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ペルソナを意識することでメンタルを維持する方法

今回は、人に振り回されないように自分のメンタルを維持できる方法についてです。
 

ご質問をいただいたので、回答する形でこのテーマで書きます。
 
ご質問内容の要点を紹介させていただきます。
 
・相談者の話を聞く仕事において、自分のメンタルの維持はどのようにしていますか?
・管理職をしていて、人に寄り添えるように心掛けていますが、自分のストレスが半端ないです。
・人は優しく対応するとそれが当たり前となり、少しきつく言うとそれがパワハラと言われてしまいます。
・負け続けているような…なんとも言えない感情が膨れ上がってしまい… 今の若い人は情報が多く溢れている現在、権利主張がすごいと思います。
・人に振り回されないように自分のメンタルを維持できる方法があれば教えてほしいです。


私も管理者をしていた期間があるので大変さはわかります。
ストレスフル!
 
・スタッフに気を使わなければいけない…
・厳しくしても優しくしても不満が上がる…
・常に責任を意識する…
・立場上仲良くもなれず、「管理者—スタッフたち」の構造で孤独…
 
当時(今も)ストレスにやられないように自分のメンタルを維持するためにやっていたことを紹介します。



一番いいのは、職場内で同僚や上司に話を聞いてもらうことです。
 
私の職場でも、相談者の話を聞いた後に同僚同士でもやもやした気持ちを聞いてもらい合い、メンタルを保っている光景をよく見ます。
 
ただし、中間管理職は上と下に板挟みになるので、孤独な立場です。
 
そこで私がやっていたことは、「ペルソナ」を意識することです。
 
 
ペルソナとは、もともとユング心理学の概念ですが、ここでは一般的に使われている意味で使用します。
 
私たちは周囲の環境に適応するために様々な「顔」を持って無意識に使い分けています。
職場での顔、家族といるときの顔、友人といるときの顔、趣味の活動をしているときの顔、など。
 
これらの「顔」をペルソナといいます。
 
 
職場においても立場が変わるとペルソナも変わります。
 
管理者になる前の私は、職場の人間関係でとくに問題を抱えていませんでした。
自分は誰とでもうまく仕事をやっていけると思っていました。
 
ところが管理職になった途端に自分の新たな面を知りました。
スタッフの言動に対してイライラしてしまう、ときにはきついことを言ってしまう。
自分が人にこんな心の反応をする人間なのかと驚いたものです。
 
それは、管理職という別のペルソナにおける自分の反応だったのです。
ずいぶん自己嫌悪で苦しんでいました。
 
ただし、1つのペルソナが自分の人格のすべてであると思わない、これが大事と気づきました。
 
登山が趣味なのですが、よく北アルプスや南アルプスの山を歩いていました。
大自然の中にいる自分、大自然に感動している自分を感じることができました。
 
それで自分のメンタルは維持できていたように思います。
 
これは単に自然の中で癒されて気分転換をしましょうという話ではありません。
 
自然の中にいるとき、登山をしているときのペルソナがあるのです。
感動ができる、こんな反応をすることができる自分を発見して、安堵できるのです。
 
 
ご質問者さんの「負け続けているような」という言葉が気になっています。
そのような自分であり続けることはつらいと思います。
 
でもそれは管理者という一つのペルソナであり、人格のすべてではないはずです。
 
一つのペルソナに執着しないこと。
このことが自分のメンタルを維持して生きやすくなれるヒントかと思います。
 
 
それぞれのペルソナを意識して使い分けるために面白い方法があります。
 
各ペルソナに「肩書き」をつけるのです。
 
私はふだん、ひきこもりの人と関わる仕事をしています。
心を開くのが苦手な人たちです。
 
そこで必要なのは、私の対人関係の力。
ひきこもりの人と対話するときには、私は自分のことを「対人関係のプロ」と呼んでいます(心の中で)。
心理カウンセラーでも公認心理師でもなく。
それがその仕事をするときの自分のペルソナであり、その役になることで難しい仕事もやれるのです。
 
 
ご質問者さんは、管理職。
管理職は、「コミュニケーションのプロ」だと思います。
 
スタッフと対話するときには、自分の中でなにか肩書きを作ればよいのです。
 
「マスターコミュニケーター」
「エクストリームコミュニケーター」
とか。
 
対人関係やコミュニケーションを学ぶことに興味がある方なら、肩書きでモチベーションが上がりますので。
 
 
今回話したかったことは以上になります。
ここからはちょっと余談になります。
 
今の若い人たちは仕事に求める価値観が昔の人たちとは異なると思います。
 
高度経済成長期の影響を受けた人たちは、豊かになるために収入を得ようと頑張れたと思います。
しかし、今の若い人たちは仕事で承認欲求を求めます。
 
モチベーションの高め方も異なるはず。
叱咤激励しても響きにくいのではないでしょうか。
 
ただ、承認欲求というのは、「マズローの欲求5段階説」の欲求の一つであるように人間に備わっている欲求です。
時代の価値観が薄れるときにそのような普遍的な欲求は表面化すると思います。
 
私は、スタッフに対して「信頼する」ようにしています。
 
叱咤激励や優しくするというより、信頼する。
信頼して仕事を任せてしまう。
(当然フォローは必要)
 
人は自分のことを信頼してもらえるとうれしいし、動こうと思います。
 
信頼して、その人の存在が重要であるというメッセージを伝えることかなと思います。
 
余談でした。
 
 
 
今回は、ご質問に答える形で、ペルソナを意識することでメンタルを維持する方法についてお話しました。
 
 
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小林いさむ|公認心理師

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