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教室に金閣寺を建てた話〜青春を燃やした文化祭の記憶〜

今日は2月1日。

多くの都内私立中学校で入試スタートの日。

朝の電車で受験生と思しき親子をみて、昔を思い出した。

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私は文化祭で学校を決めたと言っても過言ではない。

小学校5年生のとき、母校の文化祭でキラキラした在校生の姿を見て揺るぎない憧れを抱き、「この学校に入りたい!」と志望を固めた。

自分にはレベルの高い学校だったけれど、奇跡的に合格。あこがれの学校に無事入学することができた。

入学して驚いたのは、想像以上にイベントごとに力を入れていたこと。中高一貫校で受験がないこともあり、学校をあげてイベントを盛り上げていた。

とくに文化祭への熱の入れようは格別。

文化祭の準備のために授業がなくなることもあったし、
美術学校なのかな?というくらいクオリティの高い催し物を各クラスで企画していた。(ダンボールとコマンドタブをひたすらかき集めていたなあ。。。)

※コマンドタブ…壁に傷をつけずに貼ってはがせる優れもののテープ

文化祭のルールとして、中3になったらホールや体育館を使う演劇などの企画をして良いことになっていた。

中2までは教室内で縁日や迷路を企画することしかできなかったので、夢にまでみた大舞台である。

中3になったら自分のクラスも観客の前でパフォーマンスをするのだろうと疑うことなく思っていた。

でも、いざ中3になって問題が発生した。

文化祭は秋なのだが、企画の選考期間があるため企画案は春に提出する必要があった。

春。
クラス替えから間もない時期。

私のクラスである中3A組はサッカー部のイケイケ男子が集まったクラスで、
彼らはとてつもない圧で「文化祭ダリぃ〜」の空気を漂わせていた。

そんな中、企画決めは多数決。

嫌な予感はしていた。

サッカーボーイズの「ダリぃ」空気がイケイケギャル層に波及して、
「文化祭で頑張るのってダサいよね」みたいな空気がクラスを包んだ。

その結果、

男子がふざけて出した企画に決まってしまったのだ。

その名も、「京都・奈良の文化遺産の展示」。


文化祭において、展示??!

京都・奈良??!!

教室内にただ展示物を並べておくだけという、絶望的に盛り上がらなさそうな企画。

待ちに待った中3の文化祭。

すごく楽しみにしてたのに。

絶望する私を含めた数人。

それを横目に、ラクそうな企画に決まってサッカーボーイズは狂喜乱舞である。

だけどもう決まってしまったから、うじうじしてても仕方ない!そう励ましあって、ほんの数人だけで準備を始めた。

他のクラスの友達には「A組かわいそう〜」と言われて泣きそうだったけれど(実際に泣いた)、

あらゆる場所から金色の折り紙をかき集め、
机と椅子とダンボールで金閣寺の設計図を作り、頑張った。

おまけにどでかい大仏まで作った。粘土で。

(今思うと本当にシュールすぎる企画である)

あの時期、西東京中の粘土と折り紙は私たちが買い占めていたと思う。

気がつけばだんだんと、最初はやる気のなかったサッカーボーイズも一緒になって金の折り紙を貼ってくれていた。(どこまでも地味な作業)

大仏の顔とか、鳳凰の形とか本当大変だった。(もう何事)

苦労して作り上げた完成形は、圧巻

紛れもなく金閣寺だった。

教室の中にそびえる金閣寺。


これほどシュールな光景があるだろうか。

(掘り出した当時の写真)

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(ものすごい光景である)

当日も、どうしたら人が来てくれるか考えた。

ただでさえ人が来なさそうな企画な上、私たちのクラスはA組。一番端っこである。

普通にしていたら絶対誰も来てくれない。

どうにかするため考えて、「観光ガイド」という役割を作り、修学旅行のバスガイドさんをイメージして制服と旗を自作し、代わる代わる誘導役になった。

「修学旅行に来ませんか〜」とか言って。

校舎の入り口から旗を持ちながら(やんわりと、無理やりに)お客さんを教室まで連れてきて案内した。

めちゃくちゃ恥ずかしかったけれど、もうやるしかない!と肚を括った。

最後の方は結構ノリノリで、楽しんでやっていた。

そしてもちろん、偉い人(校長先生とか)が通りかかったときは特に手厚くおもてなしをした。(営業力である)

そして、想像以上に盛況の中、文化祭は幕を閉じた。

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「やりきった」

みんなで金閣寺と大仏をバシバシ壊しているときが、最高に楽しかった。


二日間にわたる文化祭の最後には、表彰式があった。

でもまあさすがに受賞は期待していなかったので、最後まで片付けで残ったほんの数人でちらっと見に行った。

すると、なんと。

まさかの全校で1クラスしかとることのできない「校長賞」を受賞したのだ。

びっくりした。 最高だった。

もう大喜びで、最優秀賞の発表など聞かずにみんなが打ち上げをしているサイゼに駆け込んだ。

サッカーボーイズも、イケイケギャルたちも、

みんな喜んで笑顔だった。


みんなで一つのことをやる。

やり抜く。

巻き込む。

これを、中3のこの企画で学んだと思っている。

6回あった文化祭の中で、華やかな企画よりも実はこの中3の文化祭が一番印象に残っている。

最悪の文化祭企画が最高の思い出に変わった、そんな話。

画像3

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しほ
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