舞台評

一瞬の瞬きのような祝祭的空間の歓びと深い哀しみがない交ぜになった世界観は作品を特別なものにしている…★劇評★【ミュージカル=ダンス オブ ヴァンパイア(山口祐一郎・神田沙也加・東啓介・佐藤洋介出演回)(2019)】

人間の血がなければ生きていけないヴァンパイア(吸血鬼)と、血がなければそもそも生きていけない人間。双方が共生できる世界などこの地上には存在しないが、唯一、このミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」が演じられている劇場の中だけは別空間だ。ここではまるで双方を隔てる壁あるいは双方の間に広がる溝を称えるかのように、一瞬の瞬きのような祝祭的空間が繰り広げられる。そしてその底辺にどうしようもなく広がるの

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人生初の2.5次元舞台に挑戦してきたよ!その3

こんにちは、雪乃です。

前回の記事からちょっと間が空いてしまったのですが、前回の続きです。

「首都争奪バトル舞台 四十七大戦 開戦!鳥取編」観劇レポ、本日で完結です。

気づいたら、大千秋楽から2週間たってるんですね。早いです。
プログラムやゲネプロの動画を見返しては、「夢じゃなかったんだ……!」と思う日々を送っております。

まず、一つ言わせてください。

広島さんカッコよかった~~~~~~

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尽きることのない暴力性と純粋な魂がとぐろを巻き合いながら互いを高みへと押しやるような迫力に満ち、現代人の心に鋭い切っ先を向ける…★劇評★【舞台=カリギュラ(2019)】

小説「異邦人」や戯曲「誤解」などを生み出したアルベール・カミュの黄金期と言われる1940年代に発表されたカミュの代表作のひとつ「カリギュラ」。暴虐の限りを尽くして孤立を強める中で破滅の予感を抱きながらも、不可能なことを実現しようとする美学の中に没入していくローマ帝国皇帝カリギュラの姿を、若き演技派として注目される菅田将暉が舞台「カリギュラ」で狂おしいまでに表現している。人間の裏地のようなざらついた

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人生というものの不可思議さと幸福感に満ち満ち、よりその祝祭感を増した作品に成長していた…★劇評★【ミュージカル=ビッグ・フィッシュ(2019)】

親というものは自分の息子や娘になぜこうも本当かどうか分からない話をするのだろうか。自分を大きく見せるため? いやいや子どもの想像力をかきたてるため? いずれにしても、子どもたちがその真実を知った時、互いの真実はふつふつと音を立て始める。そんな世界中のどこにでもある普遍的な物語のようでいて、とびきり特別なミュージカル「ビッグ・フィッシュ」の日本人キャスト版が2017年の日本初演からわずか2年で再演公

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人生初の2.5次元舞台に挑戦してきたよ!その2

こんにちは、雪乃です。

前回に引き続き、「首都争奪バトル舞台 四十七大戦 開戦!鳥取編」の観劇レポその2です。

今回は、キャスト別感想書きます!ネタバレ感想です。

鳥取さん役・永瀬匡さん

キャスト発表の際に出た宣材写真が結構濃いめで、この人が鳥取さん……?と思ったんですが、ビジュアルも動きも鳥取さんだった。
全体的にはカワイイ感じだったんですが、覚悟を決めて立ち上がる姿がカッコよくて。その

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人生初の2.5次元に挑戦してきたよ!(首都争奪バトル舞台 四十七大戦観劇レポ)

こんにちは、雪乃です。

お久しぶりでございます。リアルが忙しく、最近低浮上です。
さて、noteに浮上していない間、何をしていたのかと言いますと。

人生初、2.5次元舞台を観てきました!!!!

タイトルにもあります通り、私が今回観てきたのは
「首都争奪バトル舞台(ステージ) 四十七大戦 開戦!鳥取編」

わたくし、この舞台の原作漫画「四十七大戦」の大ファンでして。
舞台化が決定し、これは行か

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朗読劇「ジキルvsハイド」を観劇

音楽朗読劇「ジキル vs ハイド」観劇した。

キャストは中澤まさともさん、高橋広樹さん、小原莉子さん。本作品は弁護士のアターソン、メイドのマリー及びにジキルの告白の三人の視点からストーリーが進んでいく。声や音楽で表現する聴覚的なアプローチで、19世紀ロンドンへいざなう朗読劇である。

(ジキル博士....中澤まさとも/アターソン弁護士....高橋広樹さん/メイドのマリー...小原莉子(敬称略))

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さらに目標を高く掲げ、作品を成長させていくようなチャレンジスピリッツがいくつもの箇所に散りばめられている…★劇評★【ミュージカル=ラ・マンチャの男(2019)】

「ラ・マンチャの男」は今の自分を映す鏡である。その反射の光は時には厳しく、時には優しく私たちを照らし、「日々の現実、つまりあるがままの人生に折り合いをつけていないか」と激しく問うてくるからある。「自分があるべき姿のために戦う」ことが夢を持つということであると説くこの作品は、単に物語を観客に伝えるだけでなく、その観客の心の中にまで、今の自分に人生の真剣度を試してくる作品なのだ。たとえ夢はまだかなって

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夢を追うことの深い意味合いを私たちに感じさせて一段と洗練さを増している…★劇評★【舞台=ジャニーズ伝説2019(2019)】

米国に武者修行に出るなどジャニーズの原点とも言える伝説のボーカルグループ「ジャニーズ」の奮闘を中心に、ジャニーズ事務所で活躍してきたアーティストやグループの歴史を「A.B.C-Z」の5人がお芝居とショウで綴る「ジャニーズ伝説」の2019年版が上演されている。ファンにはおなじみの演目だが、今年は事務所を率いてきた総帥、ジャニー喜多川氏が急逝した年。観客席のファンらは、高い理想を追い求めた草創期のジャ

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子どもたちの感情と関係性がぶつかり合って火花を散らす様はすさまじいリアリティーを持って私たち観客に迫って来る…★劇評★【舞台=渦が森団地の眠れない子たち(2019)】

子どものころの思い出は、良い思い出も悪い思い出もなんだか霧に包まれているようにあやふやだ。それは別に記憶が薄れているからではなく、その思い出ひとつひとつに数え切れないぐらいの感情が取り巻いていて、輪郭をはっきりさせて取り出すことができないからだ。その感情も子どもならではの無邪気さの裏側で、信じられないほどの残酷さが付きまとっていることもある。逆にジェラシーのような地に足のつかない負の感情だと思って

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わたしもあなたのことがスキです