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迦楼羅(カルラ)の龍笛 その運指について

雅楽についての初投稿がまさかこれほどニッチな内容になるとは思っていなかったのですが、情報は新鮮なうちにアウトプットしていきたいと思いました。このテーマでは2件ほど言及しているブログを見たのですが、それらとは別方向の内容でまとめたいと思います。


国宝迦楼羅像

天台宗の名跡、三門跡のひとつ、蓮華王院三十三間堂、本坊妙法院門跡。修学旅行で訪れた方も多いのではないでしょうか。
三十三間堂それ自体も国宝で、なかに安置されている千手観音座像・千手千体観音立像をお守りするのが、風神雷神像と二十八部衆像。すべて国宝です。

今回クローズアップするものが迦楼羅像。
迦楼羅は二十八部衆に属す仏教の守護神。インド神話で大活躍する戦士ガルダのことです。神龍を好物として食べるというのですから、それはそれは強い神でしょう。また口から黄金の火炎を噴きます。背後に火をまとった不動明王を一度は見たことがあるでしょう。あれが迦楼羅の吐き出す火炎だそうです。タイ王国の紋章、ガルーダインドネシア航空は名前の通りロゴマークなどにガルダが描かれています。

二十八部衆像は日本全国に安置され、国外では台湾の台北市北西部にある関渡宮(かんとぐう)という寺院にもあるそうです。検索で画像がヒットしませんでした。ぜひ一度お目にかかりたい。

迦楼羅の運指

三十三間堂建立の勅命を出した後白河上皇、もしくは仏像制作者である仏師が、何の音を後世に残そうとしたのか、という界隈としてはロマンあふれる話題に触れたいと思います(ちなみに現存のものは鎌倉時代に製作とも)。


クリスタル龍笛(左)・龍笛管筒(中央)・龍笛(右)
龍笛

笛を持ったときに左手人差し指で抑える指孔を六(ろく)と呼び、音階の和名は「壱越調」。七つある指孔のうち左手人差し指のみを開けて、他をふさいだ音が「六」の音となります。迦楼羅像の龍笛の持ち方は、左右の親指で笛を支え、左手中指薬指が指孔を抑えてそうで、人差し指小指が浮いている。右手も中指薬指が指孔を抑えてそうで、人差し指小指が浮いている。右手の人差し指も空いているなら六の責となる。少なくとも高音域ではないかとのこと。

運指ではない可能性

実際にこの持ち方を試している間に、もう一つ可能性がありそうな気がしてきた。それは龍笛を構えるまでの途中、「今まさに吹こうとしている姿」ではないかというもの。


管筒に龍笛を収納している画像
管筒収納時

龍笛を吹くときには自分から見て右側に指孔が来るのですが、手放したときには現代の伝統的な方法として、持ったときとは逆方向で管筒に納めて目の前に置く。そこから取り出すときの私の順番として、

1.右手で龍笛の頭を持って筒から取り出す。
2.左手で六の穴から順に指孔を抑えていきながら持ち替える。
3.右手で指孔を抑えていく。
4.左手の指孔を抑えない親指小指で笛を支える位置に移動する。

となる。迦楼羅の運指は、この②と③の間ではないだろうかと思いました。現代の持ち方では左右の親指と左手小指で龍笛を持つのですが、迦楼羅の手ではでは安定して吹けないのではないかというのがきっかけでした。

まとめ

他にも迦楼羅が龍笛を吹いている像はあるそうです。炎を吹き出し、龍を食べる迦楼羅に龍笛を吹かせるという趣向が想像をふくらませます。
「今まさに吹こうとしている姿説」いかがでしょうか。お気軽にコメントを頂ければと思います。

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