『ピラミッド の評価・評判は? 調べてみました!』 『いかがでしたか?』


 画像か映像でも見たのか、身内が「エジプトのスフィンクスは思ったより小さいらしい」と話してきた。

 私もそれはそうだろうと思う。よく目にする写真では、スフィンクスが手前に写っていて奥にピラミッドが見える構図が多いから、おそらく遠近法でスフィンクスかかなり大きく見えているのだ。
 もちろん狛犬のように小さいわけはないが、そもそもスフィンクスがピラミッドほど大きかったら、観光客も目で見て形を認識するのが大変である。 

 そんなことを話しているうち、ふと思いついて、Google マップでギザの大ピラミッド 周辺の航空写真を見てみた。
 「ギザの大ピラミッド」と書かれたその近くに「臨時休業」と記されている。このような状況だから仕方のないことだ。 

 しかし自分の墓が「営業」「休業」を行うことになるとは、古代の王も思わなかったに違いない。とはいえこれだけの建造物を建てているのだから、自分の墓を自慢したかったのだろう。悪い気はしないかもしれない。 

 などと考えていると、私よりもさらにインターネットにうとい身内が画面を指差した。
 
「この、4.6っていう数字は何?」

 と質問してくる。私は答える。

「ギザの大ピラミッド の、クチコミというかレビューというか、そういうものの平均値じゃないかな」

  「ええ……」と困惑した身内は、世界遺産にクチコミがつく時代……などとつぶやき、猛スピードで移りゆくIT社会に対する理解を深めようとしていた。 

 身内にとってはあまりにこれが印象的だったようなので、私はもうひとつ情報を提供することにした。ピラミッドを臨む周辺ホテルのうち1つを示し、クチコミ評価を見せる。

 「ほら、ここのホテルはクチコミが5.0点満点」

 クチコミの数字を純粋に評価基準にすると、ピラミッドを見にいくよりこのホテルのサービスを受ける方が価値があることになる。
 まあそんなことを考える人間はまずいないだろうが、だとすれば数字の評価は必要なのだろうか? 

 この社会において、価値と評価とその基準とは一体なんなのだろう。私にはときどきそれがわからなくなる。 


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