情報の偏りに勝てた日

今日は朝9時に目が覚めた。シャワーを浴び、服を着替える。本当はもっと早く起きて、明日に控えているテスト勉強の時間を作りたかったのだが、この時間に起きてしまったのだから仕方がない。とりあえず心を落ち着かせるためにテレビをつける。

日曜の午前中に放送している番組はどこもかしこもワイドショーばかり。テレビでは吉本興業について、数人のコメンテーターがそれぞれの持論を述べている。どうやら反社会勢力との闇営業の問題で、二人の芸人が解雇されたらしい。チャンネルを切り替えても、同じ問題を取り上げていた。

しばらくテレビを見た後、今度はスマホの通知を確認する。通知が来ていたラインを返信。送信後は流れるようにYoutubeを開いていた。

おすすめ動画の中に、久保君がレアル戦でデビューした映像があったので思わず再生してしまう。「銀河系軍団」と呼び声高いレアルマドリードで、久保君は抜群の存在感を発揮していた。私は久保君のプレーをもっと見たくなり、今度は関連動画を再生する。

気が付けば1時間近くYoutubeを見ていただろうか。すると突然、明日のテストのことが頭上でフラッシュバックしてきた。勉強せねば。決意を固め、Youtubeを閉じる。

スマホを閉じようと指を動かすが、私の指はなぜかインスタグラムを開いていた。フォローしている人のストーリーを超高速で再生していく。大学生のストーリーは飲み会かカフェがほとんどで、有益な情報など何もない。はずだった,,,

「今日は参議院選挙の投票日。みんな投票にいこう!」

ストーリー上で選挙を呼び掛けている友人がいた。なぜだかわからないが、私はこのストーリーに感動してしまった。テレビをつければ、ワイドショーで吉本興業の問題。Youtubeをつければ、おすすめ動画ばかりが流れ、TWICEとサッカーの映像しか出てこない。それなのに、僕の友人は選挙に行っている。このストーリーが、情報化社会のために情報に偏りを生んでいた私の脳みそに衝撃を与えたのだ。

今日が選挙の日だということすら忘れていた。大学の教授が口うるさく、調べ物をするときは、自分に都合の良い情報の入手に偏らないように気をつけろ、と言っていたのを思い出す。本当にその通りだと思った。

感動は人を動かす。

気が付けば私は選挙会場に行っていた。

投票した瞬間は、体が何とも言えないぬくもりに包まれ、非常に清々しい気分になった。投票所にいるのは高齢者ばかりで、自分が若者の代表なのかもしれない、という優越感すら与えてくれる。しかも投票にかかる時間は3分ほど。私は短時間で優越感を味わうことができた。

投票を終え、投票前と比べて3倍は凛々しい顔をして投票所を出る。

なんていい気分なんだ。

あれ、なにか忘れているような気がする。

・・・

テスト

今夜は眠れない。


これからの可能性に賭けてくださいますと幸いです。