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21世紀を生きる子供への大人のかかわりかたVol.4--イベントレポート

7/13(日)、Skyrocket Projectさん主催の教育トークショー「21世紀を生きる子供への大人のかかわりかた Vol.4」が開催されました。ゲストに武内隆明さん、谷口貴彦さん、若新雄純さんのお三方を招いてトークイベントが開催されました。
①正解のない時代の新しい生き方・学び方・働き方、②子供の可能性を引き出す大人のかかわり方、の2点を中心に話が展開していきました。

武内隆明
1984年 米国 ウィリアムズ大学経済/社会心理学部卒業。野村證券、ゴールドマン・サックス、UBS等の日欧米の金融機関で要職を歴任。2000年 (チューリッヒ)スカダー・インベストメンツの副社長を経て、2002年 プルデンシャルFA証券の代表取締役に就任。2007年 上海で経営コンサルタント会社を起業し、2012年 帰国。2013年 Teach For Japan の副代表に、翌年 理事に、そして、2015年 現職に。同年から、International College of Liberal Arts (山梨学院大学)の学部長補佐も兼任。
                     (Teach for Japan より転載)
谷口貴彦
19歳でケーキ職人の見習いとして世に出る。
その後、レストランのウエイター、バーテン、旅行の添乗員、ペンションの住み込み、喫茶店の店員、ファミレスのマネージャー、住宅のセールス、営業課長など、紆余曲折の道のりを経て、2003年にプロコーチとして独立。
やる時は全身全霊で取り組む性格で、コーチの世界において最短で国内の最高峰資格と最高峰の国際資格を1発で獲得。
代表的な著書、ザ・コーチ最高の自分に出会える『目標の達人ノート』 プレジデント社をはじめ、8冊で累計10万部を超えるベストセラー作家。
コーチングのクライアントは、企業の経営者、起業家、コンサルタント、ミュージシャン、プロコーチ、作家、自由人など多岐にわたる。累積コーチング時間は約5300時間を超え、国内トップクラス。
チームの力をX倍加する影響者を育てるコーチング研修やコミュニケーション研修の受講生は3万人を超え、90%以上の満足度とリピート率を誇る。また、「稼げるプロコーチ」をたくさん世の中に送り出すことを信条とし、日本中のプロコーチたちのメンターコーチとなる。
多くの人が、自分の本当の可能性に気づかず人生を終わらせているのを見て、こんな大人を見ている子どもたちがかわいそうで、自らあるがままの自分を表現することのおもしろさを体現して、挑戦の日々を送っている。趣味はゴルフと、お酒を飲みながら夢を語ること。
夢は、映画をつくって黒木瞳さんと共演すること。
                 (コーチセブンピースHPより転載)
若新雄純
株式会社NEWYOUTH 代表取締役
慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 特任准教授
国立福井大学 産学官連携本部 客員准教授
人・組織・社会における、「創造するコミュニケーション」を研究。
日本全国の企業・団体・学校等において実験的な政策や新規事業を多数企画・実施し、ビジネス、人材育成・組織開発、就職・キャリア、生涯学習、学校教育、地域・コミュニティ開発などさまざまな現場でフィールドワークを行う。
テレビ・ラジオ番組等でのコメンテーター出演や講演実績多数。
慶應義塾大学大学院修了、修士(政策・メディア)。
                   (若新ワールド HPより転載)

きっかけはセミナーで出会った出版編集者

2003年に会社を辞めて人の夢、目標達成を助ける仕事の世界に入った谷口さん。
ある日、セミナーで偶然出版編集者と出会い、そこで、「コーチングの本が書けるよね」というところから、「実践 親子会話術」という本を出版。

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​この本がAmazonで総合2位となり(その当時の1位は養老孟司さんの「バカの壁」)、これを機にいろいろな学校、PTA、教育機関で話をする機会につながりました。

ガチガチの家庭環境からはみ出していた自分

若新さんの家庭環境は典型的な教育一家。
ご両親、親戚、きょうだいに至るまで全員教師。
田舎の山奥に、このような教育家庭に生まれ育った若新さん。
思春期にビジュアル系バンドにはまり、自身の家庭環境とは真逆、ちょっとずれたところにこだわりを持っていました。
自分の在り様に葛藤を重ねながら普通の就職はできないと判断した若新さんは、ある仕事をはじめます。

実践的なフィールドワークをするため、企業とサービスを開始。
また、自治体と事業を展開、校則を守らない女子高生と自治体が街づくり活動をするという企画をたちあげます。
この街づくり活動は当初批判から始まったそうですが、ある日国連で注目されたのをきっかけに注目されます。

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このプログラムは、子供たちと教育的にかかわらない大人が、お互いにわからないテーマを探して試行錯誤的にやっていく、というものです。
10台の若者とプログラムを作るという意味で斬新なアイディアでした。

これからはどんな学び方・育ち方をしていくのか


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●これからはフットファーストの時代

正解のない時代だと考えてから動く、ヘッドファースト(まず頭で考えてから動くという思考)。
答えがある時代にはヘッドファーストもいいと思います。


ただ、正解のない、「こうかな?」と思うことを実践してみて、「こっちのほうが正解かも知れない!」ということは事実にしないとわからないのではないかと思います。

これからはフットファースト(まず行動をおこしてから考える)の方がいいのではないでしょうか。
足が先で、事実に変わる。

動けない人は、頭の中でずっと正解を探してしまいます。
正解はないのに、ないものを延々と探し続けてしまいます。
これからの生き方は足が先で事実にしたうえでやるほうがフィットしているのではないかと思います。

●技術革新が変わってくる

これからは正解のない時代に即した新しい生き方をしていかなければならないと思います。
これからの新しい時代はどうなっていくのでしょうか。

人生100年時代、健康寿命は80年といわれています。
技術革新が変わってくるはずです。
そういう意味ではフットファーストのほうがヘッドファーストよりいいのではないかと思います。

変わっていいもの、バランスというものがあります。
そういう意味では、これからはリベラルアーツがカギとなってくるのではないかと思います。

変わる人の心は変わりません。
技術、世の中のシステム、プログラミングなどには足を突っ込んでいくことになると思います。

※リベラルアーツとは
リベラル・アーツ とは、ギリシャ・ローマ時代に理念的な源流を持ち、ヨーロッパの大学制度において中世以降、19世紀後半や20世紀まで、「人が持つ必要がある技芸(実践的な知識・学問)の基本」と見なされた自由七科のことである。具体的には文法学・修辞学・論理学の3学、および算術・幾何(幾何学、図形の学問)・天文学・音楽の4科のこと。 現代では、「学士課程において、人文科学・社会科学・自然科学の基礎分野 (disciplines) を横断的に教育する科目群・教育プログラム」に与えられた名称である。具体的な教育内容に関しては「リベラル・アーツ・カレッジ」「教養学部」を参照のこと。                    (ウィキペディアより転載)

●順当に育っていく人が最後にフットファーストでいられるのは思春期?

順当に育っていく人が最後にフットファーストでいられるのは思春期ではないかと若新さん。
大人になってからだと難しいのではないでしょうか。
そういう意味でいうと、素直にフットファーストでいるのは赤ちゃん
そして、考える頭脳を持ちながらのフットファーストは思春期です。
自分の好奇心に素直でいられるのです。
その好奇心は、ただ単なる動物的な好奇心というのではなく10何年生きてきた中での好奇心。
中1・中2あたりで一番爆発すると思います。

ただ、ここで一番問題となるのは、いい感じのフットファーストになるタイミングでルールに縛られるということになってしまうところです。
混とんとしている社会はフットファーストを守るために制限しようとしています。

今はものを考えられる時代です。
信頼して、思春期の若者の好奇心によってどんどん前に進もうとするタイミングをどうやって解放させるかが今後の課題となります。

中1・中2の時期はちょうど先輩が怖くなる時期。
急激な縦社会に突入してしまいます。
この時期では、これから管理的な制限をする場にするではなく、みんなで面白がる空間にしたほうがいいと思います。
見守ってはあげつつもおさえこまない
先生のありかた、思春期の子供を抱える親のかかわり方としては「暴れっぷりを上手に見守ること」が大事です。

●フットファーストは20歳前後でもアリではないか

フットファーストについては、もう少し長いスパンで見てあげてもいいのではないかと谷口さん。
最近では、20代30代でもよく相談しに谷口さんのところに来るそうです。

自分探しの旅に出る人がいます。
彼らは、中学高校終っているけど悩んでいるんです。
じゃあ、フッとファーストをやってみろ、となるわけです。
20歳前後の人出もアリではないか、と。
大人になって子供を育成する時期に入ります。
折角いい話をいただいたんだからフッとファーストでこどもにもやらせよう、そして大人もフッとファーストありではないか、と思います。

●思春期から上手に解放されている大人はおもしろい

中学生がいいなと思うのは、ある程度のミスは許されることではないか、と若新さん。

うっかりやったことが法律的に守られているのが中学生、高校生。
いい大人が、永遠に思春期だと勘違いして法律を犯したら一発でアウト。
だからこそ、思春期から大人にかけてヘッド(頭のなか)では絶対守らなければならない部分を守る。
思春期から上手に開放する形になって大人になると、面白い人間になるのではないかと思います。

子供の可能性を引き出す大人のかかわり方

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●プチ冒険のすすめ

人間って、冒険が大好きな生き物です。
前提で、例えば、正解とか冒険っていうと日本の人はすごく壮大にとらえてしまうので難しい難しいとこがあります。
なので、そういう人にはプチ冒険がおすすめです。

正解のない時代であれば冒険って面白い!体験できる!
では、失敗をしてしまった時はどう考えるのか?

そのときは、「失敗はいいネタになる」と思えばいいのです。
「失敗→ネタ」というところまでハードルが下がると、子どもが大人の冒険を見て真似てくれるようになります。そうなればいいなと思います。

たとえば、仙台にいくとほやをすすめられるお寿司屋で、ちよっと冒険、と食べてみる。
そうすると一歩大人の世界に足を踏み入れたような形になり、自分の世界が広がります。

やったかやらないか、でいうとなにかそこに結果がどうだったかが問われてきます。
さらにチャレンジしたらどうかというとチャレンジそのものに効果があります。
チャレンジをし続けると思いがけないアイディアが自分の中にあるのではないかと気づくこともあります。
だから、ぜひコロナでは冒険してほしい、大人がプチ勇気でいいから示してほしいと思います。
思いがけない体験がいっぱいあります。
親が冒険しないのに子供にチャレンジしろ、というのは少々無理があります。

谷口さんは安定に対する抵抗を実践している、とのこと。
いま挑戦しているのは、エスカレーターの右側に止まって乗ること。

世間は無言の同調圧力で「あけろ」としています。
右側に止まって乗るようにして、左右2列に並んで乗るようチャレンジしているようですが、今のところはなかなかうまくいっていないようです。

また、60過ぎ、70過ぎにも冒険することをオススメしています。
年齢別にいえば、30・40代は維持の時代ではあるものの、そのほかの年代は冒険が面白い、と谷口さん。
いかに面白いかを示すのがカギとなりそうです。
子どもが見て、「大人になるとそんなことできるの?早く大人になって冒険したい、試してみたい」と思わせるような冒険、ぜひおすすめします。

「子供が20歳の誕生日おめでとう!」となるときは、親も同時に「子育て20年おめでとう!」となると武内さん。
親も一緒に育ち、一緒にチャレンジすることにより、大人になって思い知る面が出てくるそうです。

●今の中高は禁止事項で固まっている


今の子供たちは親から何をいわれるかということを気にし、守らなければならないと思っているのではないか、と若新さん。

何をしてもいい、ということははなく、禁止事項から増えていく。
特に中学の時が一番多くなってくる。
「あなたはこれをやってもいい」がないから、禁止という線を踏み越えないようにする、それを踏み越えたら不良だと判断してしまうのです。
もちろん、守るということも当然ながら大事なことではあります。

50・60代でなおもチャレンジしている人をみていると、「これをやってもいい」があります。
年を重ねたときに「実は、これ(禁止事項)は破っても良かったんだ」ということに気づくのです。
人に迷惑をかけず、法律を犯さない範囲の中で、実は破ってもいいことをやっている大人が少しずつ増えています

だから、今の中高生ももう少し崩して遊んでもいいのではないかと思います。

むしろ、はちゃめちゃな方法でやっても構わないのですが、壊しかたにこそ教養が必要ではないかと思います。
違法にはならないようにしながらも変えていく、という考えが少ないのです。
今までは「どうやったらみんなに認められながら破るか」ということがなく、社会に適応しながらエリートを配置していく世の中でした。
最低限の法律だけ守ってくれればいいのであって、校則は破ってもいいと思います。
大人の言われたことを守らないのではなくやぶってもいいと思います。

少し前に、やんちゃな女子高生に「破ってもいいよ」といったら、いいかげんに考えていたわけではなかったんだ、ということに相手(女子高生)が気づき、そこに信頼関係が生まれ、強まりました。
だからこそ、10代後半にかけて何をやぶっていいかをメッセージとして伝えるのは重要なことです。

最近の20代、30代の人たちは法をめちゃめちゃ守っているか、法を犯す人かのどちらかに偏っているのが少し気になるところです。

●上位校は規則が少ない

上位校である麻布とか武蔵には校則が少ないということで有名です。
特に、麻布は校則が3つだけ。

また、筆者は少し前に「President Family」という雑誌で筑波大付属駒場では「ガムを噛んではいけない」という校則のみ、という記事を目にしたこともあり、自分が在りし日の中学・高校時代に受けた管理教育とは程遠い、と感じたことを思い出しました。
実はものすごく自由な学校もあるのです。
先生と生徒との信頼関係が上位校には成り立っているのだと思います。

バランス、信頼してくれる親、年配者、パートナーガいるかどうかが問われており、基本的に自由でありなさい、というスタンスは見習いたいものです。

●最近のシニアの動向

武内さん、若新さんともにシニア層に注目していました。
60代、70代はお金も力も持っている(武内さん)ものの、少し下の50代の人とはあまり仲良くしていないのではないか(若新さん)とお二人。
70代のひとは50、60代の人に嫉妬してしまうものの、それ以下(ふたまわり以上)離れていると素直に応援してくれるようになります。

会社の普通の組織では、直属の上司というのは少しだけ下の年齢層になります。
そのため、若い人がチャンスを掴むにはふたまわり離れている人を味方についてもらいましょう。
おじいちゃんと孫の協力関係、いいですね。
これからは、20代の人たちが世代を飛び越えていくことも十分予想されています。

●どうしても影をおとす女性進出

日本の制度には「ガラスの天井」というのがあるという指摘を受け、ナビゲーターの増子さんがコメントしました。

女性は結婚、出産とかを考えるとどうしても立ち止まってしまいます。
でも、それを壊さなければならないと思います。
世界に出たほうがいいと思うのですが、今ある思いだけで世界に行くのはこわいという思いもあります。
一個人の力は勢いしかない中で挑戦しているとくじけそうになっています。
ちょっとならできるけど、制度を変えるは難しいので、年配の人に協力してもらわないと難しいところがあります。

日本はまだまだ「女性は」「男性は」という見えない壁に阻まれて、なかなか個人で思い切ったことをしようとする人がいません。
調和を重んじる空気を肌で感じているのでなかなかしみついているものが取れないのかもしれません。

女性に限らず、個人を受け入れる可能性が高いのが海外ではないかと谷口さん。
教養やリベラルアーツを持っていると説得力があるそうです。
伴走するメンター、伴走する人の在り方が問われています。
10代の子だからとなめてかかってはいけないと思います。

●さりげなく、いっしょに

周りにいる大人は自分の正しいと思っている方向に仕向けないことが大事ではないかと若新さん。
あこがれれば勝手についていくものです。
あまりにもいろいろな私を見習いなさい、という人が多いようです。
見習え、ではなくて経験や教養を持った状態で一緒に遊ぶと知識や経験は若者に浸透していきます。
私のようになりなさい、が立派な大人ではない
さりげなく一緒にやってくれる人が増えてくれるといいなと思います。

●主義主張、決めつけが多いのでは

正解がない、が前提でも
「それは〇〇だ」「それについて私はこう意味づけている」
と、自分の考えや意見が交わされる機会が多い中、「これはこうだ」「あれはそうだ」と一般化してしまうと正解がありません。
「大人ができるようになるといい」「教育はこうです」「大勢はこうです」とお互い、ただ違う主張が交差するだけ。
「ぼくはこうだ」「私はこうです」となるとへぇ~、という違いがそこに存在します。

若者は「大人が本当はこういうふうに思っていたんだ」ということがわかると信頼感が増すのではないか、と若新さんは言います。

伴走する中で重要なのは感情。
学校の先生は生徒に対して感情的になってはいけない。
特に怒りのときだけは感情的になってしまう。
感情を出すなら喜怒哀楽全部必要です。
怒りを見せるなら悲しみもちゃんと見せなければなりません。
市民から苦情の連絡がきたときに、学校の先生は怒ります。
でも、怒るのではなくて泣きそうだと伝えると悪いことしたと感じるのではないのでしょうか。

大人として見せたくない情けない感情も見せることが信頼関係をみせることにつながるのではないかと思います。

また、武内さんは「俺の時代の俺のケースはこうだけど、お前はやって失敗してみろよ。見守ってやるから」という姿勢が正解のない時代の伴走の仕方ではないか、と発言しています。

ネット炎上を経験していないとき、わからないときは大人は正しい対処をしようとしています。
でも、答えがわからないから完璧な対処をするのは無理なんです。
そういうときは、「マジ、困ったね」と返したらいいと思います。
そこから、高校生がより相談してくれるようになるのではないのでしょうか。

わかったふりをしないで一緒に悩む
世の中、いろいろと実験をしてきているのではないでしょうか。
トライ&エラー(私自身はトライ&トライ&トライだと思っています)を重ねることで、また一段階段をのぼって選択肢が増え、子ども達へのアドバイスも増えてくるのではないかと思います。
そうすると、子どもの大人への信頼も増し、「私たちどうする」と自分たちで考えられるようになる人間に成長していくのではないでしょうか。

「わからない」ということがあったときに「私もわからない」というのが怖いというのが今の先生方ではないかと思います。

●信頼関係を築くための必須アイテム

旅、読書、人。
これが信頼を勝ち取るためのアイテムではないかと思います。
読書といって、どういうジャンルの本を読めばいいのかわからない、という人はYoutubeというものがあります。
TEDは世界中で流行っています。
本当にすごい時代に突入しました。
TEDに限らず、新しいものがどんどん出てきます。
そうなってくると、ますます信頼関係を築くこととなり、経験をシェアできるようになるのです。

ナビゲーターの増子さんは、「先生が自分と同じ立場で話をしてくれることはなかなかなかった」と発言していました。
一番近くにいる学校の先生や親、塾の先生など、大人とのちゃんとした関係性を作るのがいいのではないかと思います。
さきほど喜怒哀楽をしっかり出して一緒に考える、と書いたのと逆行するような形にもなりますが、時にはあえて喜怒哀楽を出さないで、大人も一緒に悩んでいる事実のみを伝えるとまた違ってくるかもしれません。

若新さんは、喜怒哀楽はコミュニケーション上いいものの、歳の差があると、4つの感情のなかで「怒」はきついのではないかと発言されていました。
「怒」以外の感情を出すことで子どもに怖がられないように気をつけながら接していくことに心がけていきたいと思います。

●お国柄による人と人との関係性の違い

アメリカの大学では、上司と部下はwhat do you think。
それに対し、日本の教育は師弟関係で成り立っています。
そういう意味で日本は少し遅れていているのではないかなと感じました。

また、中国ではスピーチの際、冗談からはいるとクレームがつくことがあるそうです。
各国により、言葉の違い、文化の違いがあるので臨機応変に対応していく必要があります。

●有効な話題を提供するには

日本では、やらせてみて失敗したときにはほうらみろ、という風習があるのでは?と武内さん。
これってどうだろう、これってこう思うよ、と出てきた話題をつかんでいるとうまくいきません。
一個出したら、一個取り下げてしまう。
それよりもは横へずらしていく、スライドアウトしていく感覚の方がいいのかもしれません。
じゃあ、これは?これは?と横へANDでつなげていく。
ANDでつなげたものをチョイスに変えていく。
それを掘り下げていく、というやり方は話のテクニックとして有効ではないかと思います。

会話を楽しむ方法としては99のバカなネタを出してみることをお勧めします。
このやり方を実践すると、3つ目までは大体すぐ顕在化したアイディアが出てきます。
そして、4つ目、5つ目あたりからはとてつもない化学変化が起こりはじめます。
1個のダイアモンドのようなアイディアには99のバカなネタがあるのです。
だから、あえて大人がバカなネタをやればいいと思います。
アイディアを広げてしぼってふくらますのです。

しっかりした夢みなきゃ、大きな夢言わなきゃという考えで狭まってしまいます。
夢100個のうち、所詮、半分以上はしょうもないものなのです。
だから、あまり気にせず会話ってこんなにおもしろいんだ、ということを伝えればいいと思います。

●人が学ぶことにおいてスケジュールというものが邪魔をしている

若新さんは、待つということを心がけているのだそうです。

誰かから与えられているからできるのと、自分で決めてやるというのとでは質が違います。
目で見てこういうことか、とわかるまではわからないのです。
待てないから時間の中で成果を出さなければならない、という感覚になってしまいます。
人が学ぶことにおいてスケジュールが邪魔をしてしまっています。
人が学ぶペースは違うのです。
今般のコロナ禍において、遅れるのではないか?世の中の都合でスケジュールに追いつかないといけないではないか?という風潮になってきています。
学校、教室、全ての概念を変えていかなければならないと思います。
スケジュールを外すのは難しいかもしれないけれど、家庭では大丈夫ではないかと思います。
その子が覚えたい、やりたい、変わった時がきたときが学びのタイミングではないかと思います。

●教育とは

今の日本の教育、先生観についても少し触れられました。

基本的には先生を応援するスタイル。
先生を承認し、感謝して、彼らがもっと力を発揮できるよう、やりやすいように応援するスタイルをとっている、と谷口さん。
教育観は違うけど、学校に行っている時、目をかけてくれているだけで「ありがたい」のだそうです。

ただこうしてくれ、ああしてくれ、では学校と親との板挟みになってしまい更なる先生の力というものが発揮できなくなるのではないかと危惧しています。

人は認められると変化が起きる
人は「変われ」と強制すると固執する

学校でやることが教育であり、それ以外は教育ではないというのは危険な考えです。
自分の生き方、冒険を見せたり一緒にやったりするのも教育ではないかと思います。
家に帰って親といっしょに何かを挑戦してみた、というのも教育。
自分の考え方や夢を話し、自分がこういう力を備えて、こういう生き方をしてほしいと思ってもらえるような生き方をするほうがいいのではないかと説いていました。

●学び方のありかたを変えよう


学校の制度を変えてもらうのは大半なのではないか、と若新さん。
それよりは、学びのありかたを変えようと動く方がいいのではないかといいます。
20年、30年かかるかもしれませんが、文科省のすごい人たちはイケている人が多いのだそうです。

子ども達が義務教育課程にあわなかったら?という問いに対しては、次のようにお話していました。

学校がすべてではない
学校が必要な意は本当のアウトロー
でも、学校には行っといたほうがいい
友だちは作った方がいい
授業には出た方がいい
学校の勉強や活動をやっておけば、あとはなにをやってもいいのでは
遊びたい、というのであれば学校のことだけはしっかりやればいい
クラスに40人もいて、全ての子にぴったりなことはない
それを否定していいのか?--否定しない方がいい
子どもが義務教育課程にあえばラッキー
あわなかったとしても家でちゃんとやってればいい
学校と別の場所があると少し楽になるかもしれない
学校はひとつの場所にすぎない
だから距離感がとれればとれるほど学校が気楽な場所になるのでは

●家庭も大切


学校と学校以外の時間がある中で家庭という場はより大事ではないか、と武内さん。

寝食ともにするという行為は一番習慣づけられるものです。

皇后陛下は、幸せな子をそだてるのでなくどんな境遇におかれても幸せになる子を育てたい、というお考えを抱いていらっしゃるのだそうです。
成績が悪くても、お金がなくても、自分が幸せと自分の力で変えられることを信じ、そういう価値観を持つ子供に育てたいのだそうです。

家庭でこそできることは数多くあります。
学校以上に家庭のインパクト、役割があるので子どもの教育(共育?)をできるような大人になればいいのではないかと思います。

谷口さんは、その子らしい能力を引き出すためには何が好きで何が得意かを大人が導き出す必要があるとしています。
親は「決める」というのではなく、いろいろなものを見せたりさせたり聞かせたりしていくと中に反応するものが出てきます。

収集すると夢中になります。
親はその子が夢中になることに興味をもつことが大切です。
夢中になるものを見つけてあげられるようアシストをする。
そのためには経験や体験の数がものをいうのではないかと思います。

●学校教育の中で「才能」は扱われない


才能は教育学の世界でどう扱われるか?という問いに対し、「学校教育の中で才能は扱われないのではないか」と若新さん。

個別の能力は扱わない
学校が提供したわけではないけど、たまたま持っていたものを才能と定義している
日本の公教育の中では才能を与えるというのは存在しない

個別のものだから学校の中では提供できないというスタンス
学校教育というのは、一人一人の能力ではなく全員持っておいた方がいいという画一化して、一般化して提供できるもの
個別の才能、能力を持っている者をあたえない
長い間その子のことを見ている人でないと難しい

小学校、中学校に乏しいのは、自分に起きているものを言語化することではないか
第三者的な説明をする、メタ認知をするのが難しい
客観視できるのは相当珍しいこと
個別差は観察しない
成績にも関与しない

私は、学校が与えようとしたものを習得できたかも大事だと思いますが、それ以上に子どものことをじっと観察することが大事ではないかと考えています。
学校は才能を与える場所ではないのです。

最後にナビゲーターの増子さんが自分自身の高校生の頃を思い出し、お話ししました。

自分はできる子ではなかった
新潟の田舎の出身。
周りから期待されず自分でも自分のことを期待していない、夢の一つも描けないような普通の子でした。

そんな自分が転機となったのは高校生のとき。
大学生にたくさん話を聞いてもらったことで信じてもらいました。
自分に期待してくれてない中でも真剣に話を聞いてくれた大学生
今から悲観しないでやりたいことをやる、思ったことを口に出す、斜めのあこがれの人に出会えたことが大きかった
安心して本音を話せる場がどんどん増えて欲しい

まとめ

今回も長文のレポートにお付き合いいただきありがとうございました。
ポイントは以下の4点です。

①これからはフットファーストの時代。
 頭で考えて行動するのではなく、まずは足で稼ぐこと。動くこと。
②子どもも大人もプチ冒険をしよう。
 冒険≒チャレンジ→経験・体験につながる。失敗=ネタと捉える。
③信頼関係を築くアイテム
 旅・読書・人。
④さりげなく、一緒に。
 子どもに寄り添って一緒にチャレンジする。
 人は認められると変化が起きる。人は変われと強制すると固執する。

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こちらのシリーズは全てではありませんが断続的に参加(Vol2.3.4.6.7)させていただいております。
レポートは、現時点で2と4を書かせていただいております(PC故障もありレポートが前後してしまっています)が、他に参加させていただいたものについても順次アップしていく予定です(かなり押してしまってスミマセン💦)。



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