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メンバーシップ型雇用とのハイブリッドな雇用形態をうまく作れるか?が今後の明暗を分けると考えます。

『「改正高年齢者雇用安定法」が4月1日から施行されます。現在同法では、定年を65歳未満に定めている事業主は、高年齢者の安定した雇用を確保するために、①定年制の廃止、②65歳までの定年の引き上げ、③65歳までの継続雇用制度(再雇用制度)の導入、のいずれかを実施することが義務付けられています。改正後は②③の年齢が65歳から70歳に引き上げられます。企業は、基本的に今回の改正を歓迎していません。高齢者は体力・知力などの低下から業務の生産性が低下することが多く、70歳まで雇用し続けるのは大きな負担増になるからです。では、働く側はどうでしょうか。定年後研究所が2019年に実施した調査によると、70歳定年または雇用延長を「歓迎する」(42.6%)、「とまどい・困惑を感じる」(38.2%)、「歓迎できない」(19.2%)と意見が分かれました。~3年前にある企業の研修の中で40代・50代の中間管理職と定年後の生活について話し合う機会がありました。その時は、「よくわかりません」「将来は不確か。あれこれ考えても仕方がない」「今は仕事に集中している」といった意見が目立ちました。ところが今回インタビューした会社員は皆、定年延長が自身の生活に与える影響や何歳まで働くのかという問題を真剣に考えていました。この3年間で、働き方改革、年金の引き下げ、必要資金2000万円問題、大手企業の早期退職募集、そして新型コロナウィルスの感染拡大と、会社員の働き方を巡る変化がありました。こうした変化を受けて会社員は、自分の働き方を見つめ直すようになったのでしょう。~会社員は70歳定年まで働き続けるべきでしょうか、アーリーリタイアをするべきでしょうか。それを判別する「7つのチェックポイント」があります。1.会社の仕事が充実し、やりがいがあるか?やりがいのある仕事なら70歳まで続けたいですが、つまらない仕事なら一刻も早く退職したいところです。2.人間関係など職場環境がよく、会社に行くのが楽しいか?
職場環境がよく楽しい会社なら、70歳まで無理なく働き続けることができます。3.体力的に70歳まで働くことができるか?加齢とともに体力が低下します。とくに体力を必要とする職種では、70歳まで働くのは苦痛です。4.スキル・能力的に70歳まで働くことができるか?学習理解力・発想力・判断力など知力も低下します。技術の変化が早い業種・職種の場合、70歳まで働くのは困難です。5.老後の必要資金を確保できているか、できそうか?やはり先立つものはお金。老後の必要資金を確保できていないなら、働き続ける必要があります。6.退職してやりたいことがあるか?趣味など本格的にやりたいことがあるなら、早めに退職したいところです。ただし、副業で取り組むという選択肢もあるので、柔軟に考えるといいでしょう。7.家族・社会とどう関わっていきたいか?会社を辞めると、家族・社会と向き合う時間が増えます。家族・社会とどういう距離感を保ちたいのかを考えておきます。日本では、労働者が職種を限定せずに入社し、会社の異動命令にしたがって職種や勤務地を変えるメンバーシップ型雇用(=就社)が一般的です。会社の都合で会社員のキャリア(職業経歴)が変わるので、会社員はたいてい「キャリアについてあれこれ悩んでも仕方ない」とキャリアを会社任せにしています。この会社任せの状況が今、大きく変わろうとしています。転職があらゆる世代で一般的になり、会社員は自分のキャリアが不本意なら簡単にリセットできるようになりました。今回の70歳定年で、高齢者の働き方が多様化します。さらに将来、メンバーシップ型雇用から欧米で一般的なジョブ型雇用(=就職)に変われば、会社は社員のキャリアの面倒を見る理由がなくなります。いかにキャリアプラン、ライフプランを主体的に考えるか。70歳定年は、日本の会社員に重い課題を突き付けているのです。』

私は欧米型のジョブ型雇用を導入するだけでは日本企業の現時点での雇用における課題を解決できるとは思えません。メンバーシップ型雇用とのハイブリッドな雇用形態をうまく作れるか?が今後の明暗を分けると考えます。結局はヒトとしてどうよ?なのです。

65歳を超えても「働ける人」「働けない人」の境界
「アーリーリタイア」のためには何が必要か?
https://toyokeizai.net/articles/-/412170

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