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デザイナー。アウトドア好き。フライフィッシングをつうじて自然に触れる。感じたこと。役に…

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デザイナー。アウトドア好き。フライフィッシングをつうじて自然に触れる。感じたこと。役に立ちそうなこと。思いつくままに書いています。

最近の記事

2024年 渓流シーズンスタート

絨毯を敷き詰められたような桃の花の季節。雪解け水に浸した手は痛みを感じるほど冷たかった。途切れることのない渓流は昨年と変わらない表情を見せる。山は植物が小さく芽吹きはじめ、これから始まる生命の物語の序章のよう。踏みしめる足下では枯れた草木がパキパキと音を鳴らす。魚達はまだ岩陰にひっそりとしているようだ。出会った魚たちは小さく、これもまたプロローグのような自然の演出に感じる。今年もたくさんの出会いが待つ物語を楽しみにしている。

    • 河口湖のフライフィッシング

      台風が迫る9月。雨予報の中、車を走らせて山梨へ。 目当ての渓流が近づくとざあっと降ってきました。 釣りは半ばあきらめ河口湖へ。 空を見上げると雨が止んだ瞬間がありました。 急いでウェダーを着込み湖畔へ。 酷暑だった2023年の夏、なまぬるい水の感覚がウェダーを伝ってきました。 少し憧れていたフライでのバスフィッシング。 フライは大きめのレインボートラウト用に巻いた「スティミュレーター」 これは刺激物という意味のフライで、派手な見た目が特徴です。 これならバスはつれるだろうと

      • 9月の山梨の渓

        2023年の夏の暑さは異常でした。 夏休みのあと。標高1400mの山の中 森は生命の限りをつくし濃い緑を空にのばしています。 透き通った力強い流れにいつものようにフライを流しますが、あたりはありません。まるでどこかに引っ越してしまったように魚はめっきり静かになりました。 中流域ではまだ暑く、水温も高い日が続きます。これでは魚も食欲が出ないでしょう。釣れるのは小さな魚ばかりです。 夏休み中、大きな魚は釣り切られている可能性もありました。 ここでも生命の循環は起きていないというこ

        • 檜枝岐村

          8月の暑い日、釣り仲間に誘われて、家族と福島県檜枝岐村(ひのえまたむら)に行きました。 東京から車を走らせ、塩原温泉、南会津を抜けておよそ4時間。 ここは尾瀬への北の入り口。自然豊富な蕎麦の村。 檜枝岐漁協と手前の南会津漁協は恵まれた自然を活かして川と対峙しており、そのため釣り人も多く出会います。今回は入渓しやすい開けた場所での釣りだったため、渋いですが元気なイワナ、稀にヤマメも顔を見せます。 遠方で釣りに耽る時間、おいしい空気が体に沁みます。 その日は塩原に一泊し、翌朝の

        2024年 渓流シーズンスタート

          在来個体群生息水域

          現在、人家が近い多くの河川では、釣り人に取り尽くされて、残念ながらすでに在来のイワナやヤマメなどはいなくなり、漁協による放流によってなんとか魚のいる川になっている現状があります。川によっては、放流から1週間ほどで釣り尽くされてしまい、生命感のない川にもどる場所も多いです。ルアーフィッシングやフライフィッシングの釣りでは魚はリリースしますが、餌釣りの人たちは、食べ物を獲っているために釣れた分だけ持って帰ってしまいます。これは、個々人の釣りに対する捉え方ですから、他人がどうこう言

          在来個体群生息水域

          イワナと出会う週末

          甲府盆地は30度近くなる気温の日、渓の朝は10度ほど、上着がないと寒い気温です。 イワナのおなかが黄色くなっていました。一説によると、水の中では保護色に見えるそう。 そういえばこのあたりの岩は黄色い岩が多いです。 沢を少し上がったところでは古来より水晶が取れたらしく、縄文人も水晶の鏃(やじり)を作っていたそうです。 今でも川の中の花崗岩にも大粒の石英が見られます。とうとうと流れる川の音の中、イワナと遊ぶ週末。

          イワナと出会う週末

          標高1300mの渓

          岩にぶつかる力強い川の音。 高地にあるこの渓流は植物の植生も里山とは少し違う。寒いためか木々もうっそうとはしておらず、ふと川から顔をあげると素晴らしい景色が広がっている。きれいな清流で水は澄む。町から離れているために人も多くなく、登山や釣り人しか来ない。 住んでいるイワナの色は薄く、川の明るさを物語る。息を吸うと心洗われるこの場所がとても気に入っている。

          標高1300mの渓

          山梨 石空川

          どうにも気になっていた石空川(いしうとろがわ)へ行きました。この辺りの石灰質の岩や砂は景色に緊張感をあたえ、川の風景を独特なものにします。南アルプスを臨む景色は悠久の時を感じさせます。川の中を歩くと海砂のように堆積した砂にブーツがするりと沈み込みます。お魚の気配はありませんでしたが、生命力を感じる川。帰り道には鹿が横ぎりました。

          山梨 石空川

          春の山梨釣行 桂川

          GWを前にした週末。ヤマメが釣れる山梨 都留漁協管内の桂川で釣り始め。気さくな餌釣り師が場所を譲ってくれました。 桂川は山中湖を源流とした川で、富士山の標高が高いため、関東では珍しく一旦北に向かって流れます。大月で西から来た笹子川と合流した後は東に向きを変えて相模湖へ入り、相模川と名前を変えて相模湾へと注ぎます。地図で見ると丹沢の山々を迂回する様に流れています。長い水の旅です。 さて、天気は快晴。太陽が眩しい。フライを投げていてとても気持ちの良い日です。何度か小さな反応があ

          春の山梨釣行 桂川

          大武川〜芦川〜富士五湖

          朝から「大武川」へ向かいました。大きな川です。 雄大な南アルプスを背景にすばらしい景色。前日の雨で薄濁りの大武川。釣りをしていてとても気持ちの良い場所です。 ほど近くに、石空川という支流があります。この川、「イシウトロ」と読み、不思議な読みかたです。ちょっと話は脱線しますが、少しお付き合いを。 甲府盆地には縄文時代の遺跡が多く、縄文土器が非常に多く出土しています。おそらく、縄文時代より数多くの河川が集まる甲府の地は人々にとって住みやすい場所であったと考えられます。 さ

          大武川〜芦川〜富士五湖

          2023年初釣行 山梨

          早めの桜の開花、ようやく今年の初釣行となりました。初日は桂川で少しだけ。やまめに出会いました。しかし今年は暖かい。4月初めではありますが上着を着ていると暑いです。この分だと夏の釣りは水温が高くなりすぎて厳しいかもしれません。 釣りはほどほどにして、次の目的地へ。この時期の甲府盆地はすばらしい景色が眺められます。桜と桃が同時に開花して甲府盆地の入り口、笛吹のあたりは一面ピンク色に染まっています。以前から行きたかった登美の丘ワイナリーへ。昨年リニューアルされた施設はここで作られ

          2023年初釣行 山梨

          ヤマトイワナ?

          昨年の写真を見返していたら、1尾だけ色が違うイワナがいました。黒みがかった魚体に違和感を覚えた記憶もありますが、山梨の源流域で釣れてくれた喜びが大きかったので、さほど気にしませんでしたが調べてみると、関東に主に生息する白っぽいニッコウイワナとは少し違い、オレンジの斑点があるあたり、ヤマトイワナかもしれないと思っています。ただ、ヤマトイワナには白い斑点がないという情報も。 また、中国地方には ゴギ という亜種も存在するようで、どなたか詳しい方、教えていただけましたら幸いです。

          ヤマトイワナ?

          リノベーションの話

          この写真は先月、2023年1月に撮影しました。さて、いつ建築された住宅でしょう。実は30年ほど前に建てられた武松幸治さん設計の住宅をリノベーションしました。リノベーションといっても、間取りなどを変えたわけではありません。できるだけ原設計を生かしています。写っている障子の桟はあくぬきをして障子紙を張り替えました。フローリングは痛んでいた所を削って再生しました。エアコンや照明器具は入れ替え、壁の塗装やクリーニングをして建物に第二の人生を与えるリノベーションです。とても美しい空間で

          リノベーションの話

          木の話 外部で使う木材の性質 「風化」

          木材というのはとても魅力的な材料です。 建築材料や家具、様々なものに使われる木材ですが、素材の特性を捉えることができると、手入れをしてとても長く付き合える素材です。今回は屋外で使われる木、その材質の秘密を紐解いていきたいと思います。 デッキ材を再生利用 30年ほど経った住宅のリノベーションの現場から、外したデッキ材をもらってきました。長い歳月、風雨にさらされ、苔が生え黒くなった木材でしたが、まず、高圧洗浄して、苔や汚れ、柔らかくなった表面の木を取り除きます。そして、風化した

          木の話 外部で使う木材の性質 「風化」

          飛騨の匠 曲げ木家具の話

          岐阜県高山市 飛騨高山と呼ばれる地域。 「飛騨の匠」で有名な飛騨高山は不思議な魅力のある場所である。山あいにあり、農耕に適した平地もさほど多くない。しかしながら古来より栄え、人々の豊かな生活があった。「飛騨の匠」は、その昔、年貢の代わりに都へ大工を送っていた事で日本中にその名を知られる事となった。その歴史は驚くべきことに藤原京の建設に遡り、「万葉集」や「日本書紀」にもその名は登場する。 奈良には今でも飛騨村が存在し、飛騨の人々が奈良の社寺仏閣の建設に大きく関わった事は想像に難

          飛騨の匠 曲げ木家具の話

          鉄さびの話

          身の回りにある鉄。その性質を知ることは、生活の知恵でもあります。建築材料から日用品にいたるさまざまな物が鉄でできています。日本に古来からある南部鉄器やキャンプで活躍するダッチオーブンなど。ただし、鉄はその性質からうっかりするとすぐに錆びてしまいます。そこで、不思議な鉄の性質を知ることでその対処方法を学んでいきたいと思います。 黒サビの話 キャンプ用品に使われるダッチオーブンは、正しい使い方をすると長年使っていても錆びません。なぜでしょうか?ダッチオーブンの使い方は、料理が終

          鉄さびの話