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BOOKS─書籍紹介

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建築・都市・まちづくりにまつわる書籍の新刊・近刊を紹介していきます(本記事は雑誌連載コーナー「BOOKS」の転載記事となります).週2回更新予定.また,本アカウント以外の紹介記事… もっと読む
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2019年2月の記事一覧

生態多様性と市民参加を両立する─エコロジカル・デモクラシー まちづくりと生態的多様性をつなぐデザイン【鹿島出版会】

ランドルフ・T・ヘスター 著 土肥真人 訳 菊判/520頁/5,500円+税 エコロジーとデモクラシー、どちらも単独では問題を解決できないが、両者が組み合わされたとき、都市の新たな希望が生まれる。世界をつなぐ15の原則に導かれた、都市デザインへの圧巻の大著。 著者は,現代都市がその場ごとに異なる自然(植生,水循環など)を無視し,経済性重視で紋切り型の成長を遂げてきたと指摘.同時に,インフラなど技術的専門家主導の都市づくりは,従来からの住民コミュニティを弱体化させ,彼ら

非統一的な個人主義が生み出した都市─日本の醜さについて 都市とエゴイズム【幻冬舎】

井上章一 著 新書判/235頁/800円+税 個人主義で自己主張の強い欧米人とくらべ、日本人は集団主義的で協調性があり、「和をもって貴し」とする民族だと言われてきた。しかし、ひとたび街に目をむければ、それはまちがいだと気づく。 利権まみれで雑多な東京。くいだおれ太郎やかに道楽など人形だらけで幼稚な大阪。“千年の都”と称されながらスクラップ・アンド・ビルドをくりかえす京都。 ローマと東京、ヴェネツィアと大阪、フィレンツェと京都――街並をくらべるかぎり、近代化に成功し、本

身を委ね建築をつくる─隈研吾という身体 自らを語る【NTT出版】

大津若果 著 四六判/296頁/2,600円+税 「負ける建築」の隈研吾は、なぜ勝ち続けられるのか?   隈建築の思考回路に迫る、ノンフィクション的建築論。   《新国立競技場》 や 《山手線新駅》、パリ《サンドニ・プレイエル駅》をはじめ、国内外で数多くのプロジェクトを進行させ、現在、もっとも脚光を浴びている建築家、隈研吾の建築とその思考を読み解く一冊。 一般的には、建築家という職能は、パワフルで能動的(安藤忠雄)、アーティスティックで前衛的(磯崎新)、といった風に認識