「夜が明ける」に見る、ストレスの段階——文学と希死念慮①
「夜が明ける」は、西加奈子さんによる、若者の貧困・過重労働・虐待を描いた名作だ。決して救いのない物語ではないのだけど、かなりシリアスなストーリーなので、重すぎて読めなかったなどの声もちらほら見かける。
しかしこれは、貧困の属性を継ぎはぎして必要以上に重くしたコラージュではなくて、ほんとうにリアルな苦しみを表現しているのだ。
今回は、メインの登場人物のうち、詳細が詳しく書かれている、「俺」について言及していきたい。
ネタバレになってしまうが、「俺」はパワーハラスメントを毎日受