見出し画像

「隠れ身のキューピッド」2022年2月11日の日記

・今日の上野。

・長らく工事していた上野動物園の正面玄関のビニールが外れていた。
・こんな見た目だっけか。一体いつから工事を始めていたのか記憶になくて、ずっとこの写真の右側にある出入り口から入っているところしか印象になかった。閉園しているけど、またここから大人数が入場できるようになるといいね。(現在はそうなっています)


・行き先は東京都美術館です。

・雪や氷がところどころに残っていた。

・前日の2月10日から、フェルメールと17世紀オランダ絵画展が始まった。

・昨年秋、現存しているフェルメールの作品の中で初期近い時期に書かれた「窓辺で手紙を読む女」が、所蔵館のドレスデン国立古典絵画館での修復が完了した。このポスターイメージにもなっている、今回の目玉の作品だ。


・元々この作品の右上にはキューピッドの絵は現れておらず、白い壁が描かれているのみだった。10年以上前に、X線による解析で壁の絵の具の下にキューピッドが描かれていることはわかっており、フェルメールが描いたオリジナルではキューピッドが描かれていたけど、フェルメールの死後、何者かによってキューピッドが塗りつぶされていたということが研究からわかった。この度ついにその上塗りされた壁の絵の具を剥がす作業が完了した。


・昨年の秋にドレスデン国立古典絵画館で初めて公開されて、その後東京都美術館のこの展覧会で、国外最初のお披露目となった。


・この展覧会が多分今年一番良くて、この後ほとんど毎週末のたびに通うことになる。


・「窓辺で手紙を読む女」は1階の(都美は地下1階からスタートして⇨1階⇨2階と階を上がる導線になっている)中央に展示されていた。

・窓辺に女性が立つという構図はフェルメールの作品ではとてもよく見られるけど、今作はその中でも暖色の明るい色彩が多いからか、本当に絵そのものが光り輝いて見えた。特に女性の左肩の黄色い服装の部分からは、目を釘付けにして離さない色の魅力があった。


・この作品はカーテンの赤、窓枠の青、女性の服装の黄色と、安定した三色が配置されており画面に安定感がある。


・「主人の不在」を表すとされる、獅子の彫刻がなされた椅子や、船乗り(主人)の船旅が過酷であることを表すとされる手前の絨毯と、銀の皿から溺れ落ちる果物。絨毯は当時貿易国として非常に力を持ったオランダの船乗りの象徴でもある。
・一方で、背後のキューピッドは、欺瞞や嘘を象徴する仮面を踏みつけている。


・一見静謐な雰囲気で描かれた作品には、当時の流行も含めてとても多くのメッセージが描き記されている。


・その他にもファン・ミーリスなどわたしが好きな同時代の画家の作品も多く来ていてとても楽しめた。

・可愛すぎたので展覧会オリジナルグッズの牛乳を注ぐミッフィーを買いました。

・ポストカードも。良い作品が多くて最高だったね…。


・後全然展覧会と関係ないけど香水を買った。香水、なんか使ってみたくて。


・その後は乃木坂の国立新美術館に来た。いま日本には初公開のフェルメールが2作品きている。


・メトロポリタン美術館展。

・わたしは学生の時にニューヨークのジュリアード音楽院にマスタークラスを受けに行ったことがあって、その時にメトロポリタン美術館も行った。

・こちらのフェルメールは、都美があんなに仰々しくフェルメールを展示していたのに比べて、新美はふらふらと歩いていて、ふっと振り返るとそこにフェルメールが展示してあって、その自然な感じが現地のメトロポリタン美術館っぽくて面白かった。

・展覧会のハシゴは脳みそと移動で足が疲れるけど、夜にはランナーズハイ的な気分になれて楽しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?