仙道の独習

 仙道では気功法や武術と同様に、「良師は何年かけてでも探し出せ」と言われています。それほど始めの導き手は重要になります。ただし、気功法や武術と違い、仙道は元々道教の側面も持っていた為、道士が山奥に住んでいる場合が多いです。その上、文化大革命で一度弾圧されたので、人目に付くような場所にはいないことが多いです。
 今ではネットでオンライン教室も多くありますが、9割が偽物、もしくは詐欺師です。ネットはいい加減な情報が多いですが、仙道、気功法、武術に関してはもう一つ重要な要素があります。それは文化大革命で弾圧されて外には出せなかったこと、戦後から西暦2000年くらいまで中国は産業も文化も貧しい国で、そうした伝統的なものは国の宝として海外には出さなかったことという事情があります。その為、少ない情報しか与えられず、中国人は多少の知識でまるで全てを修めたかのように話しますし、素直な日本人はその一部を教えられて全て教わったと思わされていたのです。

 仙道、神仙道に関してはPCを持っていなくてもスマートフォンを持っているという全盛期の今日でも、写真や動画に出たがらない人種です。では学べないのかと言うと、昔から「必要になると師に出会う」「弟子に準備が出来た時には必ず師が現れる」などと言うことわざがあるように、その人に必要になれば師は自然と現れます。むしろ探し回って見つけた師は反りが合わなかったり、偽物だったりする場合が多いものです。
 
 大事なのはこの場合の師というのは必ずしも人間とは限らないということです。仙道を学ぶには太陽や雲、風などといった自然現象を始めとして、木や鹿のような植物や動物である場合があります。何故なら、宇宙そのものと合一するには宇宙そのものの原理を知る必要があるからです。
 
 つまり、あなたの心が道(dao)に対して寄り添う気持ちの準備が出来ていれば、すでにあなたの師はあなたの中にいるのです。太極拳の言葉で「師は門に導くのみ。弟子が鍛錬を積む。」という言葉がありますが、人間の師や本稿はあくまでガイドであり、目的にたどり着くのはあなた本人になります。

 従って、仙道は中身を学ぶのは自分でしかできない。つまり独習するしかないのです。


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