自分史的なクリッピング史料

いよいよパリ・オリンピックまであと半年。日本代表選手の選出にあたり大詰めを迎える競技も多い。スポーツ競技の成功者たちのメンタル・タフネスを羨ましいと思うことも多々あるけど、本当はどうなんだろうか?と気にもなるところ。そうした精神的なアプローチは知恵として蓄えていて損はないと思う。

2010年3月30・31日 日経 アスリートは強いのか
心のケアはどこに(上)「精神も強靭」はホント?
心のケアはどこに(下)指導者の気づきがカギ

冒頭ではトップアスリートでも心が丈夫であるわけでなく、ベンクーバー・オリンピックでは初めてスポーツメンタルトレーニング指導士が派遣されたという内容で始まる。オリンピックなどの檜舞台で期待通りの結果を得られるプレーヤーもいれば、そうでない人もいる。それを通過点として、成功者であったとしても後のメンタル・ケアが重要だと記されている。

うつ病は100〜120人に1人がかかる一般的な病気で(掲載当時)、決してアスリートだからといって例外ではないという。アスリートはどうしても精神も強靭なはずというバイアスがかけられてしまうし、メンタル・ケアをするスタッフはスポーツの世界ではまだまだプラスアルファぐらいにしかとらえられていないと問題点を指摘(今はだいぶ違うだろうけど・・・)。

うつ病に燃え尽き症候群、パニック障害・・・・悲鳴をあげるアスリートはたくさんいるし、そのケアに正面から向き合って仕組化をすることが肝要なのはいうまでもない。

卓球界では早くから(何せ小学生で全国大会で活躍する選手も多いので)燃え尽き症候群の対策に取り組んできたとある。早すぎる成功がもたらす危険・虚無感を認識するが故の対応。その他の競技でも然り。

スポーツ心理学の権威は「先ずは自分の意思で競技を選んでいること、そして自立が第一歩」とコメントしているけど、今ではもっと研究は進んでいるのではないか?とも思う(ここまでが上)。

次に柔道が例として取り上げられている。「準備運動が大事」とある権威の何気ない言葉が良きアドバイスにもなりうるということで始まる。

1桁の足し算を15分、5分間の休憩を挟んでまた計算を15分、5分間の休息を挟んでまた15分計算するという性格測定手法「内田クレペリン精神検査」を柔道界が導入したらしい。これまでの結果から、類型化し、それぞれにデータ分析から得られた細かい指導ポイントが抽出されている。

例えば職人気質の選手には独創性を尊重し、筋道を納得させること・・・など、選手個人の感性に訴えるアドバイスを施すといったように。オーバートレーニング症候群の選手には選手は引き返す方法を知らないので時に止めてあげることも必要とのこと。うつ病と症状が似ているようで、こうした状態には何より " 休養 " が何よりの薬。でもプライドの高い選手は専門医にアドバイスを求めることはしないという傾向もあり、こうした指摘もよく理解できる。

問題はスポ根世代。指導者にはそのど真ん中にいた人も多い。自分もその世代だ(大リーグボール養成マシーンの時代だから)。昨今でもパワハラなどが問題になることは日常茶飯事。当然躁状態の時には最高のパフォーマンスを発揮できるが、鬱状態の時にはその真逆。だからこそ、指導者や周囲の人たち(外部の人たち)がその兆候を掴み、アスリートに自身の弱さと向き合う瞬間・時間を作らせなければならないと。もっとも近い人こそ、その役割を担う必要があると締めくくられている。こうした関係性は、受験を控える親たちも同じだろうと思う。

コーチングによってその成果が100%保証される訳ではないけれど、競技や試験などは一時の経過点でしかない。本人自身の成長のためにそのコーチングが背中を一押しできるようなものであったら、指導者冥利に尽きるのかもしれない。それでも日本は、1億総火の玉状態になりがちだから、選出されたアスリートにはオリンピックゲームを楽しんでパフォーマンスすることを見る方も期待していくべき時代なのかなぁと思う。

昨日は横綱・照ノ富士が休場明けの初場所で見事優勝した。そのインタビューで「心が折れないように心掛けた」と話していた。また卓球の張本智和選手も全日本選手権を優勝した。彼のインタビューでも周囲からの影響を自分に取り込んでいた様子そして感謝の言葉。この心境なんだろうなぁと思う。

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