病は気から

 気は万物を構成する要素です。中国大陸には昔からあった考え方ですが、いずれ科学的に解明されるものだと思われます。そして、量子力学の学者ボーアやシュレディンガーが陰陽太極理論に傾倒したことから類推すると、科学ではまだまだ分からないことがあり、むしろ抽象的ではありますが、古くからある東洋思想の方が的を射ている場合が多いからだと思われます。
 仙道の行を行えば、気が存在することは誰でも体感できます。いわゆる武術で用いられる気や気功治療で用いられる気などでも体感できますが、仙道の行の場合、目的が違うので生活密着型でそれほど特別なことをしなくても気を体感できるようになります。もちろん、人によって向き不向きがありますが。
 
 前述しているように、気は万物を構成する要素ですから、人間の身体も気によって形作られ、生命活動も気によって行われます。東洋医学では気血水と言いますが、気も血も水も元々は気から出来ています。
 人間が健康であるというのは、これら人体を構成する気が正常に働いている。滞りがない。濁気がない。ということに他なりません。従って病気になるというのは、この身体を構成している気が正常ではないということです。「病は気から」と昔から言われていますが、それは気持ちによってなるという意味ではなく、気や気の巡りに問題があると言う意味です。
 
 ノセボ効果の実験で実証されているように、気持ちの持ちようによって起る病気もありますし、最悪死に至る場合もあります。しかし中国語の気が日本語の気を含む意味であることからも分かるように、気持ちによって気の働きが阻害されているから起こることです。
 そして体内の気の流れを滞りなくし、正常な状態に戻すのが導引術です。本来導引術は健康のために作られたものではありませんが、体内の気の循環が正常化することによって結果的に健康増進にも繋がります。
 
 人体は各部位がそれぞれ関与しあって生命活動を維持しています。足つぼマッサージなどで知られるように、経絡や気血の関係で離れた部位に影響を与えることも多いです。その為、局所的な不具合も、身体全体の気のバランスを調整することで結果的に病気が治ることが多いのです。

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