見出し画像

【スクールエッセイ】学校の七不思議とは結局のところ……


 小学校三年生のころの私が好きだったもの。

 それは、怪談話。

 当時、鍵っ子だった私は、家に帰るのが怖いなぁ、怖いなぁ(稲川淳二氏ではありませんが)と思いながらも、学校から家までの道中、友達が紡ぐ怖い話に釘付けになっていました。

 そしてある日、その友達が言ったんです。

「学校の七不思議って知ってる? 」と。

 私たちの学校は当時住んでいた市の中で、一番かニ番目に古いと言われていた木造の校舎だっただけに、そんな噂があると言われても何ら不思議ではないな、と直感的に感じた訳です。

 それに「七不思議」というフレーズはその頃の私にとって、ミステリーとサスペンスがベストに融合した好奇心をくすぐられる魅惑的な言葉で、ありもしない自分の妖怪アンテナがびびびっと反応したのでした。

 学校の七不思議、と言われただけで、目の前の校舎が巨大なお化け屋敷のように見えてしまうなんて、あの頃の私の思考は言葉に純粋そのものでしたね。

 そしてその七不思議とやらを、彼女がひとつひとつ教えてくれたのです。

1.音楽室の写真の中のベートーヴェンが笑う(定番)
2.理科室の人体模型が動き出す(これも定番)
3.階段が13段になってる(何回も数えた)
4.トイレの花子さん(むしろ懐かしい)
5.テケテケ(めちゃくちゃ早いやつ)

 噂は確かめるより他ない、と休み時間に各部屋を確かめに行ったりもしましたが、まさかそんな事が起こるはずもなく。

何せ良い子の私たちは基本、昼間にしか学校に滞在しないので、もしかしたら誰もいない夜に、そんな現象が起こっていたのかも知れません。

 さて、気を取り直した私たちは残る他の二つの噂の真相を確かめる事にしました。

 まず、その中の一つの噂。

「学校の池に人面魚がいる」というもの。

 息巻いた私たちは期待と不安を胸に抱えて二十分休みという貴重な時間を使って池に向かいました。

 到着するとそこには何匹もの鯉が気持ちよさそうに泳ぐ光景がありました。

 普段、立ち寄らなかった事もあり、鯉の生態に触れたようで、少しながら感動していました。
 すると、1匹の鯉がこちらにスーッとやって来たんです。

 その瞬間、隣の友達が「ギャッ」と言ったものだからつられた私も思わず声が出てしまいました。「ギョッ」と発したとか発しなかったとか、魚だけに。

 ともかく、横にいる友達の「あれ、あれ」と指を差す方をじっと追ってみたんです。

 そしたら……

 いました、人面魚。

 そこで初めて「ギャー」と大きな声が出ましたが、そこは怖いもの見たさ。

 そっと目を開けてもう一度見てみると、確かに顔面は人の顔っぽいのに不思議と怖さを感じず。。。

 そこでまじまじと見ていたらちょうど人間でいう眉毛の場所に、マロ眉みたいな黒いシミ?があって、それが目に見えただけでした。

 鯉からしたら餌をくれる訳でもないガキにギャーギャー言われて迷惑極まりなかったはずです。

 ごめんなさい、鯉さん。
 安心と落胆を同時に突きつけられた私たちの二十分休憩はそれで終了しました。

 さて、気持ちを切り替えて残るは最後、七つ目の噂。 

 それは、「校長先生の親指が偽物」という耳を疑うようなものでした。

 小学生ながら、それって七不思議に入れても良いものなんだろうか、と一考しつつも、全校集会で校長先生が話している間、私の目線は校長先生の親指だけに集中していました。話なんて聞いていません。

 真相は言うまでもなく親指は本物で、誰かが校長先生を今でいうところのAIロボットか何かに仕立て上げたかったんでしょうね。

 ごめんなさいでした、校長先生。

 そしてその後は、二宮金次郎像が校庭を歩き出すとか、美術室の絵が笑うとか、正門近くの異次元空間が存在するとか、噂が噂を呼びこんで、七不思議はとうとう七つではなくなりました。

 でも思い返せば、七不思議に登場する人物たちにはちゃんと背景や理由があるんですよね。

 それも寂しくて悲しいもの。

 つまるところ、学校の七不思議というのは、子どもたちの想像力の集大成で、小説でいうなら一つのテーマにたくさんの作家さんが集うアンソロジー的な立ち位置なのではないか、と今更ながら起承転結で終わるストーリーに感服したわけです。

 ただ、この七不思議を話をしてくれたお友達ですが、記憶にある限り普段はめちゃくちゃ大人しい子だったんですけど、怖い話をする時だけは キャラ変が生じて、稲川淳二氏のようになっていたんですよね。

 ある種、彼女が一番ミステリーでしたが、
学校からの帰りは彼女のお陰で怖くも楽しい時間となりました。

ありがとう、友。

📚あとがきとライフログ読書📚

最近、Story Tellingに関する本を読みました。

そこで、著者が提唱している事を念頭において書いてみたんですよね。

因みに、上記はエッセイなので実体験です。

アメリカではプレゼンや、スピーチをする時にStory Tellingを大切にします。

それは小学校の授業でも取り入れられるほど。

というのも人の心と脳は、物語に影響を受けやすく、物語を記憶しやすいという特徴があるからだそうです。

そのStory Tellingをうまく機能させるには、四つのコア要素が重要だと、

Story Tellingのコーチでありながら
元々は大手コンサルティング会社の
マッキンゼーにも勤めていた、
Philipp Humm氏が、

自著の
『The StorySelling Method: Master The Art Of Storytelling To Build Trust, Stand Out, And Boost Sales (Storytelling for Business Book 1)』

で説明していました。

人の記憶に残るスピーチをしたい
ブランディングでファンをつけたい
人の共感を得て物を売らずして売りたい

そんな方は、「物語」を意識されてみると良いかと思いますよ😊

今宵も最後まで読んでいただきまして
ありがとうございました。

因みにライフログ読書というのは私の造語で、自分の知りたい事を探検するように読む
ピックアップ読書のことをいいます。

まずは〇〇かも知れないと仮説を立てて、
読んで試す検証を繰り返して、物事の本質を見抜くという私の習慣みたいなものでございます😌

しゃろん;










この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?