規格外野菜を(遠方で)売ろうとするとフードロスが「増える」

規格外の野菜を売ればフードロスになるのに!という声が多いですけど、規格外の野菜を売ろうとするとかえってフードロスが増える、という皮肉な現象があります。規格通りのキュウリは箱の中にビッシリ詰められるので運送効率もよく、しかも運送中にがたつかず、傷つきにくいです。しかし。

規格外のキュウリは曲がっていて、箱の中にたくさん詰めるのが難しいです。しかもスキマだらけなので箱の中でガサゴソ動き、傷だらけになります。スーパーに届いたころには、傷だらけ汁だらけで売り物にならなくなります。規格外の方がフードロスが発生しやすいです。

キュウリに限りません。傷のあるトマトは汁が出やすいです。汁には酵素が含まれているため、他のトマトにつくと傷みやすくなります。規格外の野菜をどこかに運んで売るとなると、かえってフードロスを増やしてしまいます。

規格外の野菜を、自分の畑の近くで「良心市」とか、屋根付きの台に置いて貯金箱の中にお金を入れてもらうような形が多いのはそのためだと思います。遠くのスーパーまで運んだらかえって傷だらけで、他の無傷の野菜までゴミにしてしまいかねません。汚れた野菜を店員が拭くのも手間かかりすぎ。

結局、規格通りの野菜を送り、売ることが、フードロスを減らすコツになります。
「規格外の野菜を売ればフードロス削減になるのでは?」という着想を思いつくベンチャー企業も多いですが、現場をよく知らないから出てくる発想だと言わざるを得ません。

まずは規格通りの野菜をまともな価格で買うことを優先してください。それらの野菜が売れ残ってゴミになることの方がはるかにもったいないです。規格野菜がまともな価格で売れれば農家は腕を上げようとし、規格外が減り、食品ロスもその分減りますから。

なお、キュウリは養分バランスを整えて栽培するとまっすぐになります。曲がったキュウリは、実は養分バランスが悪いから。農家の腕が上がると、キュウリはまっすぐになります。

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