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⼆⼗数年後、東京 どこかのまちで | 2050年 東京のいとなみ STORY 03

みなさん、こんにちは。石神井いとなみの起点プロジェクトの竹内(デジタル・アド・サービス)です。

石神井いとなみの起点プロジェクトは、2026年春、東京・石神井に新しく生まれる福祉の拠点(設置主体:社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会)をベースに、東京・都市部の抱える課題の多様性と絶対量に向き合いながら「基本となる福祉事業」と「みらい創造型拠点事業」そして、その2つの融合で、誰もがあたりまえのいとなみを続けていくことのできる地域づくりのモデルとなっていくことを目指すプロジェクトです。

▶︎ #01:はじめまして「石神井いとなみの起点プロジェクト」です!

今回は、未来の東京のとあるまちで、どんなシーンが見られるだろう? こうだったらいいな! という姿を絵と言葉で表現した「2050年 東京のいとなみ」シリーズの第3回目です。

▶︎ STORY01と02はこちらから!


1. 2050年 東京のいとなみ

⼆⼗数年後、東京のとあるまちで

東京都某区のグループホームに暮らす50代後半の⼥性 Aさん。
ここは、⽯神井町のグループホーム/拠点をモデルにつくられた施設です。⾃閉症で知的障害のあるAさんは、両親と区内の実家で暮らしてきましたが、⾼齢となった両親が相次いで、⾼齢者施設に⼊居することとなり、10年程前からこのグループホームで暮らしています。数年前から運動機能が低下、移動時には⾞椅⼦を使⽤しています。

STORY 03

職員のIさんが、慣れた様⼦でAさんの腕に着けられたリストバンド型のウェアラブルセンサを操作しています。この⼩さなデバイスは、さまざまなデータを収集・分析し、Aさんのいまの状態や予測される変化を教えてくれる強い味⽅です。部屋にやってきた訪問リハビリのUさんとの情報共有もスムーズです。
数年前から⾝体機能の低下が進み、医療的ケアが必要になってきたAさん。ここでは、⽯神井町のグループホームでの共同研究・実証実験の結果をもとに、レイアウトの可変性が⾼い居室環境づくり、衛⽣環境を保てる機能的なトイレや機械浴室の設置といった、建築⾯での配慮や⼯夫が設計時から取り⼊れられており、変化する⾝体とともに暮らし続けることを⽀えています。

2. 誰もがその人らしく暮らせる居住の場づくり

STORYの舞台は、⼆⼗数年後、東京都市部のどこかのまち。この「石神井いとなみの起点プロジェクト」での経験を活かしてつくられたグループホームです。

「石神井いとなみの起点プロジェクト」では、福祉施設を⽣きた研究の場とし、研究機関と連携しながら実験的な実践を⾏っていく計画をしています。そして、その経験をもとに、他の施設や他の地域でも展開できるモデルケースとして、発信・提案していくことを目指しています。

ここでは、そのなかでも新しい拠点の中心的な機能の1つとなる、共同⽣活援助(重度障害者グループホーム)での「居住の場づくり」についてお伝えします。

※設計は一部変更になる可能性があります。

特徴1:さまざまなケースに対応できるユニット構成

グループホームは、建物の2・3階(4階建てを予定)に配置。2階には、医療的ケアにも対応する「高齢重度障害者ユニット」とグループホーム体験の場となる「宿泊体験室」を、3階には「強度行動障害に対応するユニット」とあらゆるケースを受け入れる「ショートステイユニット」を設けます。

グループホームのユニット構成

特徴2:医療的ケアにも対応する高齢重度障害者ユニット

医療的ケアが必要な人に対しては、基準面積より広い個室を設け、大きな車椅子や医療機器が配置でき、支援者が動きやすいスペースを確保します。また、新しくできる拠点から歩いて5分ほどの距離にある、東京都手をつなぐ育成会が運営する東京都重症⼼⾝障害児(者)通所事業所「Leaves練⾺⾼野台」や医療機関とも連携しながら支援を行います。

医療的ケアに対応する居室はのイメージ

特徴3:強度行動障害に対応するユニット

強度行動障害ユニットの居室も、室内を構造化することができるように基準より広い面積を確保。入居者の特性に応じて、間取りや仕上材、設備など、特性に応じた最適化ができるように、あらかじめ建築を設えることで、将来的な使い方の可変性を⾼めます。また、法人で取り組むTEACCHプログラム(※1)やABA(※2)などと合わせ、強度⾏動障害への専門性の高い、根拠に基づいた⽀援を行います。

居室の可変例

※1:TEACCHプログラム
自閉症当事者やその家族、支援者等の関係者を対象としたを包括的なプログラム。自閉症およびその周辺領域に属するものの療育方法として、1972年、アメリカ・ノースカロライナ州で研究・開発され、以降、世界各国に広まり実践的に発展。
※2:ABA
応用行動分析学。人間の行動の基本原理にもとづき、環境的な働きかけによって、望ましい行動を増やし、相対的に困っている行動を減らしていこうと考える学問。自閉症をはじめ、障害がある人への生涯に渡る支援の方法として広く活用されている。

特徴4:快適な居住環境のモデル化を目指し研究機関と連携

行動特性や身体状況により適した居住環境づくりの標準化・モデル化を⽬指し、研究機関との連携を進めています。「強度⾏動障害のある⽅のよりよい居住空間の検証とモデル化」をテーマに、東京⼤学 松⽥研究室 松⽥雄⼆准教授と連携。新しい拠点での取り組みを検証し、良いところを他施設にも展開し、将来的には基準を更新、制度化を働きかけることを目指しています。

松⽥雄⼆ 東京⼤学⼤学院⼯学系研究科建築学専攻 准教授
2002年、東京⼤学⼤学院⼯学系研究科建築学専攻修⼠課程修了、その後設計事務所勤務を経て、2008年同⼤学院博⼠課程修了(博⼠(⼯学))。東京理科⼤学建築学科助教、お茶の⽔⼥⼦⼤学⽣活科学部⼈間・環境学科准教授を経て現職。視覚障害者の歩⾏環境、障害者の居住環境、建築のユニバーサルデザイン、医療・福祉施設計画等の研究に従事。著書に「ユニバーサルデザインの基礎と実践」(共編著・⿅島出版会)、「福祉転⽤による建築・地域のリノベーション」(共著・学芸出版社)ほか。


石神井いとなみの起点プロジェクトでは、⾼齢重度障害者や強度⾏動障害等の利⽤者⼀⼈ひとりが、安⼼して⾃分らしい地域⽣活を送ることができるよう、ハード⾯とソフト⾯を整えた暮らしの空間を提供するとともに、実験的でエビデンスを重視した実践を⾏いながら、そのプロセスや成果をベースに、どこの地域においても暮らし続けることができるモデルケースの提案へとつなげていきます。そうした取り組みの模様も、note等で継続的にお伝えしていきたいと思います!

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🌱 このnoteでは、こんなコンテンツを展開していきます!
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・VISION:中⻑期の視点でのプロジェクトの考えや思いを伝える
・TEAM:インタビューや対談で、プロジェクトの⼈を伝える
・ACTION:プロジェクトでのリアルな活動を伝える
・FIELD:⽯神井のまちとそのいとなみを紹介する
・LAB. :学術機関や企業との共同研究からの学びをシェアする
・STORY:ここで生まれるいとなみを想像し、言葉や絵で表現する
・MEETING:プロジェクトを通じて出会い、つどい、つながる
・PICK UP:思考や対話の起点となる視点を共有する

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