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東洋経済「ドバイで増殖する「日本のパン屋さん」の正体」の記事の問題点と疑問

3月13日にリリースされて東洋経済オンラインにて上位ランキングにも入っていた阿古 真理 様の記事「ドバイで増殖する「日本のパン屋さん」の正体」について記事にある登場人物、会社や関係者を知っている者として、中東側から送られてきた内容とあまりに事実とかけ離れたところがあり、私が知っている話と今回聞いた話をまとめると共に、事実関係の確認を東洋経済様へ依頼したくnoteを書きました。

この記事の概要は日本人の女性がドバイで現地ローカル女性と試行錯誤の末、日本式のパン屋を遠く中東の地で根付かせ更なる中東ビジネスを広げていく、という美談のストーリーになります。海外でビジネスを行う者の理想的なサクセスストーリーと言えます。

ですが、中東側にこの記事まで広がった結果、現地のそれも、ヤマノテ内部の関係者から記事の内容が事実と大きく異なることが書かれており、日本の読者に本当のことを伝えて欲しいと中東より記事リンクと共にメッセージが送られてきました。(私もこの記事の存在を中東より送っていただき知りました)

先に申し上げますが、記事中の方々のレピュテーションを貶めるつもりも全くございませんし誹謗中傷の類でもありません。ただ中東側のヤマノテアトリエ(以下、ヤマノテ)のオーナー、関係者の皆様を深く知る者として、何十回と読んだ上で、あまりに疑問が多く、東洋経済様の記事における信用問題に関わると考え事実関係を調べていただきたいと強く願い書かせていただいております。

・問題点

 ①サトウ氏はヤマノテの立ち上げ、経営、発展に関わっていない?
 ②パンの開発や選定は日本の別の企業が行った?
 ③東洋経済オンラインの記事中のヤマノテの写真掲載は許可されておらず   ヤマノテ側は記事の存在をそもそも知らなかった?

以下、東洋経済様の記事から抜粋して確認して行きたいと思います。

まず上記の記事の部分ですが、この根本的なストーリーとしてこの中東で人気の日本式パン屋の仕掛け人がサトウ様であることに対して創業者のハムダ・アルターニ氏が強く言うこととして

「サトウはいつも私に『ヤマノテの成功は私と貴方のものよね』と言うけど、彼女は何もしていない。」

とはっきり言及されています。サトウ氏はヤマノテに勤務した過去もないですし、サトウ氏の会社とコンサル契約をしたこともなく、資本の提携関係もないそうです。ちなみにハムダ様ご本人が言及した原文は「She always tell me Yamanote is her and my success but she didnt do anything」となります。

またハムダ氏はサトウ氏のアドバイス部分とされている下記の部分、

”サトウ氏は、「毎日食べるものだから、パン屋もいいのでは。それもコロッケパンなど昭和のパン」と考え、ハムダ氏を説得”

に対して

「これはケーキを販売するにあたりケーキの原材料が手に入りにくかったため菓子パン、惣菜パンに戦略を切り替えた。それを提案・サポートしたのは日本の別のパン開発チームである、彼女ではない」

とハムダ氏は言及。

2人のプロジェクトは、一歩先んじていた。/  サトウ氏は成功の要因をこう語る。

これに対してハムダ氏は

「この2人とは誰のことなのか?ヤマノテは夫のスヘイルと私の2人で行い日本の仕入れ先の企業により支えられたものでサトウ氏は関係ない。場所選定もプロモーションも我々とその日本企業によるものだ」

「成功とはなんなのか?パンの開発については専門家と粉から調整を行った。彼女の言動は本当のことではない、彼女は決して事業に参画してない」

この現在の成功に対するコメントについてハムダ氏は

「この前サトウ氏から突然たくさんインタビュー内容が送られてきた。ここに書いてある内容は本当だ。だが記事中にヤマノテの立ち上げ、経営に関わったスヘイルの名前を出さずに自分の名前だけを前に出すのはどういうことだ?そして記事に店の中の写真を出す許可はヤマノテの誰も出してない」

ハムダ氏の成功をサポートできたのは自分のインスピレーションを信じたからだ。

「何度も言うが彼女(サトウ氏)はビジネスに関わりはない、ヤマノテの仕入れにも発展にも彼女は関わりはない」

パン屋を成功に導いたサトウ氏のビジネスも、領域を広げ始めている。

「She is not normal!」(原文ママ)

ところで、2人が成功させた日本スタイルのパンは今、世界から注目されている。

「2人とは一体誰のことなのか???(以下略)」

・ハムダ氏のコメントの分析

以上、中東、ヤマノテ側からのこの「ドバイで増殖する「日本のパン屋さん」の正体」記事に対する意見がドッと送られてきたのですが、私も日本側、中東側を公平に見て判断を行うべきだと思います。例えば、穿った見方ですが、記事中のサトウ様がいいようにコンサルで使われて功績を全てアラブ人側が全て奪い取った、その可能性ももちろん考えられます。ですがサトウ様がヤマノテの中で働いていた記録は無いようです。ヤマノテのゼネラルマネージャーはレバノン人で構成されておりチーフ、ウェイター、ウェイトレスは皆フィリピンなど東南アジア人です。

もしくは友人としてアドバイス、例えばこういう商品を作ったほうがいいよ、とお話しする立場にいたのかもしれません。ですが、茶飲み話の延長としてアドバイスをしていたという話であればこの記事では「会社の立ち上げから経営、戦略までサポートして成功に導き中東ビジネスの新しい領域へ取り組んでいる」という流れは少々誇張しすぎているかもしれません。ですがもしかしたら友人のビジネスを支える為に契約書もなくがっしりとコンサルを行ったのかもしれません。それが事実ならば感謝こそされるでしょうが、それにしてはハムダ氏の拒否反応と言いますか、サトウ氏が関係ないという強調が過ぎるとも言えます。

それに不思議なのは東洋経済の記事に対して写真の掲載許可をヤマノテ側が一切出していないという事実があります。本記事についてヤマノテは何も知らなかったようです。私は中東という地域で活躍する人々を応援しておりますし、真摯に業務に挑む方々を尊敬しております。サトウ様にはお会いしたことはないのですが、同じく中東で働く者としてこの誤解を解いてヤマノテとどういうビジネスを行って事業を成功させたのか知ることができれば幸いですので、是非事実関係をクリアにして中東マーケットへの取り組み方の一助とさせていただきたいと考えております。

・東洋経済様は記事の裏取りをどれだけされたのか?

また東洋経済様はもし可能でしたらランキング上位に出てきたこの記事の取材の裏取りをどれだけ行ったのか、詳しく調べていただきたいと思います。もし仮に事実と異なる美談だけが先走った話が広まったのならば中東マーケットに対して誤った認識を持たせることになるかもしれません。フェイクニュースという表現ではないかと思いますが、誇張が過ぎるのかどうか是非調べていただきたいです。

情報が少なく色々と大変な中東ではございますが、ヤマノテに電話を一本かけるだけでわかる話ではあります。

この4月に私がヤマノテに遊びに行く際にヤマノテのオーナーたちとどのような話ができるのか、心配でもあり色々考えてしまいます。

ヤマノテのオーナー(真ん中)と筆者(右)




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