろうなという気配は少し前から感じていました。初土俵から14年間まったく休場がなかった頑丈な男が初日から休場していたうえに、千田川親方(元闘牙)が退職したという報道があったからです。幕内最高優勝も果たしたベテランが幕下に落ちても現役を続けたのは、年寄名跡を取得して相撲協会に残りたいからだろうという想像もありました。

徳勝龍といえば、この幕内最高優勝を抜きには語れません。令和2年初場所、前頭17枚目という幕尻での優勝でした。

それまで相撲のニュースをチェックすることなどほとんどなかった(小学生の頃はテレビでよく見ていましたが)私が徳勝龍の相撲を初めて見たのは、その場所の10日目、1月21日のことでした。日付まですぐ思い出せるのは、奈良で暮らしていた母方の祖母が亡くなった翌日だからです。葬儀のために帰省した際に、テレビのスポーツニュースで彼が千代丸を破った一番が紹介されたのです。

それから数日のことは上記の記事に詳しく書いたので割愛しますが、今になって思うのは、あれは本当に奇跡だったんだなということです。あの場所以来ずっと彼の取組結果はチェックしてきましたが、結局幕内には定着できず、優勝から1年足らずで十両陥落、3年ほどで幕下陥落となってしまいました。

しかし、あの快挙が色褪せることはありません。地元・奈良や高校、大学などゆかりある人々に大きな喜びを提供しただけでなく、全国に数知れず存在する二流のプロを勇気づけたのではないでしょうか。

一流が存在するためには比較対象となる二流、三流が必要です。すなわち、プロを名乗るプレイヤーのほとんどは二流、三流ということになります。

しかし、二流でも腐らず真面目に長く続けていれば、とんでもないことが起きるかもしれません。それを証明してくれただけでも、あの優勝には大きな価値があると思います。

そして、相撲界における彼の活躍はこれで終わりではありません。千田川親方としてまた人々に明るい話題を提供してくれることを期待しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?