見出し画像

月刊イランだより(仮)〜テヘラン到着〜

 足が悪いというおばさんに譲ったため、トイレに近いからと代理店に手配してもらった通路側の席ではなく、窓側の席で夜景を眺めていたら、テヘランに向かう空の旅は終わっていた。
 ザ・バケーションといった格好の客はいつの間にか居なくなり、著しく肌色は無くなっていた。3時間の間にどうしたらこんな大勢の人間が着替えを済ませられるのだろうか。
テヘラン行きの機体にはビックロ新宿東口店の試着室に繋がる隠し扉があるのだろうか。
 降りるやいなや、お金を払って手配した席をついやせ我慢して譲ったせいで行けなかったトイレへそそくさと向かう。
目の前に広がるのは異臭を放つ見たこともない形をした白い陶器。日本の和式トイレと類似しているが、そこにトイレットペーパーはなく、代わりに銀色に光輝くホースが配置されていた。由緒正しきイラン式トイレである。
 イラン人は用を足すとき、トイレットペーパーではなく手動ウォシュレットのごとくホースで洗う慣習がある。そして拭かずにびしょびしょのままズボンを上げる。これの嫌なところはトイレットペーパーがないことはもちろん、床がびしょびしょなことだ。
イラン人はどうやって長いマントとヒジャブを濡らさずに手動ウォシュレットをしているのだろうか。
 大量の荷物をレーンから受け取り、外へ出ると、異様なほどの視線を浴びた。
経済制裁下のイランへの観光客は少ない。アジア人なんて特に少ない。珍しいものが見れて嬉しいと言う顔をしたイラン人達と目が合わないように、迎えの車の元へ向かう。
遂にテヘランに来てしまった。

#イラン #海外赴任 #海外駐在
#テヘラン #中東 #旅行 #海外 #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?