悲しくも正直な愛の歌:"Suite:Judy Blue Eyes"
Suite(組曲)とあるように長い曲なのでこれまで和訳をしたいな、と思っていたのにちょっと躊躇してたのです・・・理由はもちろん解説が長くなるから笑。
CSN&Yのこの名曲はかつてあのGAROが、そしてThe ALFEEがカバーしており、先日のラジオでもお3方が高見沢さんがグループに加わるきっかけになり各自パートが確立し完成した!とおっしゃってました!
*もしどなたか私の和訳をベースに記事を書かれることがありましたら一言お声をかけてくださいまし。以前、和訳の記事を出した後に私の訳と酷似した日本語訳に改編されていた記事を発見して”ちょっとぉ!”とやや怒りましたw
CSN&YのSことStillsさんが自分から去っていったガールフレンドのJudyさんへ贈った曲、という背景から、SuiteとSweetをかけてあるのだろうな、と想像も出来ます。ご本人の前で歌われたそうですよ。
本家とアルフィーさん、どっちも素晴らしい!↓
大きく分けて五章に分かれているのでそれぞれの章のポイントを抜き出しながら解説します。長いよ〜準備はいいかな(笑)?
第一章:お願い・・・
まずは彼が別れを切り出した彼女になりふり構わずすがりつく様子が歌われています。全ては彼のセリフで、この最初の部分からこの曲は二人の会話そのままを歌詞にしていることがわかります(実際そうだったのかは不明ですが)。
彼女は彼と一緒にいてもつまらない、だのに彼は未練がましくどうにか考えを改めてほしい、と清々しいほどにすがっています。
Cry とあるとどうしても泣いていると誤解しがちですが、cry out loudで大声で叫ぶという意味ですのでここは彼が ”I am lonely!" と叫ばずにはいられないほどに一人になるのが怖いことがわかります。
続くHave mercyは”憐れんでください・情けをかけてください”と神にお願いする時に使うフレーズです。人に使う場合は同情してもらい何かを許してもらう時です。私の生徒たちもギリギリでテストが不合格の時に "Oh! Miss Shima, have mercy!(お情けでお願い)"と訴えます(笑)。
You make it hard =君(彼女)は状況を難しく・面倒臭くさせている、という表現はのちにも出てきます。彼にとっては愛してた・愛してるから一緒にいる、というシンプルな二人の現在を色んな理由をつけたり過去を持ち出したりして別れようとしている彼女にちょっと落ち着いて冷静になって!と訴えているのがわかります。
第二章:やっぱりね・・・
Tear awayという表現からこれまでは二人いつも一緒にいたことがわかります。二人で一つ、のような関係だったのでしょう。無理矢理に引き剥がして去る=彼は納得していないのに別れを決めた彼女だったのがわかります。
それを踏まえると次のライン”This does not mean I don’t love you I do that’s forever Yes and for always” は彼女のセリフだったのがはっきりします。
主語のThisは別れ、なので別れても愛してるのよ、ずっと、と言っていますが、なんとなく前半の "Babe have mercy"なメソメソとすがりつく彼を慰め落ち着かせるための戯言のような気がしますね。
それに続くI am yours, you are mine〜 の部分も彼女のセリフだとすると、彼女は彼女で”色々複雑にしてるのはあなたじゃないの”って思ってるのかもしれないです。
第三章:話し合いを・・・
金曜とか日曜に何をするのかは書かれていませんが、その日に彼は彼女に会いに来たいのでしょうね。
Please be gone I’m tired of you What have you got to lose? は彼女のセリフだとしっくりきます。金曜は?日曜は?火曜はどう?って彼女に聞いて、彼女から”うざっ!もう出てって!”って言われるんです・・・悲しい。
What have I(you) got to lose? という表現が何度も出てきますね。失くすものはない(のでやりたいことをやってみる)という時に使います。
I've got nothing to loseと言っておけば失敗しても何も変わらない・怖いもの無し、と大きい気持ちで難しいことにも臨めます。
I am applying to Harvard! What have I got to lose? ハーバードに願書出してみよ!一か八かやけど!(出しても損はしない、というか受かったらもうけもの)
Hey, ask Takamizawa-san out! What have you got to lose? 高見沢さんをデートに誘いなよ!ダメ元、ダメ元!
彼女は最後に提案をします。”苦しい・死にそう!”ともがく彼に、I’ve got an answer I’m going to fly away 良いこと思いついた!私、遠くに行くわ!と非情に告げます。そして木曜と土曜に会いにきたら、と誘いますがそれが ThursdayS, SaturdayS と複数形になっていることから毎週木曜と土曜に来たら?と言っているのです。彼が先に提案した金曜、日曜、火曜以外の日!
”別に損はしないから良いじゃない what have you got to lose?"とまるで悪魔の誘いです。
第四章:傷心の独り言
私はこの部分の歌詞がとても純文学的で大好きなんです!いろんなLiterary Devices(文学手法・修辞法)が出てきます。
Metaphor・比喩:最初はブラウンの髪が美しいJudyさんを栗色のカナリアとノドアカスズメに喩えています。どちらも実際には存在しない鳥ですが、歌声の美しい種に喩えています。ルビー色の喉、というだけで美のイメージが倍増ですね。
日本では声の良い・歌のうまい鳥といえばウグイス・・・そして秩父のウグイス坊やと呼ばれていたのはもちろん桜井さんです!
Rhyme・押韻:song-long、とmarrowーsparrowと最後の音が同じもの。
Alliteration・頭韻:Lacy, Lilting, Lady, Losing, Love, Lamenting と頭が全てLで始まっています。
この部分はほぼ彼の独り言です。Asking me said she so free How can you catch the sparrow?の部分は天使の声ですが、これも彼の絶望がきかせたものですね。
自由になり軽やかに美しい彼女とは対照的に彼は”失くした愛を嘆き”さらには
Make it right、今の(別れている)状況は間違いwrongなので正しい状態right になるようよりを戻してくれ、とお願いしています。
最後 Be my ladyとありますが、Lady自体には妻という意味はないけれど
”my lady”は男性が敬意を込めて女性や奥さんに声をかける時に使う言葉です。
なのでここは結婚したい、とまでに思い詰めているスティルスさんの悲しみが浮き出ている最後です。哀れです・・・かわいそうやね。
第五章:ウキウキやけど・・・
最後にはスペイン語のポップな曲調で終わります。以下はウッドストックで披露された時の歌詞ですが、後にスティルスさんがみんなに意味がわからないようにわざと曖昧にしてあると言っていました。実際他のライブでの歌詞はところどころ変えているようです。
傷心旅行に行きたいのか、気分を一新して旅したいのか、それとも遠くへ飛んでいったスズメがそこにいるのか・・・真相はいかに。
さて・・・・ここまで読んでくれてあなた、現在の時点でもうすでに5500文字近くになってるんです。おつかれさまです。
私はほぼアルフィーさんバージョンしか聴かないのですが、幸ちゃんが本当に情けなくも愛を失いたくない必死さを歌声とギターで表現しているのが最高に素晴らしい!
この曲を練習してハモる18歳の3人を見てみたいですね〜
多分、今のお3方とあまり変わらないでしょうね、永遠の仲良し3人組ですから!
Suite: Judy Blue Eyesを聴くたびに若かりし頃の3人を想像して心があったかくなる私です。
シマフィー
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