見出し画像

ひとりぼっちの旅


ひとりぼっちの旅は、突然始まるものだ。
準備ができずに、装備もないまま、急にプロローグが終わってしまう。
人生はモノローグ的なものだと思うし、常に独奏し続けるものだと思う。
誰かと共に物語を紡ぐことも、協奏曲を奏でることができるのも恵まれたものだと思う。

だから、ひとりぼっちを気にするなんてナンセンスである。
そう言えるのは、すでにイージーモードだな、なんて思うのだ。

章が開幕すると、一斉にスタートが切られる。
出遅れてしまうとあっという間に追いつけなくなってしまう。
一度でも躓くと、たまたま会う人が見つからないと焦っているときには「すでに遅し」である。

パーティが組まれていて、装備品で身を固め、特殊な技能を習得している。
そう現実で能力や人間関係に置き換えてもらえばいい。
まるで裸一貫、戦うすべもなく、ただ立ち尽くすしかないような感覚である。

ゲームのようにやり直しがきくのなら、またコンティニューボタンを押せばいい。
あるいは、冒険者御用達のスライムたちを倒して時間をかければいい。
しかし、“リアル”な世界は違う。だからこそ苦しくなってしまう。

渋谷でも梅田でも博多でも仙台で札幌でも
大量の人が行き交う道で、ふと一人になるあの感覚を大きなダメージ

飲み会でもサークルでも懇親会でも結婚式でも
なぜ自分だけが何も進んでいなく、自分は生き遅れているとなる感覚の魔法攻撃

誰よりも走り続けて誰よりも努力して誰よりも傷ついているのに
空っぽな自分が恥ずかしくなる絶望を抱く恐怖に追われる未知の罠

ひとりぼっちの旅はとても大変である。あっちこっちを気にして労力を使う。

あの町まで、あの都市まで、あのお城まで、ひとりぼっちの旅を続けていく。

僕は今どこにいるのだろうか。風に聞いてみる。

夢はルポライターなどです。(/・ω・)/「声なき声を」届けることや草の根活動を頑張っている人や世に出せるように、そのために使えたらなと思います。