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恐怖の美学!そして生きることの素晴らしさ!ロブ・ゾンビ流デスゲーム開幕!「31」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(474日目)

「31」(2016)
ロブ・ゾンビ監督

◆あらすじ
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ハロウィン前夜、カーニバルで働く5人の男女が誘拐され、巨大な廃墟に監禁される。扉と窓は全て閉ざされ、彼らに逃げ場はない。いや、一つだけ彼らに残された道があった…「31」と呼ばれる狂ったゲームを勝ち残るという道が。捕らわれた5人は、最高に危険なゲームの人間駒と化す。バール、ナイフ、メリケンサックを手に、12時間もの間強制的に命を懸けて闘わされることとなる。対する相手は、ザ・ヘッズ(The Heads)...ピエロの恰好をした人殺しの狂人集団。このモンスターたちが施設内を走り回り、見つかった者は容赦なく襲われる、12時間の地獄がスタートする。 このゲームにルールは無い。12時間生き残った者だけが自由になれる。さあ、始めよう。31というゲームを。(公式より引用)
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ヘヴィメタル界の大御所にして数々の名作を生み出す映画監督の顔を持つ、私の大好きなロブ・ゾンビ監督作品です。

ロブ・ゾンビ監督(Wikipediaより引用)

今作はその過激さゆえにR18指定となっており、劇場公開も難しかったのか2016年9月に先ずネットで公開し、そのおよそ一ヶ月後に劇場にて限定公開されたようです。

日本では新宿シネマカリテなどで上映されました。

いわゆるデスゲーム系の作品なんですけども、この手の作品ってまず本題に入るまでにある程度登場人物の関係性を見せるためにうだうだやりすぎて、ようやく本題に入る頃には視聴者側の集中力が完全に切れているパターンや逆にキャラクターや内容が薄すぎて誰が死のうがなんとも思わないペラペラの作品だったりするパターンが多々有ります。

しかし今作はあのロブ・ゾンビ御大が監督•脚本を務めた作品です。説明過多にならないちょうど良い尺で登場人物の関係性やキャラを見せ、そのまま自然に本題に入り、緩急を付けつつ最後まで疾走感をキープしているため息つく暇がありません。

次はどんなことが起こるんだろう?どんなヤツが現れるんだろう?という我々視聴者のハードルを余裕で超えてくるえげつない展開にキチガイじみた殺人鬼、そして胃もたれするレベルのエログロ描写のオンパレード!大満足の一作でした!

現在、アマゾンプライムにて330円からレンタル可能です。

ストーリーや設定もさることながら、今作はキャラクターの濃さがカンストしてます(笑)

主人公チャーリーを筆頭としたサーカス団のメンバー、そしてこのイカれたゲームの主催者や殺人鬼が個性豊かで、見ていて絶対に飽きがきません。

ゲームの主催者たち

ゲームの主催者やその賭けに参加する者は何故か全員貴族のような格好の白塗りフェイスです。しかもなぜそんな格好をしているのか何の説明も無いのが潔くて大好きです。そういう世界観なので逆に説明してしまうと蛇足に感じてしまいます。

殺人鬼集団も一斉にではなく、基本的に一人か二人ずつ刺客として送られるので、チャーリーら5人に返り討ちに遭うことも全然あります。それぞれ別ベクトルで狂ってるし、手強いけど、ギリ倒せなくもないという感じが妙にリアルで非常に面白いです。

そして揃いも揃って個性の塊です。

トップバッターのシック•ヘッド

ナチス親衛隊の格好にチョビ髭を生やしたピエロで、通称•生粋の殺し屋。相手をじわじわと追い詰め、じっくりいたぶってから殺します。噛ませ犬にもってこいのキャラです。

サイコヘッドとスキッツォヘッドの兄弟
右は主人公のチャーリーです。

汚い言葉で捲し立て、チェーンソーを振り回す激ヤバピエロブラザーズです。人質を用いたり、嘘をついたりと狡猾で卑劣な面も持ち合わせています。

デス•ヘッドと相棒の快楽殺人鬼女

見た目のインパクトはトップクラスです。意外と仲間思いで、片方を人質に取られると自らの命と引き換えに開放するよう懇願します。

ラスボスの風格漂う気狂いピエロのドゥーム•ヘッド

だらしない風貌ですが、仕事となるとビシッとピエロメイクにスーツを決め込み、「俺は正気だ、支配者は俺だ」と繰り返し呟く仕事人で、個人的に断トツで好きです。
「臭い尻のまま町へ出ろ」、「諸君、あとは休んでいい。俺に任せろ」、「殺人学校、授業開始だ」、「真の王者の目を見つめろ」など数々の名言を残します。また戦闘ではわざわざ上着を脱ぎ、上裸にダブルナイフで無双するのがまたかっこいいです。

ミュージシャンであるロブ・ゾンビ監督だからこそ生み出せるセリフは重みが違います。
私はハマりすぎて最近YouTubeでロブ・ゾンビ氏の音楽を聴くようになりました。

また、どぎつい描写もただグロいだけでなく

一人目の殺人鬼を倒し、主催者が用意した食事を取ってひと息ついているチャーリー一行。たくさんの料理が乗ったテーブルがガラス張りになっており、何かに気づいたチャーリーが皿をどけるとそこには先程殺害された仲間•リヴォンの中身がすかすかになった遺体が埋まっており、自分たちが食べていた料理がリヴォンの肉や内臓だったことに気づく等

ある種、美しさや気品すら感じる仕上がりになっており惚れ惚れすること間違いなしです。

主人公チャーリーを演じるのはもちろんロブ・ゾンビ監督の奥様、シェリ・ムーン・ゾンビです。

主人公のチャーリーは最初はこの状況に戸惑いつつも、生き残るために武器を取る逞しさ、そして最後まで生に対する執着と死に対する怯えを見せます。

ようやくゲームから開放され、どこかも分からぬ場所を呆然と歩き続けるチャーリー。何かに気付き振り返るとそこにはドゥーム•ヘッドが佇んでいる。

ここでチャーリーの握りしめた拳のアップになります。このシーンが非常に印象的で、私は生命の美しさ、生きることの素晴らしさを感じました。
おそらくなんですけどこの作品に登場する殺人ピエロはゲームで生き残った者なのではないでしょうか。殺される側だった者が生き残るために殺す側になり、そしてタガが外れてしまい、いつしか殺人以外で生きていくことができなくなったある意味被害者なのかもしれません。

演出なので仕方がない部分はありますが戦闘シーンなどはカメラのブレが激しく、少々見づらかったです。しかしそれを加味しても今まで見てきた映画の中でもトップクラスに面白かったです。オススメです!

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もしよかったら覗いてやってください。

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