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『キリスト・コミッション』を読み終えて

 前にこちらの記事でもご紹介した、オグ・マンディーノ『キリスト・コミッション』を読み終わりました。

 ストーリーは、主人公の作家がイエス・キリストの磔刑から6年後のエルサレムにタイム・スリップし、ペトロやヨハネ、ポンティオ・ピラトといった聖書の登場人物たちを訪ねて、生前のイエスの様子やご受難・復活のいきさつを聞いていくというもの。

 当時のエルサレムの風景や人びとの暮らしが、まるで匂いを感じられるほどに詳しく描写されていて、福音書に出てくるさまざまな場面を立体的にイメージすることができました。
 もちろんイエスさまの生涯と、最後の晩餐、ゲッセマネの祈り、裁判、むち打ち、十字架刑の様子なども。

 読んで良かったです。しかもレントの、受難週の直前に読むことができ、そのタイミングも私にとっては恵みでした。

 本書の魅力を、翻訳を担当した牧野・M・美枝さんが、巻末の訳者あとがきでこのように語っています。

 本書は、キリスト教にそれほどなじみのない人々にとっては、キリストがどういう人物であり、どういう生き方をし、どのような教えを与えたかを、真に迫るストーリー展開を追いながら、ときには涙し、感動しながら知ることができます。
 また、キリスト教徒の人々にとっては、オグ・マンディーノのイエスへの思いに共感しながら、イエスへの思いを新たにし、その信仰を新たにする一冊となるのではないでしょうか。

オグ・マンディーノ『キリスト・コミッション』訳者あとがきより


 そうですね。私の場合は、イエス・キリストを尊敬し愛した人びとの悲しみや決意に共感し、さらに、イエスさまの肉体的な痛みがどれほどであったかを思って胸がしめつけられました。

 また、作中で主人公の作家が語る、自身の執筆スタンスにも深く共感を覚えました。こちらです。

若いころの私は苦しい日々を送り、逆境におちいっても、なんとかやってこられたのは信仰のおかげでした。ですからイエスに敬意を払い、私にとって意味のあったすべてのことをたたえたかったのです。でもそれには、ほかの本にあるようなありふれた理性を欠いた信仰や、歯の浮くような言葉ではなく、真実をもって書く必要があった。

オグ・マンディーノ『キリスト・コミッション』


 明日は棕櫚の主日。受難週の始まりです。
 聖書をめくりつつ、『キリスト・コミッション』を読み返し、祈りのときを過ごしていきたいと思います。


◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから
nekomi_iさんの作品を使わせていただきました。
ありがとうございます。

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