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あふれ出す感情を新鮮な輝きと共に提示する花總まりの「集大成という名の始まり」、新世代のトートを確立しようとする古川雄大の執念…★劇評★【ミュージカル=エリザベート(花總まり・古川雄大・田代万里生・甲斐翔真・剣幸・黒羽麻璃央出演回)(2022)】


 ミュージカル「エリザベート」の宝塚歌劇団での日本初演の際、世界最年少の22歳でエリザベートを演じた花總まりが今日まで26年もの間、その役柄を続けて来られたのは、王室内の抑圧や家族の不協和音などで苦しみ続けたエリザベートがそんな中でもまとい続けた「気品」を誰よりも忠実に再現して来たからだろう。喜びや悲しみ、そして怒りや虚無的な気持ちなど、人生のさまざまな時点において移ろってきたエリザベートを陰に日向に支え続けた誇りとでも言える気品が、花總自身をも成長させ続けてきたのであろう。今回の公演をエリザベート役のひとつの「集大成」として演じている花總の姿には正直驚かされた。こんなにピュアな表情をしていたっけ。こんなに深い苦悩をつきつけてきたっけ。溢れ出すような感情が、それぞれのシーンに新鮮な輝きと共に提示される。それはまるで「集大成という名のはじまり」のようだった。花總のその気品が時間をかけて積み上げてきたものだとしたら、トートを演じる古川の神秘性は生まれつき、あるいは俳優という仕事を始めた時に既に持っていた天性のものが花開いた結果だろう。のびやかな肢体が放つ神々しさ、鋭い眼光に込められた魔力、究極の恐怖を与えるはずなのにずっと包まれていたいほどの優しさを放つ。そんな神秘性が3年ぶりの再演でさらに磨かれているのだ。それは新時代のトートといって過言ではなかった前回のトートをさらに乗り越えようとする古川の執念のように見えた。演出は小池修一郎。(写真はミュージカル「エリザベート」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 ミュージカル「エリザベート」は、2022年10月9日~11月27日に東京・丸の内の帝国劇場で、12月5~21日に名古屋市の御園座で、12月29日~2023年1月3日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで、1月11~31日に福岡市の博多座で上演される。
 
★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログにのみ掲載しています。

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田代さん、甲斐さんに関してはミュージカル「エリザベート(愛希れいか・山崎育三郎・田代万里生・甲斐翔真・涼風真世・上山竜治出演回)(2022)」で既に触れていますので、そちら(下のバナーをクリック!)をご覧ください。
 
★阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」ミュージカル「エリザベート(愛希れいか・山崎育三郎・田代万里生・甲斐翔真・涼風真世・上山竜治出演回)(2022)」劇評=2022.10.27投稿

★「阪 清和 note」ミュージカル「エリザベート(愛希れいか・山崎育三郎・田代万里生・甲斐翔真・涼風真世・上山竜治出演回)(2022)」劇評=2022.10.27投稿

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 なお、今回の公演ではエリザベート役と、フランツ役、ルドルフ役、ルキーニ役がWキャスト、トート役とゾフィー役がトリプルキャスト(ただしトート役のうち、山崎は東京公演のみ、井上は福岡公演のみであるため、同時にトリプルになることはありません)であるため、数えきれないほどの組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、ミュージカル「エリザベート(花總まり・古川雄大・田代万里生・甲斐翔真・剣幸・黒羽麻璃央出演回)(2022)」とミュージカル「エリザベート(愛希れいか・山崎育三郎・田代万里生・甲斐翔真・涼風真世・上山竜治出演回)(2022)」の2通りに限らせていただきます。
2つは別々の劇評として掲載いたしますが、あらすじなど一部が重複していることはご了承ください。

この2つの劇評ではカバーできない出演者(佐藤隆紀・立石俊樹・香寿たつき)がいらっしゃることは、ファンや関係者の方々には大変申し訳なく、心苦しく思っておりますが、「エリザベート」は超人気公演ですので取材機会も限定されます。どうかご了承ください。
またの機会に採り上げさせていただければ幸いです。ご容赦ください。
 ただし、ブログでのみ掲載する舞台写真は、表題の組み合わせ回だけでなく、さまざまな回で撮影されたいろんな組み合わせが掲載されていますので、ご覧になってください。先ほどカバーできないことをお知らせした方々の中で写真でもご紹介できない方もいらっしゃいます。重ね重ねで申し訳ありません。ご容赦ください。
 
★ミュージカル「エリザベート」2022年公演公式サイト

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