仙道・神仙道とは

  仙道の目的は 「不老不死」 つまり、老いの不安や死の恐怖を克服して健康で長く楽しく、 生きるということです。仙道・神仙道・ヨガはそれぞれ「道との一体化」「神との一体化」という最終目標は微妙に違いますが、そこに至る為に仙人になるという同じ道を通ります。そして仙人とは「不老不死」や必要であれば超能力を使える存在です。

 私たちがこの世に生を受けて現在生きているということは、 生きる楽しみが与えられているということにほかなりません。しかし、人生は楽しみより苦しみの方が多いというのが現実です。
仏教では、 この世界は苦の世界だといいます。たとえ一時的に楽しいことがあっても、それはいつかは苦しみに転ずる相対的なものだといいます。 それでは私たちはいったい何のために生きているのでしようか。
 
 またキリスト教では、人類の祖先であるアダムとイプが神さまの言いつけに背いたという罪(原罪) を、子孫である全人類が償うために、人間に苦しみが与えられているのだといいます。これでは「神を試してはいけない」という教義はあるのに、人間は常に試されているということになります。
これに対して古代の中国民族の間では、 生は本来楽しいもの、楽しくなければならないものという思想が一般的でした。 もちろん歴史的に見ても分かるように、現実には彼らの生活は苦しみの連続でした。 しかしそれは生き方に問題があって、 そのため本来楽しいはずの生が損なわれているのだという考え方に立っています。だからその生活のあり方を改め、 楽しみを妨害しているものを取り除けば、当然人生は楽しいものになるというふうに考えています。これは仙道や道教にそうした考えがあるというだけでなく、日本人の自然崇拝と同様、中国人(特に華僑)の知識層は当然のように考えています。
 
 そこで楽しみを妨害しているものは何だろうかと追求していった結果、 それは究極的には死に対する恐怖だという結論に達しました。仏教でも人生のもろもろの 苦しみも根本的には生老病死の四苦が原囚だと言っています。三苦(老と病と死) は誰でもが体験するか少なくとも予想できる苦しみで、 それに対する不安感、 恐怖感が苦しみの元となっていることは確実です。
この老病死の三つを取り除くことができれば、 人生は本来通りの楽しいものになると古代中国の人々は考え、 それを克服する方法を真剣に探究したのです。これが仙道・神仙道=不老不死といわれる技術です。

 要するに不老不死ということは、 五体満足で、 不安のない楽しい生を長くつづけるということで、これこそ人間としての本来の生き方であり、 そういう生を確保することが仙道の目的であるということです。そういう生き方を真生と呼びます。

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