見出し画像

人のぬくもり、あたたかみ

11月は一年の中でもっとも時の流れが速い、ように感じる。予定を詰め込んで毎日せわしなく生活していると、あっという間に時間が経っている一方で、最近はボケーっと天井を見つめているだけで1時間も経過するのだから、恐怖すら覚える。

金曜に会った友人と「じゃあ、また来週!」なんて元気よく別れた後、すぐにその友人と「また来週!」と云っている。たとえ一週間ぶりに会ったとしても、さっきまで一緒にいたような感覚。なんとなく虚しい。

このままではまずい、と思った。何がまずいのかうまく書けないが、毎日の生活があまりにも決まりきっていて、変化のない生活に退屈しているという感覚が一番近いと思う。味気ないという言葉が今の僕にはぴったりだ。

だから、生活を変えることにした。さすがに体は変化を求めている。

そこでまずは、人に会い、会話をして、多様な価値観を学ぼうと決めた。こんな人間として当たり前の行動を、僕は今まで以上に意識して取り組むことにしたのだった。

そのために僕は、この一週間は、この一週間だけはと、モリモリに人に会って話をしたつもりだ。

意識して会ったのは、台湾人、韓国人、青森県民の皆さん。誰一人として標準語をうまく話せないけど、それはなかなか愛嬌があって僕は好きだった。もし目の前に可愛らしい博多弁を話す女の子が現れたら、娘と遊ぶ父親みたいにデレデレになって会話にならない自信がある。青森弁ぐらいのダサさが丁度よかったのだ。(おい)

台湾人と韓国人は留学で日本に来ているエリート大学生。彼らは僕よりもはるかに勉強して日本に来ているのだから、こちらは頭が上がらない。それでも僕は偉そうに、彼らの日本語の間違いを指摘する。

日本に来てから2ヶ月が経ち、彼らの生活はそこそこに落ち着いたらしい。「初めて日本に来た時の高揚感はもうないよ」なんて云うもんだから、最近は彼らが日本人にしか見えなくなってきた。

この前会った青森県民はというと、こちらはなかなか元気だった。彼は、わざわざ青森から上京して来たのだからと、やりたいことはとことんやるタイプの人だった。三つのサークルに所属し、アルバイトもしているらしい。あまりの忙しさに僕だったら卒倒している。

試しに、「青森は熊が電車にぶつかって遅延することはよくある話だよね?」と馬鹿にすると、「青森といっても田舎じゃなくて青森市、県庁所在地だから。そんな事故絶対ない!」と一喝された。県庁所在地という響きが妙にカッコよかったので、埼玉県の片田舎に住んでいる僕の瞳には、彼がシティーボーイであるように映った。

冬の寒さは人を孤独にする。その孤独感が、誰かと会いたいという感情をいっそう強いものにしてくれる。大切な人に会おう。会えば心が温まる。ボーっとしているだけでも、時間は過ぎ去っていくのだから。



これからの可能性に賭けてくださいますと幸いです。