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ヒアリングの質が提案の質

「ヒアリングの質が提案の質」というお話。これは保険業界に限った話ではないが、営業における「真理」だと思う。
 
我々の業界でいうと、なぜ保険で積立をする必要があるのか、月々はなぜその金額なのか、なぜその保障(特約)が必要なのか、こうした「根拠がある提案」を行うためには、顧客のことをよく知っている必要があって、つまり事前のヒアリングが肝要なのですね。

 なので、私たちは「質の高い提案」をしたいのであって、それには、「質の高いヒアリング」をする必要がある。

これは多くの人が理解している部分なのだが、では、「質の高いヒアリング」とはどうやって行うものなのか?についてはあまり解説されていくことがない。

当然だが、ライフプランを作成する=ヒアリングではない。ライフプランの作成にあたっては顧客のことを様々に聞くわけだが、ライフプランが、(目的達成のための)手段に成り下がると、これはFP業としても本末転倒。
 
顧客のライフプランを描くというのは、ファイナンシャルプランニング(=金融分野における様々な設計)をするために必要不可欠であって、「前提」に位置するもの。(商品販売のための)手段に成り下がるライフプランなんぞ時間の無駄である。
 
話を元に戻すが、「質の高いヒアリング」という、非常に抽象的なものを、具体的に実践するにはどうすればいいのか。ヒアリングや「聞く力」とか、この手のビジネス本は多数ある中にあって、それらを見ても正直よくわからないという人が多いのでしょう。これはなぜなのか、私が思うところを書き出してみるので、興味がある人は読んでみてください。
 
1.自身(担当者自身)が、「質の高いヒアリング」というものを受けたことがない(だから、わからない)
⇒私はこの部分が一番大きいと思っていて、ヒアリングというものは、コミュニケーションセンスで片づけられることが多い分野なのだが、ではその「センス」が高い人というのは、どうして実践できているのかというと、自身が「ヒアリング力」がある人と対峙している機会・場面が多いからだと思う。
私個人の経験でお話ししよう。私がある人に自らの企画をプレゼンしたときのこと、その方は外資系コンサルファームの方だったが、一通りプレゼンを聞いたあとに、「で、岡田さんはどうしたいの?」と一撃で核心を突く「問い」をする。「本当は、何がしたいの?」という問いだ。こういう質問を自身が受ける経験を、複数回したことがある人は、ヒアリング力というものがどういうものかを身をもって理解できるし、自然と身についていく。ヒアリングというのはプロセスであるから、相手の話を聞き、所作を見て、自分で考えて、アウトプット(質問)をする。こうしたことは、身をもって経験してみるのが効果が高い。

俗にいう、「最高のサービス(おもてなし)」をしたいのなら、一流のホテルで最高のサービスを受けてみること、というものと等しい。
 
2.目的に関するヒアリングができていない。やっていても真剣度合いが伝わっていない
⇒上記に関連する部分ではあるが、私たちの業務におけるヒアリングというのは大項目では、
 
・顧客の概要に関するもの(家族構成、職種、年収、住まい、生活関連の収支など)
・顧客の人生に目的に関するもの(後述に参照)
・顧客が行っている「手段」に関するもの(投資をしている、積立をしている、保険に入っているなど)

 
の3つに分かれると思っている。



このうち、2番目の「顧客の人生に目的に関するもの」について、ヒアリングができていない。目的とは、顧客がこれからどんなことをしたいのか、お子様にはどうしてあげたいか、(場合により)どんな家に住みたいか、どんな教育を受けさせてあげたいか、老後はどんな暮らしをしてみたいか、これからやってみたいことは何か、お仕事はどうされたいか。こういうことなんですが、これら「考え・価値観」に関するヒアリングができていない。

やっているという人もいるが、その真剣さが伝わっていない。
 
この目的に関するヒアリングで非常に重要なことは、質問に答えてもらうことが大事なのではなく(それも大事だが)、目的を質問をすることで顧客自身が、自分で改めて考えてみるという、内発的思考を促すことである。
 
3.ヒアリングを行う環境が整っていない
⇒環境とは、面談の環境とかそういうことではなく、顧客と担当者の「立ち位置(関係性)」というものだ。つまり、教える側と教わる側という「立ち位置」にならないと、ヒアリングはうまくいかない。そのためには、担当者は能力開示する必要があるし、顧客はその担当者の能力を認知(知って認める)する必要がある。そうでないと、顧客は自分自身のこと(預金残高も、やりたいことも)開示しないし、したくない。
 
では、この能力開示はどうするか、ですが、それはMDRTとかそういうことではなく(笑)、絶好の能力開示のポイントが面談当初にあるわけで、それが顧客の「ファースト意向」だ。今日は何が聞きたいですか?面談をしてみようと思うきっかけは何でしたか?など、面談においては、まず要望確認をするはずだ。

ここで、顧客の要望にまずプロとしてフィードバックすること。・・・・からの「ヒアリング」が大事という意味だ。
 
プロとしてフィードバックして、相手が自分の能力を認知したうえで、「本当の目的」をしっかりヒアリングする(顧客が自分で考え始める)。

これが質の高い提案につながる。この一連の面談プロセスは、教わるというよりも、実際に経験してみることが一番なんだろうなとも思う。


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