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共感し難いのは相手の話に同意しようとするから

人の話を聴いて共感するというのが私のようなカウンセラーの仕事です。
カウンセラーではないにしても、共感能力は日常の対人場面でも必要なことがあります。
 
ただし、共感しようと思っても難しいことがあるのも実際のところですよね。
相手は別の人間なので、考え、気持ちに同意できないことはよくあります。
 
共感できない理由の一つは、「同意しよう」とするからだと思うのです。
 
「共感」と「同意」は異なり、同意しなくても良いのです。
 
その共感と同意の違いを「うけいれる」という言葉の漢字の使い方で明確にできます。
漢字の違いを説明しながら、共感のためのヒントを示すことができたらと思います。




以前の記事でも書いたように最近私は、「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念に関心があります。
(詳しくは過去記事『共感とネガティブ・ケイパビリティ』参照)
 
枝廣淳子さんの『答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ』(イースト・プレス)に「なるほど!」と思わせることが書かれてあったので、参考にさせていただきます。
 
日本語で「うけいれる」を2種類の漢字で使い分けることができるのですが、
 
「受けれる」
「受けれる」
 
は意味が異なるそうです。
 
「受け入れる」は、相手の意見に「同意して」自分の中に入れるイメージ。
「受け容れる」は、「器に入れる」ように受け止めるというイメージ。
 
前者は、相手の意見と一致しなければいけませんが、後者は一致しなくても良いのです。
 
後者「受け容れる」は、相手の意見をそのままにして自分の容器に入れること。
自分の意見は違うけど、「あなたはそういう考えをお持ちなのですね」と耳を傾けることになります。
 
ポイント
・自分は同じ意見でなくても良い。
・同じ意見にする必要もない。
・その上でしっかり最後まで耳を傾けること。
 
ですので、傾聴では「受け容れても受け入れない」こともあるのだそうです。
 
相手に共感するというのは、「受け容れる」のほうで、そのように理解すると話を聴きやすくなると思いませんか?
 
 
このことは、自分自身の感情を受け容れる際にも同様だと思います。
不安、悲しみ、怒りなどのネガティブな感情を「受け容れる」。
 
マインドフルネスでは、いまこの瞬間に起こっている自分の感情をありのままに受け入れようとします。
 
これも自分の感情に「同意」「納得」していなくても、ただただ「ああ、自分はいま不安なんだな」と認識して受け止めるので同じことではないでしょうか。
 
 
自分の感情をありのままに「受け容れよう」とするのと、相手の意見をそのまま自分の容器に「受け容れる」共感はつながっていると思います。
 
そして、これらの力とネガティブ・ケイパビリティは関連があるように思います。
これからもネガティブ・ケイパビリティについては、学んでいきたいと思います。
 
 
 
今回は、共感し難いのは相手の話に同意しようとするからであり、「受け容れる」というイメージで耳を傾けることが大事という話をさせていただきました。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
【参考文献】
『答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ』(枝廣淳子 イースト・プレス)
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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