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好きの順位

小学4年か5年のときに、クラス内の男子何人かが ”好きの順位” というランキング表を毎週作るようになった。記憶では週中の水曜の昼休みに発表だったような気がする。35人ほどのクラスは男女半々なので約17人の女子がトップ5に入れるかどうかを固唾を飲んで待っていたのを覚えている。

全ての男子がランキングをつけるわけではなく、スポーツが出来たり勉強が出来たり、背が高かったりハンサムだったりのいわゆる 人気者 の男子だけである。

子供とは恐ろしいもので、その日かその週かもしくはその前の時間か、に何があったかによって好きな女子の順位移動がめちゃめちゃ激しかった。給食のみかんをくれたから、算数の問題をすらすらと解いたから、音楽の授業でピアノの伴奏をしたから、そんな理由でランク外から一位に躍り出る女子もいた。そして逆に、髪がボサボサだから、爪が伸びて黒いから、上履きを隠したから、という理由でランク外に沈む女子もいた。

ランキング発表の時間になると、女子たちが席から席へ移動して彼らの手中にある小さな紙切れを見に回る。そしてキャーキャー、えーーーーーー、なんでーーーー、うそやーーーー、などそりゃもう感情や感想を丸出しにした叫びをあげる。

私は恥ずかしくて見る勇気はなかった。でもたった1人だけ仲が良かった”人気者”のランキングは毎回見せてもらっていた。その男の子とは鍵っ子同士で仲良くなり小学生の時はよく浜に探検や山に冒険に出かける仲で、卒業するまで近い関係でいた。

彼のランキングは私が1位の時もあれば3位に落ちている時もあったが、必ず上位に名前を入れていてくれた。多分お情けだと思う笑。子供ながら シマが誰のランキングにも入ってなかったらかわいそう と考えたのだと思っている。

そんな無邪気なランキングだったがいつしか先生の知るところとなる。毎回5位以内に入れない女子が告げ口したからだ。先生は帰りの会で お友達に順位をつけるのは良くない。ランキングに入れない女子がかわいそうです! と真っ当なことをいい、それ以来好きの順位は発表されなくなった。

時は流れて、何十年・・・笑

5年ほど前にクラスで 好きの順位 がリストアップしてあるのを発見した。なんと先生方の好きの順位で、生徒たちは各自ではなく、何人かで頭を突き合わせてランクを決めていた。なかなかに白熱した討論をし、先生たちをランク付けしている。ランクに反映する項目は色々あった。

出す宿題はフェアで将来役に立つか

採点はわかりやすく、的確なコメントがしてあるか

口調は優しく、親身に話を聞いてくれるか

授業中に楽しめる工夫をしているか

そんな項目がずらっと10ほど並んで、それについて6−7人で討論し、点数をつけていく。その様子を見ながら面白いなぁ、と思っていた。生徒たちはちゃんとした理由で好きの順位を決めている。裏を返せばその並んだ項目通りの教師になれば生徒に好きになってもらえるというとことだ。以前にも書いたが、私は教師は生徒に好かれる努力をするべきだと思っている。

生徒たちはもちろん オアソビ としてランクをつけており、先生たちには見せるつもりはないと笑ったが、見せてあげて欲しかった。上位も下位の先生も、皆同様にいろんなことを学べるであろう 好きの順位 だった。

そして同じように、小学校時代につけられていた 好きの順位 も色んなことが学べる場だった。優しくしたらいい気持ちになってくれる、得意なことは堂々と披露する、意地悪はしない、身だしなみに気をつける、そんな集団生活に必要な何かを教えてくれる場だったように思う。

シマフィー

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