Adobe自身は、どんな書体を使っているのか?
ビジネスに使えるデザインの話
ビジネスにデザインの知識はけっこう使えます。苦手な人も多いから1つ知るだけでもその分アドバンテージになることもあります。noteは毎日午前7時に更新しています。
Adobeという会社
アドビ株式会社は、元々Adobe Systems Incorporatedと呼ばれ、デラウェア州で設立され、現在はカリフォルニア州サンノゼに本社を置くアメリカの多国籍コンピュータソフトウェア企業です。歴史的に、グラフィック、写真、イラスト、アニメーション、マルチメディア/ビデオ、映画、印刷物を含む幅広いコンテンツの作成と公開のためのソフトウェアに特化してきました。
主な製品は、画像編集ソフトのAdobe Photoshop、ベクトルベースのイラストレーションソフトのAdobe Illustrator、Adobe Acrobat ReaderとPortable Document Format(PDF)、そして主にAVコンテンツの作成、編集、出版用のツールの数々です。アドビは、Adobe Creative Suiteと名付けられた自社製品のバンドルソリューションを提供し、Adobe Creative Cloudと名付けられたサブスクリプションサービス(SaaS)提供へと発展しました。
また、同社はデジタルマーケティングソフトにも進出し、2021年には顧客経験管理(CXM)のグローバルトップの1つと見なされました。
アドビは1982年12月、ページ記述言語PostScriptの開発・販売のためにゼロックスPARCを退職したジョン・ワーノック(John Warnock)とチャールズ・ゲシュケ(Charles Geschke)によって設立された会社です。
1985年、アップルコンピュータがPostScriptのライセンスを取得し、同社のプリンター「LaserWriter」で使用したことがDTP革命のきっかけとなりました。 その後、アドビはマクロメディアを買収し、そこからMacromedia Flash、後にAdobe Premiere Proと呼ばれる動画編集・合成ソフト、Adobe MuseによるローコードWeb開発、デジタルマーケティング管理用ソフトウェア群などを開発し、アニメーションやマルチメディアを展開しています。
2023年6月現在、アドビは全世界で29,239人以上の従業員を抱えています(※2)。 また、アドビは米国内のニュートン、ニューヨーク市、アーデンヒルズ、リーハイ、シアトル、オースティン、サンフランシスコに主要開発拠点をおいています。また、インドのノイダとバンガロールにも主要な開発拠点があります。
NASDAQに上場しており、2023年6月8日現在で、時価総額は191,883,384.00千ド。
Adobeのロゴの歴史
1982 – 1990 [9年間]
最初のロゴが誕生したのは1982年。共同創業者であるジョン・ウォーノックの妻、マーバ・ウォーノックがデザインしました。このロゴは、長方形と書体という2つのデザイン要素から構成されています。ダークグレーの丸みを帯びた長方形の中に、白の太字のワードマークが配置されています。すべて大文字で、最初の文字Aは、三角形を開いたような形をしています。そして、最後の文字Eは、3本の横縞で構成されています。
1990 – 1993 [4年間]
約8年後にロゴは最初のリニューアルを実施されます。よりシンプルになりました。背景がなくなり、ブランド名は黒で統一されました。社名以外の残りの文字列も消されています。
1993 – 2017 [25年間]
1993年、アドビは2度目のロゴのアップデートを行いました。ロゴは、赤、白、黒を基調とした新しい色調となりました。現在のロゴにも残るAを使ったマークが配置されました。その下には、黒で社名(ブランド)が記されています。
2017– 2020 [4年間]
2017年、3度目のリデザインが行われました。マークはそのままで、ワードマークは右側に移動。dとbの文字が丸みを帯び、互いに左右対称的に見えるようになりました。
2020– 現在
現在のロゴは、マイナーチェンジされています。使用されている赤は、以前のものよりも明るくなりました。右側のワードマークは黒ではなく、赤になり統一されました。
Adobeのロゴに使われている書体
一つ前まではMyriadだった
1993-2017までのロゴのベースはMyriad(ミリアド)という書体でした。MyriadのBold Condensed。
MyriadはRobert SlimbachとCarol TwomblyがAdobe Systemsのためにデザインしたヒューマニストサンセリフ書体。Myriadは、様々な用途を満たすことができ、コンピュータ支援設計によって幅広いウェイトと幅に容易に拡張できる形状を持つ、中立的で汎用的な書体として制作されました。
Myriadは、2002年4月29日から2017年1月24日まで、Apple Garamondに代わってApple社のコーポレートフォントとしても使用されていました。
現在はオリジナル書体Adobe Clean
2020年からロゴのバージョンアップにも伴い、AdobeはAdobe Cleanという書体をコーポレートタイプフェイスとして使用しています。
書体名:Adobe Clean(アドビクリーン)
カテゴリー:サンセリフ体
分類:ヒューマニスト
デザイナー:Robert Slimbach
ファウンダリー:Adobe
リリース年:?
Adobe Cleanは様々な場面での使用を前提としたマルチシチュエーションな書体です。サンセリフ以外にもセリフ体も繁体字、コーディング用まで用意されています。大文字のAの頂上部分にアクセントがあり、小文字の「g」は二階建て、幾何学的なニュアンスとヒューマニスティックなニュアンスが合わさった書体です。
まとめ
制作に特化したソフトウェアの大企業、Adobeは、Adobe Fontsというサービスも提供していますが、自身がどんな書体を使っているのかというところにフォーカスしてみました。
幾何学的な要素と人間味ある要素が見事に融合しており、汎用性があるのにユニークであり、秀逸な書体です。ロゴからは見ることがありませんが、イタリック体になるとさらにユニークです。
ここ最近、大企業はブランディングのために書体をオリジナルで作成するケースが増えてきました。そして場面やメディアによって有機的にといっても良い変化をする書体になってきています。
Appleはもちろん、Audiはロゴすら場面によって線の太さが変化するようになっています。
参照
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