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やる気スイッチの「アンカリング」について

今回は、アンカリングについて。
 
 
アンカリングという言葉は、初めて聞くかもしれませんし、聞いたことならあるかもしれません。
 
自分にスイッチを入れることで、ある特定の気持ちや身体の状態にさせるテクニックです。
 
よくアスリートの人たちがピークパフォーマンスの状態にするために行なっています。
 
・野球のイチローさんの打席前の一連の儀式。
・ラグビーの五郎丸さんのキック前のポーズ。
・オリンピック選手の競技前の勝負曲。
 
ここぞという勝負所でスイッチを入れて、気持ちや身体の状態を切り替えています。
 
私たちはアスリートではないにしても、このようにスイッチを入れることで自分の状態を切り替えることができれば、すごいと思いませんか?
 
そのアンカリングについて説明します。




NLP(神経言語プログラミング)のテクニックにアンカリングがあります。
 
特定の引き金(アンカー)によって、特定の感情や感覚などの生理的反応が作動する仕組みです。
 
五郎丸さんの例
アンカー…五郎丸ポーズ
反応…ピークパフォーマンス状態
 
いつでも必要な場面で、ピークパフォーマンス状態を再現して、能力を発揮することができるのです。
 
アンカリングは、アスリートのようにピークパフォーマンスにするだけではなく、緊張状態の場面で平常心を再現するという用い方もできます。
 
 
原理としては、「パブロフの犬の実験」で理解できます。
 
①犬にメトロノームの音を聞かせる。
②メトロノームと同時に餌を与え、唾液が出る。
③これをくり返す。
④犬はメトロノームの音を聞いただけで、唾液が出るようになる。
 
古典的条件づけ」と呼ばれるものです。
 
メトロノームの音は、餌を与えられた時の生理的反応を引き起こすアンカーになっています。
 
 
具体的なNLPのアンカリングの方法を説明します。
 
①なりたい状態を特定
これまでで一番、心が落ち着いて集中し鮮やかなキックが決まった瞬間。
 
②アンカーとなるポーズを決める
キック前のポーズ。
普段しない変わったポーズが望ましいです。
(よくするポーズだと日常で作動して薄まってしまう。ただ手を組むポーズなどはNG)
 
③その時の記憶を五感で思い出す
視覚、聴覚、身体感覚で何を感じるか。
臨場感を持って当時の状態を鮮明にイメージします。
(出来事は五感を通して記憶し、五感を通して想起されます)
 
④状態がピークになる手前でポーズをとる
パフォーマンスが最高点に達するちょっと手前でポーズをとります。
最高点が過ぎたらポーズを解除。
 
⑤繰り返す
一旦気持ちや状態を元に戻した後に④をくり返します。
ポーズをとっただけで切り替わるまで繰り返します。
弱ければ①の場面のイメージを過剰に強めます。
(自分の体から炎が出て、ゴールとボールしか見えない、邪魔はいないなど)
 
⑥完了
ポーズをとっただけで状態が切り替われば完了。
 
 
五郎丸さんはどのようなやり方でアンカリングを作ったのかわかりませんが、おそらくトレーナーさんがいてやってもらったのではないかと思います。
 
 
私もアンカリングを使っています。
 
人前で講演する機会がこれまでにもありましたが、過度に緊張せずにパフォーマンスが発揮できるようにするアンカーがあります。
 
NLPを習っていた時に先生にアンカリングを作ってもらいました。
 
これまでで一番うまくいった講演の時を思い出し、いつでもその時の状態になれるようにしてもらいました。
受講者が100人くらいでめちゃめちゃ準備に時間をかけた講演です。
自信を持って話している自分や真剣に聞きうなずいてくださる受講者の表情を思い出しながら。
 
強めにアンカリングできるようにオーバーなイメージを加えて。
(ドラゴンボールの孫悟空がスーパーサイヤ人に変身して全身からバリバリとオーラが出て髪が逆立つイメージ)
 
アンカーのポーズは、両手の指をつける、です。



実際に自信があるように見えるポーズらしいです。
 
講演の前にポーズをとったり、途中で緊張してきたら密かにしてみたり。
 
今でも効果はあります。
たまに自分でメンテナンスしています。
講演会が控えている時、アンカーが弱まっているなら上記一連の手順で強化します。
 
 
ここまでポジティブなアンカリングの話をしてきましたが、アンカリングはネガティブにも働くことがあります。
 
例えば、
 
トラウマ体験の想起。
当時と似たような音を聞く、似たような雰囲気の人と接することで、嫌な気持ちや生理的反応が起きることがあります。
この場合も音や人がアンカーとなり、当時の状態が引き起こされます。
 
幼少体験からの行動の制約。
大人の機嫌を伺って振る舞ってきたなら、周囲の人の機嫌を伺い、自分を自由に表現できないなど。
 
NLPのアンカリングの考えでは、このようなネガティブなアンカリングを解除して、反応パターンを変えることができます。
 
過去の記憶を薄めたり、ポジティブな記憶と中和したりして、反応が起きないようにすることができるのです。
 
 
 
以上、アンカリングを説明しました。
アスリートも使っている、スイッチを入れることで気持ちや状態を切り替えるユニークな方法です。
興味を持っていただけたら幸いです。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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